笑うって大事

 腹がよじれる、抱腹絶倒、腹筋崩壊。


 笑うという行為が極限までいくと、「腹」という人間の根幹となる部分が揺さぶられる。時には呼吸ができなくなるほどに。


 「笑い」と「腹」との繋がりは慣用句や四字熟語にも出てくるしスラングにも表れる、時代を問わず存在する考えのようである。


 似たような意味の海外のスラングにLMFAO(laughing my fucking ass off)があるがここに含まれるのは「腹」ではなく何故か「ケツ」である。


 「腹」というのは東洋ならではの考えなのだろうか。ハラキリしかり。ここら辺、調べてみたら奥が深そう。


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 友人に誘われて先週、吉本のお笑いライブに行ってきた。NGK(なんばグランド花月)でやってる新喜劇みたいなタイプではなく、8組の漫才師たちによる対バン(?)みたいな形式だった。


 面子がかなり豪華で、中川家・ミルクボーイ・マヂカルラブリー・見取り図・アキナ・トット・金属バット・インディアンスと、M-1覇者3組、ファイナリスト3組と、かなり当たりのチケットを友人が取ってくれた。しかも前から6列目。1列目2列目は感染予防の為か空席だったので、実質4列目という最前列の席が運良く取れた。


 そんなプレミアムチケットなので、その日が楽しい日になることは確定しており、その週末までの一週間は毎日(お笑いライブまであと〇日……今週頑張って乗り切れば……)と己を鼓舞しながら仕事に励んでいた。


 楽しい予定が未来に控えていると、人は頑張れるもんなんだと改めて感じた。


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 しかし、懸念となるのは自分自身の体調管理と出演者の体調である。


 丁度チケットを購入できた日か次の日くらいにマヂラブ村上が濃厚接触者に認定された件についてtwitterで謝罪していた。


 こればっかりは致し方ないというか、(謝罪とかもしなくていいのに。。。おぎやはぎの小木さんみたいな報告でいいのに。。。)と思ってしまう。


 その2日後くらいには、自分の同僚で一人新規陽性者が出た。元々病弱な方で38度台の熱が出てたらしいのだけれど、大事には至らなかったようでひとまず良かった。


 自分自身も幸いにしてその先輩とは会う機会がなかったので、濃厚接触者には当たらなかったものの、本当にすぐそばにまで来ているなということを感じさせられた。


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 ライブ当日、新大阪駅で友人と合流し、会場となるメルパルク大阪に向かった。会場前は人がまばらに集まっていて、来場者情報を登録する必要がある旨をスタッフの人が教えてくれた。


 来場者に陽性者が出た場合に、濃厚接触者の判断基準とするのであろう、名前と連絡先と席番号を入力してから会場に入った。


 会場に貼られているポスターにふと目を向けると、アキナが急遽出演できなくなり、代わりにガクテンソクが出演することになった旨が書かれていた。


 アキナのやる気のありすぎる学生のネタが好きでファンだったので少し残念だった。その日、家に帰って速攻で観た。やっぱおもろい。山名好き。


 友人がインディアンスの田渕推しなので、一組目にインディアンスが登場した時からテンションが爆上がりだった。リアルで観る田渕は思ってる以上にスタイルがよく、キムを思っている以上に禿げていた。将来がかなり心配なレベルだった。


 インディアンスが終わって、本来の順番的にはもっと後だったのだと思うけれど、マヂラブ野田が一人でとことこと出てきた。村上が隣にいないことがかなり不安そうな様子でとてもR-1王者の風格はなかった。なんなら少し可哀想だった。


 村上が濃厚接触者認定を受けて出演できない話、R-1のネタをしようと思ったけれど会場に大きなスクリーンが無くて完全に詰んだという話を見事に笑いに昇華させていて、さすがプロだなぁと思った。


 急遽、インディアンスの二人が手伝ってくれることになったのだけれど、野田の放った「吊革に、つかまりたくないよ~~~」がその日で一番ウケていた。


 結果、野田と田渕が吊革に捕まらず大暴れするというその日しか見れないであろうネタを見ることができ、非常に満足度が高かった。キムはツッコミが大変そうだった。


 その後も、金属バットがちょっと”アブナイ”ネタを入れたり、トットが40秒くらい謎のダンスを踊ったり、見取り図が団地住みを馬鹿にしたりと、テレビではあまりお目にかかれない自由なネタを披露してくれた。ミルクボーイはツカミでついに「お金」をもらっていた。こんなもん、なんぼあってもいいですからね。


 中川家も安定感のあるネタをしていて、剛がちょっとグダグダになっても側にいる礼二が楽しそうなので、観てるこっちも(まぁ、二人が楽しそうならそれでええか)という気にさせられた。あの域までいくと漫才師は強い。


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 本当に夢のような時間で、血行が良くなってポカポカと健康になったように感じられた。笑いの力ってすごい。寒い日にはみんなお笑いを観に来ればいいと思う。


 その日はそれでかなり疲れてしまって、友人とは早めに解散になったけれど、夜はめちゃめちゃぐっすり眠ることができた。


 こういう疲れを吹っ飛ばすような時間を、もっと生活の中に取り込んでいきたいなとつくづく感じた。


 定期的にお笑いライブに行くのもいいなと思った。次はマヂラブ村上を生で観てみたい。

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