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幻想浪漫譚 ~マーセナリーズ・オペラ~ 第三話 炎と鉄の国

 小鳥の鳴き声が聴こえる。混濁した意識が浮上し、瞼越しに日の光を感じて、ユーゴは目を覚ました。 「ん、ん~~~! ふう。朝か」 「おはようございます、義兄さん」 「おはようございます、ユーゴさん」  伸びをして起き上がると、すでに携帯用マナコンロに火を入れているユウリの姿があった。その奥では、何やら材料を切っているルーチェの姿もある。――まぁ、切り方は割とワイルドだが。  ちょうど朝食を作ってくれているようだ。こうしちゃいられんとユーゴは立ち上がり、自分も二人の作業に参加

    • 幻想浪漫譚 ~マーセナリーズ・オペラ~ 第二話 Heavy Day

      先程の戦場から、更に奥。ユーゴ達ネスト組はとある場所に来ていた。 「んん、行き止まり?」 小首を傾げながら、グラヴィスが目の前の壁を眺める。てしてしと壁を叩いてみるが、ビクともしない。 ならばと伏雷を壁に叩きつけるが、残念無念やはりビクともしない。なんなら自分の手が痺れたくらいだ。 「なんだよもー! 壊れないってなんだこの壁!」 ガルル! と噛みつきそうな勢いで、グラヴィスは壁を睨みつけた。 ならばとシークがスサノヲに手をかけるが、ユーゴはそれを制した。シ

      • 幻想浪漫譚 ~マーセナリーズ・オペラ~ 第一話 群れ成す魔物

        ユーゴ、シーク、グラヴィスがアジトを出た頃……。 「ほう、この依頼を私達に、ですか。内容は確かに悪くありませんねぇ」 渡された依頼書をざっと読み、灯眞(トウマ)・オウギュストは、その細い目で眼前のクライアントを覗き見る。彼は依頼書の端に捺印された無限蛇を見逃さなかった。 深い碧の頭髪を、目が隠れるくらいまで伸ばしており、その長さで綺麗に整えられている。 開いても細い目の奥に、髪と同じく碧色の瞳が見えた。 灯眞もこの街にいる以上、一端の傭兵ではあるのだ

        • 幻想浪漫譚 ~マーセナリーズ・オペラ~ プロローグ

          ――深い深い、蒼い海の底から、ゆっくりと浮き上がって行く感覚。 眠りに就いていた意識が、感覚が、筋肉が、目を覚ましていく……。 「あーあ……。おはよう。さて、世界はどんな感じになったかな……?」 気だるげに呟きながら『その男』は周囲を見渡した。 中肉中背の、無駄な筋肉を削いだ浅黒い体躯に、無造作に伸ばした白髪が映える。 「……あれれ?」 『その男』は、自身の置かれている状況に困惑した。 今、自分がいるこの場所。そして、この『身体』。 まだ覚醒

        幻想浪漫譚 ~マーセナリーズ・オペラ~ 第三話 炎と鉄の国

        • 幻想浪漫譚 ~マーセナリーズ・オペラ~ 第二話 Heavy Day

        • 幻想浪漫譚 ~マーセナリーズ・オペラ~ 第一話 群れ成す魔物

        • 幻想浪漫譚 ~マーセナリーズ・オペラ~ プロローグ

          マーセナリーズオペラキャラ台詞

          ユーゴ 登場1 『おいおいおーい。俺ちゃん抜きで楽しそうなことしてんなよ。あ?ワリィがアンタらの許可は受け付けねぇ……。勝手に乱入させて貰うぜ!』 登場2 『……感じるぜぇ。強えヤツだな、アンタ。ちょいとばかし、俺の『趣味』に付き合ってくれよ!?IT'S SHOWTIME!!』 登場3 『おーおー……こいつぁアレか?いわゆるピンチか?だが、多勢に無勢なんざ気にしねぇ。むしろ血が滾るってヤツだ!文字通りな!覚悟はいいか三下ァ!!火傷で済むと、思うなよ!?』 受け1 「おー

          マーセナリーズオペラキャラ台詞

          マーセナリーズオペラ【キャラ個別設定】

          ファフニール・ネスト ユーゴ・イグナシオ 『よう!何でも屋ファフニールネストへようこそ。俺ちゃんはユーゴ。ここの一番槍だ。報酬さえちゃあんと払ってくれりゃ、なんでもやるぜ』 使用武器 焔晶剣(えんしょうけん)『ブレイジング・クリスタル』 焔を結晶化した片刃大剣。常人なら両手でやっと扱える大きさだが、ユーゴは片手で軽々振り回す。 刃を相手に突き立ててそれをわざと折り、‪魔術の起点として使用したり、結晶を砕いて広範囲魔術化したりなど、様々な応用が効く。 使役属性 炎 設

          マーセナリーズオペラ【キャラ個別設定】

          マーセナリーズオペラ

          世界設定 第二大陸『アーク』魔術メインの国 『聖王都レインバレル』 自然豊かな国で、前王レインバレル12世は名君として人心を集めたが、現王レインバレル13世は世間知らずな女王のため、民はもどかしい想いでいる。 統治者 シェリル・エーデルハルト・レインバレル13世 設定 隠居した前王の跡取りとして即位した、若干二十歳の女王。姫君の頃から、城下町に訪れては町民の手伝いをしたり、自ら子供たちに教鞭を振るうこともあったが、少々のズレから、失敗や勘違いも多く、町民はほっこりしつつも

          マーセナリーズオペラ