第2話 【書評】クラリモンド (2023.5.6記)

【芥川竜之介君の譯業、テオフィル・ゴーチエのLa Morte Amoureuseに就て】

1.書名・著者名等
テオフィル ゴーチェ (著), 芥川 竜之介 (翻訳)
『クラリモンド』
形式: Kindle版

2.兎平亀作の意見です

古色蒼然たる飜譯文と言い條、未だ以て「リユース」可能とは、流石芥川竜之介君の勞作だと思ふ。

亦、同じ「靑空文庫」由來で有り乍ら、Kindle版の見榮え良きこと、讀み易きことは、テキストファイル竝びにXHTMLファイルの到底敵すること能わざる由緣である。讀書士、將に刮目して此を見よ。

尚、La Morte Amoureuseの内容に就ては、遺賢無名士の述作乍ら、彼のwikipediaの註釋が詳を亟めてゐる。諸兄諸姉、良く此を參照されたし。

蛇足ながら、鬼女クラリモンドの捨獨白「私が貴方に何か惡い亊をして?」は、歐米の男児間に広く看取せらるる、所謂「ミソジニー」の根强さに想いを致さば、稍々型破りの幕切れとも言えり。ここにゴーチエの底意無きにしも非ずと觀るは如何。

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