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競艇に行ってみる

 「株とギャンブルは余剰資金でやりなさい」というのが親の教えだった。


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 「社会経験やで!」と言われ先輩に連れて行ってもらった初めてのパチンコはものの5分で2000円が溶けた。

 それ以降ギャンブルからは久しく足が遠のいていた。

 そんな折に会社の同僚2人に誘われて競艇に行くことになった。


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 会社の同期Eは大学生の頃からパチスロで稼いでいた猛者で、バイトを雇って代打ちをさせていたと聞く。


 会社の後輩Yは競艇が好きでかなりの頻度で競艇場に通っているらしい。この話を聞いた時から「ここのレース場はインが強いんですよ」とよく分からない情報を教えてくれた。


 今回の戦場は西梅田駅から大阪メトロで約20分ほどの所にある「住之江競艇場」


 軍資金は元々20000円のつもりだったのだけれど、事前にギャンブラー二人の持ってくる額が50000円と聞いて

(まぁ使う予定はないけれど、みんなが楽しんでる中自分が楽しめないのは嫌だし、一応余分に10000円持って行っておくか〜)

と軽い気持ちで持ち出すことにした。今思うとこの辺りから気が緩んでいたのかもしれない。


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 レース場によって開催される時間帯は異なり、モーニングレース(8:30~15:30)、デイレース(10:00~17:00)、ナイターレース(14:30~20:30)があり、それぞれ12Rある。今回はナイターレースでの参戦となる。


 競艇は6艇によるレースのため、競馬と比較して当たりやすいと言われているらしいけれど、その情報元が同僚Eなので真偽のほどは定かではない。そりゃ確率論的にはそうなのかもしれないけれど。


 予算から逆算して1Rあたりの予算を2000円で設定した。12Rあるので全部負けると足が出てしまうけれど、まぁ何回か勝てば12回分楽しめはするだろう。一応多めに持ってきているし資金が底をつくことはなかろうと考えた。


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 競艇は1位を当てる「単勝」ではほとんど楽しめない(オッズがだいたい1.5倍とか下手すりゃ1.1倍で1000円払って当たっても1500円の払い戻ししかなくうまみがない)。


 1,2位を当てる2連単/2連複でだいたい3~5倍、うまく予想がバラけてくれれば1番人気でも7~10倍の払い戻しが見込める。


 1,2,3位を当てる3連単/3連複は当たる確率は低くなるが概ね10倍以上のオッズで当たれば化ける可能性が高い。


 これくらいの事前知識は入れた状態で、いざ勝負。


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 1レース目。


 初心者の自分が賭けられたのは2連単で、様子見をする作戦にした。事前情報で1号艇と3号艇が調子が良さそうだと判断して1-3, 3-1で1000円ずつBET。(※後輩Yから「2連複で買うより2連単で2枚買った方がオッズうまいッスよ」と言われてそのような買い方をしている。)


 これが1回目から当たってしまった。


 着順は3-1-5で、払い戻しが6500。なんとものの5分で4500円稼げてしまった。


 「この調子で12R終わったら+54000じゃん、ヤバ」と同僚Eも囃したてる。「今んとこ勝率100%男やから」と自分も調子に乗る。「今が一番勝ってる時かもしれませんね。」と後輩Yが不吉なことを言う。


 (あぁ、楽しい。競艇って簡単なんだ。)


 ウハウハで生ビールとおでんを食べながら次の予想を考える。

 (うめぇ。。。悪魔的だ。。。)


 そんなカイジの声が聞こえてきそうな気持ちだった。


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 2レース目も同じような賭け方で、6艇のうち調子がよさそうな第1艇と第5艇を2連単で購入。1-5と5-1でくればまた2000円稼げる算段だったが、着順は惜しくも1-2-5で2000円が紙くずとなった。


 まあ、そりゃそんな簡単には行かんわな~、切り替え切り替え。


 「やっぱ、3連単で賭けんと~」と同期Eに唆されて(まあ、確かになぁ、2連単やと当たっても戻ってくる分少ないしなぁ)と、3レース目で初めて3連単を購入。とはいえ、1レース目の喜びが尾を引いていたので、2連単と組み合わせて、1-3,3-1を1000円ずつ、1-3-2,3-1-2を500円ずつ購入し、計3000円を賭けた。この辺りから、当初の「1レース2000円ずつ」の自分ルールを逸脱していく。


 結果は3-2-1で負け。第2艇が頑張らなければ。。。ここまでのトータルで、-500円なので、この時点ではまだ大きな損失にはなっていない。


 第4レース。初心に帰って、1-4,4-1の2連単攻めに戻す。結果は1-4-6で2800円の戻し。3レースぶりに当たって、少し当たった時の嬉しさを取り戻す。とはいえ2000円かけて2800円なのであまりうれしい気持ちはわかなかった。


 第5レースはかなり予想が難しいレースで、3連単はおろか2連単も当たる気がしなかったので(そういう時は賭けないという選択肢もあったにもかかわらず)、1-2,1-3,1-5,1-6というかなり消極的な賭け方をし始める。着順は1-2-5で2000円賭けたのに1250円しか返ってこないという、いわゆる「トリガミ」と呼ばれる状態(予想を的中させたのに損をしてしまうこと)に。


 第6レースも判断が鈍り、3-1、1-3-全というかなり消極的な賭けに出た結果、着順は1-3-4で3000円賭けたのに2500円しか返ってこずガミってしまった(トリガミをすることを「ガミる」というらしい。まさに自分のためにあるような言葉だ(?))。当たっているのに損をしているのはあまりに面白くない。もっと攻めたいなと思っていた矢先、後輩Yが見事予想を的中させて10000円くらいの勝ちを拾っていた。


 やはり経験者は勝負所を分かっているな~、ちょっと自分も大きく賭けてみたいなぁという野望がふつふつと湧き出す。ここまで終えて-950円。まだ舞える。


 第7レース。多分アルコールが入っていたのもあるんだろう。前レースで後輩が勝ったのを隣で見ていた影響もあるかもしれない。1-4-3,1-3-4で5000円ずつ、計10000円をBET。


オッズは低いが当たれば30000円が舞い込んでくる。オッズの低さはそれだけ勝っている人が多い証拠でもある。頼む、波乱よ起きないでくれ~~~。







 このレースがまさかの大波乱となり1号艇が強いはずの住之江競艇場で三着に。ああ、やっぱりこういうところで持っていないんだなあと痛感してしまった。さよなら諭吉さん。


 意気消沈しながら迎えた第8レース。やっぱり初心者は大きく賭けるもんじゃないなと気付き、1番人気、2番人気の3連単を1000円ずつ買うことに。


 するとなんとこれが当たってしまった。10300円の払い戻しで、一気に負けを-2700円まで戻すことができた。


 (神はまだ自分を見放していない。。。まだどこかで勝負どころが来るはず。。。ジッとそれを待つんだ。。。)







 その第8レース以降、買った舟券が当たることは無かった。


 第9レースで4000円負け、第10レースで4600円負け、第11レースで12000円負け、最終第12レースで800円負け。トータル24050円負けで終戦。対戦ありがとうございました(?)。


 図らずも、当初予定してた1レース2000円賭けで全負けした場合の負け金となった。


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 今回は冬のボーナスが入った直後というのもあってかなり無茶な遊び方をしてしまったが、一つ大人の遊びを覚えることができた。


 正直、もうお腹いっぱいの気持ちもあるし、しばらくはやらなくていいかなあと思うものの、どこかあの当たった時の快感と皮算用して夢見ている時のふわふわ感が癖になってしまうのも分かってしまう。「行け!飛べ!」と応援している時のドーパミンがどくどく出ている感覚もかなり”ヤバい”。


 また余剰資金ができたらやるかもしれない、次は自転車かお馬さんかな~(全然懲りていない)。

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