「ガンマウォールの過去、現在、未来」(その2)ガンマウォールを始めました

 ◆熊本に移住をする
 私は東京で生まれ育って仕事をしていたけれども、両親は熊本出身でリタイア後に故郷に帰って祖父の代からの自営業を継いでいた。そして、私が次に継ぐことが決まっていた。それに伴って2014年ころから移住の準備はしていたところ、2016年4月の熊本大震災で自分の移住が決定的になった。

 熊本から上越、東北、北海道等のメジャーなスキー場へのアクセスは極めて悪く、バックカントリースキーを継続する選択肢はなくなった。ゴルフや釣りも試してみたけれども、スキーやボルダリングほど、自分の中で腹落ちしなかった。ただ、ボルダリングについては、東京で体験したものとは大きく違って、自分の中では少し残念というのが正直な気持ちだった。端的にいうと、東京のジムは3級くらいまで、いわゆる「登らせ」課題があり、本当のクライマーではなくてもレジャーの一環として楽しめた。ゴルフでいうと100~120をウロウロするイメージだ。そこに甘えてきた自分には、趣味の時間に自分の弱さと向き合い続けるのはきつかった。

 当時の熊本のジムは、外岩で高グレードを落とすこと、コンペで圧倒的な強さを発揮することにベクトルが向っていたように思う。本当にクライマーとして強くなるためには、すごく良い環境だったに違いない。ボルタリングジャパンカップで優勝するクライマーも出ているし、強い外岩クライマーや開拓クライマーもそろっている。ただ、東京で見ていたように学生からビジネスマンのライトユーザーまでボルダリングが浸透しているかといえば、熊本にその波が来ていなかった。私の中で、東京や大阪のように初心者から上級者まで楽しめるオールラウンドなジムを開業すれば成功するだろうという直感が働いた。

◆開業を準備する
 開業に向けて各種リサーチや事業計画の作成をする中で、一番重要なことは物件の場所選びと、キーとなるスタッフのクライミングスキルや人柄だ、と気が付いた。場所は半年探して今の小山店を見つけた。そしてキーとなるスタッフは私の妻の友人が紹介してくれた。そう、外岩で3段まで登れる好青年の高田君だ。この二つが決まったら、あとは工事や開店準備を淡々とこなしていくだけだ。開業準備にはグッぼるの由井さんと元Boldの野田さんから丁寧なアドバイスをもらった。私は、開業するまで、クライミングジムで働いたこともなく、掃除、接客、課題づくり、コミュニティづくり等たくさんのことを両先輩から学んだ。そして2017年2月24日、無事ガンマウォール熊本はオープンした(続く)


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