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【学級通信】一時に一事
「運動場にあつまりましょう」
そういうと、こう返ってきます。
「先生、どこにいくの?」
「運動場?」
他にも、「帰りの用意をしましょう!」というと、「帰りの用意していいですか?」と聞かれます。
「トイレ行っておいで!」というと、「先生、トイレ行っていい?」と尋ねられます。(笑)
教室ではこんなことは日常茶飯事です。
おもしろい毎日です。
さて、教師の指示・説明は長いほどわかりにくいと言われます。
これは、脳の
「ワーキングメモリー(作業記憶)」
と密接に関わっています。
ワーキングメモリーとは、一時的に情報を保っておく部分です。
いわば「脳内メモ帳」です。
脳は通常、いくつもの情報を同時に保持することができません。
ためしに挑戦してみてください。
以下の数字をどれくらい覚えられますか。
48710562591270327146
いかがですか。
通常、成人の覚えられる記憶量は7±2個だと言われています。
つまりワーキングメモリーが少なめの人で5個程度。
多い人でも9個ほどが限界なのです。
(これは、単純に数字の個数ではなく、「チャンク」と呼ばれる塊りでの話ですが、あえてこのように書きます。ここでの詳細はさけます。)
また、大人に比べて子どものワーキングメモリーはぐっと少ないとも言われています。
個人差はありますが、2個や3個、あるいは1個という場合もあるようです。
大人以上に子どもは、長い指示や説明を脳に留めておくことが難しいのです。
大人にとっては簡単な説明や指示であっても子どもの脳には残っていないのはこのためです。
なので、次のような指示を出すと教室では混乱する子たちが出てきます。
・教科書を出して10ページの1番の問題を読みましょう!
この指示には、「教科書を出す」「10ページを開く」「1番を見つける」「問題を読む」という4つの情報が入っています。
その結果、子どもたちは、「何ページ?」「どこ?」「わからん~」となります。
これは、子どもが悪いのではなく教師が悪いのです。
ストレスが過剰にかかった状態、つまり上のようなメモリーオーバーの状態が続くと、脳が委縮しワーキングメモリーは育っていきません。
ですから、教室では説明や指示を短くできるよう意識しています。
「教科書出して」
「10ページを開きましょう」
「1番を指で押さえます」
「押さえたらお隣同士で確認」
「読みます」
文字にすると、結構な量に見えますが、こちらの方が数倍早く全員の作業が完了させることができます。
基本は「一時」に「一事」で指示・説明をす
るように心がけています。
一回に一つのことを指示・説明するという意味です。
ちなみにワーキングメモリーは育ちます。
教室でも育てる活動をしています。(子どもたちは意識していないと思いますが)
育てるのに料理も有効です。
ワーキングメモリーが育つことによって、たくさんの情報を処理できるだけでなく、人の気持ちも思いやることができるようになります。
自分の気持ちと同時に相手の気持ちにも思いを馳せることができるようになるからです。
これからも、『一時に一事』を意識して指導していきます。
1年生を担任していた時の通信です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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