50歳を迎え、いよいよ自分に直接関わることのない情報への関心がまったく失せてしまった。端末に上がるニュースは既に私仕様に最適化され、政治、経済、社会の現在進行形を伝えるものはない。
現役時代、父の仕事は暇だったのか、会社で契約していた5社の朝刊を毎日読破していたという。そんな父に、零細企業の人間が世の中の状況を知って何の役に立つの?と真顔で尋ねたことがある。外国会社のローカルスタッフとして、出世競争とは無縁の世界に身を置いている僕の会社にも日経新聞を片手に通勤してきている人間がいるが、人生の大事な決断を常に間違える彼にいつか、「その新聞に何か、あなたが快適な生を送るためのヒントが掲載されているのですか?」と訊いてみようと思っている。
現況化の世の中の右往左往っぷりを見ている限り、情報の多寡と人の幸せはまったく結びつかないことだけは理解できているつもりだ。


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