祖母の家で母方の親類が集まるといつも浮いてしまう伯父がいた。母から聞くには、戦後、洋式便所の販売が当たって羽振りのよい時代があり、親兄弟に相当偉そうにしていた頃の反動なのだという。彼のいっときの成功に起因するのは「能力」ではなく、「時代」とか「運」であったと今となっては誰しも考えることだが、その渦中にいると、どうやら当人はそうは思えず、要らぬ立ち居振る舞いをしてしまうものらしい。
先日、暇を持て余していたときにYoutubeを漁っていたら、ホストみたいなおニイちゃんが、岸田氏の金融所得課税の引き上げ案に怒っていた。「そんなことをしたら(自身を含め)優秀な起業家は皆海外移住してしまう」と。さぞ素晴らしい能力をお持ちの方かと思いきや、青汁の販売で儲け、それを元手に投資活動をしているだけの人だった。
海外に住んでいたら痛感することだが、言葉の壁は自身が身を置くステージが上がるほど重くのしかかる。他所の国で起業をするとなれば、その国の言葉をネイティブレベルでマスターすることは必須だし、それができないからこそこの国を離れられないでいる自分にもう少し謙虚でいるべきである。そのテの人間からはどんどん税金を徴収しても決して逃げないから大丈夫です。

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