「この店は食べログで○点」的な会話は未だどこかで通用しているのだろうか。
フレンチと鰻はお金を惜しまず都内のそれなりの店で食事をしてきたつもりだが、一流店には料金見合いの最低限の水準というものがあり、その先の好みは個々人の嗜好で分かれてゆくのだと僕は思っている。
ところが、グランメゾンと謳われながら、あるいは立派な金額を取りながらも、決して僕個人の感想ではなく、明らかにその水準に達していないお店も存在をしている。いや、達していたのだが、しばらくも前から機能不全に陥っている、という表現が正確であろう。
「王様は裸である」
そう口にできる強みこそ、クチコミの存在価値であるはずが、食べログに集まるのは蘊蓄や自慢を述べたい輩か、そもそもの比較基準を持っていない人間の評価ばかりで、彼らが周りを見渡してから恐る恐るつける高い点数が逆に暗君を生きながらえさせている要因になってしまっている。
真っ当な人間の処し方として、分からないなら遠慮するし、分かるならこんな場所で蘊蓄を語ろうとはしないのではないか。
玉石混交という表現があるが、宝石の入っていない箱をいくら覗いてみても時間だけが無駄に過ぎてゆくだけなのである。





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