第2章 金岡玲子の場合 第1節 宇宙よりの使者

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これはお化けと戦う女の子たちのお話。戦闘少女と言うのかな。お化けは10年ごとに、この国にやってきた。そのたびに女の子たちはお化けをやっつけた。
でも、10年たったら前に戦った女の子は大人になっちゃうから、世代交代して新しい女の子が戦う。どうして女の子なのか、どうして私たちだったのか、それは分からない。子どもだから、あんな風に戦えたんだと思う。子どもは手荒い扱いを受けても「自分は、そういう運命なんだ」と思って、すぐあきらめちゃうから。怖い目にあっても、それが当然だと、すぐ慣れちゃうから。死ぬのが怖くなかったのも道理。死ぬってどういうことなのか、まだ良く分かってなかったんだもの。運命論者で怖い物知らず。そういうのが良い戦闘少女になるのよ。

【以下、本文】

イスマエルこと、はふり武子たけこです。

1959年。忘れもしない、良く晴れた11月の朝、アダムスキーがたえんばんの大編隊が東京上空に現れて、新橋・しば一帯をはらったの。東京タワーは熱でたおれちゃった。鉄骨は1000℃ぐらいで、ぐにゃぐにゃになるからね。
着陸した円盤からは毛ムクジャラのゴリラみたいなのが出てきて、市民を片っぱしからしたの。この間、半日ぐらいだったかな。警察はライフルじゅうていこうしたけど、軍隊は来なかった。すぐ目の前の六本木に基地があるのによ。全部、見えてたでしょうに。

拉致された人たちは一週間以内にバラバラと帰ってきたけど、質問に答えられる状態じゃなかった。私は見守ることしか出来なかったけど、勇気ある少数の人たちが、やっと口を開いてくれた。「これは宇宙からのメッセージだ」って。戦争ばっかりしている地球人に、戦争をなくすための戦争を宣戦布告したんだって。世界平和のためのべつしゅうげき?ずいぶんと人をバカにした話よね。

このことは、ちゃんと新聞にもったんだけど、返ってきた反応は、何と無視なの。みんなだまっちゃった。日本の総理大臣も、アメリカ大統領も、ソ連の第一書記も。もっとも今思えば、この時は、あといってきたらせば水があふれる、盛り上がったコップの水みたいなきんちょうじょうたいだったんだけど。

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