「ガンマウォールの過去、現在、未来」その4)「マーケティング」

◆顧客開拓の重要性
 新しく開業したてのボルダリングジムにとって一番大事な指標は、新規の会員登録数だ。ビギナーでも、コアなクライマーでもとにかく新しいお客さんに来てもらわないとジムも盛り上がらないし、売上も上がらない。新しいお客様に来てもらうには「マーケティング」が必要となる。私は銀行や証券会社で法人相手の仕事の経験はあったが(いわゆるBtoB・「法人から法人へ」というビジネスモデル)、消費者を直接顧客とするBtoC「法人から消費者へ」は初めての経験だった。

◆マーケティングを一から勉強する
マーケティングの本を読んで、BtoCではブランドの育成が大事なこと、チラシやローカル誌の掲載等のリアル広告、ウェブ広告、SNSの運用等を一から勉強した。「うちはクチコミだけで集客できている」というお店もあるかもしれないけれども、単に集客を超えて、業界のリーディングポジションを狙うためには広告を含めた積極的なマーケティング施策は必須だと思う。世の中の顧客のニーズは常に動いている。私のやっていること、目指していることを常に発信し続けて、それが世の中のニーズに沿っているかは絶えず検証していかないと生き残れない。マーケティングや広告活動はその検証を行う上で最適のツールだ。そこで反響を得られなかったら自分のやっていることは間違っているかもしれないと反省できる。

◆ウェブもリアルも大事
 私のジムは、ボルダリングジャパンカップで優勝したオーナーがいるわけでもなく、国際ルートセッターが常駐しているジムでもない。クライミングを楽しみたい人に最適のサービスを行っていると継続的にアピールしていかないと、たくさんあるジムの中で埋もれてしまう。WEB上のSEO対策、反響あるチラシの作成、ローカルメディアとのリレーション作りは時間とお金をかけて温めてきた。そして正直なところ、開業時にはロゴのデザインやブランドの育成ということが良く分かっていなかった。しかし、開業して全てのマーケティングの方法論を3年間試して思うのは、「顧客が感動した経験」が、一番の競争優位性につながるということだ。今回のコロナ禍は、かなり残酷な形でコミュニティの持つ価値を否定してきた。しかし、営業自粛後の開業時に、実際のコミュニティの持つ反発力には想像を超えた強さがあった。今後は、コミュニティに対する共感力を持ったマーケティングが重要になってくることに間違いはないだろう(続く)。

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