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The Painscreek Killingsの時系列順あらすじと感想

前置き

最近「Scene Investigators」のデモをプレイして好みだったので、同じEQ Studiosの過去作である「The Painscreek Killings」もクリアした。

「The Painscreek Killings」でプレイヤーは女性記者のジャネットとなり、5年前にペインスクリークという町で起きた未解決事件の調査に乗り出す。事件は元市長の妻ビビアンが殺害されたというもので、犯人凶器を探らなければいけない。町は事件により住人が離れていき無人で、直接誰かと話すことはなく、日記やアイテムを探し孤独に真相に迫っていく。

病院、大邸宅、宿、教会、幾つかの民家などに入れるが、ジャネットは警官などの公的な調査人でなければ無法者でもなく、「こっそり調査」している立場のため破壊を伴う行動はできず、窓ガラスを割って侵入などの手段は不可能。施錠されている場合は律儀に鍵を使わなければいけない。家の鍵・部屋の鍵・デスクの鍵などを探しまくる鍵ゲーである。

攻略をもとめている場合はこちら↓のページが細かく書かれている。英語だが英語苦手な人でもweb翻訳で十分わかる。


時系列順ネタバレあらすじ 1971年~1975年 ※長い

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1971年2月、小さな町ペインスクリーク唯一の教会に新しい神父が加わった。彼、マシュー・ブルックス(右)はまだ若く、年配の神父であるカルヴィン(左)から教えを受けていた。マシューは親を知らずに孤児院で育ち、かつてはごく普通の家庭がほしいと望んでいたが周囲に導かれるまま聖職者となった。

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1971年5月、大邸宅を構える町の名家ロバーツ家が新しいメイドを募集した。マシューは、同じ孤児院で育った女性ソフィア・ミラーを自分のイトコと偽って紹介した。求職中だったソフィアを助けたいという思いと、密かに恋しているソフィアを町に呼びたいという思いがあった。ソフィアはメイドに採用され、休日にはマシューと二人で町を巡った。「イトコと知らなければ関係を誤解する」と見た者が思うほど二人は親密だったが、ソフィアにとってはマシューは兄弟のようなもので、彼の気持ちに気づいていなかった。

(ソフィアが働き始めた時期は作中の文書によってブレがある。マシューの日記では1971年8月にはもう働いており、メイドのドロシーの日記では1972年11月が勤務初日。単にミス?)

ソフィアは長い黒髪の美女であり、礼儀正しく働き者で多くの人に好感を持たれた。一方で、彼女を無視したり嫌ったりする者も男女問わずいた。孤児として育ち愛情や豊かな暮らしへの渇望がある彼女は媚びるところがあり、その振る舞いが評価を分けた?

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1971年6月、ロバーツ家の当主チャールズビビアンと結婚した。ビビアンは1940年生まれで、結婚当時31歳。かつては貧しい思いをしたこともあるが才覚によって成り上がったキャリアウーマンで周囲からの尊敬を集めていた。だが別居している姑のマデリーンとの仲は上手く行かなかった。跡継ぎに男児を生むようマデリーンにプレッシャーをかけられていたが、ビビアンは流産してしまう。

1972年、チャールズは市長選に出馬した。ビビアンが献身的に支えたこともあり、無事に当選した。

1973年、ロバーツ家の経営する炭鉱会社が崩落事故を起こし作業員13名が亡くなった。会社は不況に陥るも、ビビアンは遺族に手厚い支援を行い、立て直すことができた。

1974年6月11日、ビビアンは出産するも、生まれたのは女児トリシャで、難産のためもう子供を作れない体となった。

1974年8月16日、男児を産めないまま不妊になったことでビビアンは思いつめ、出産を終えて一旦退院した後、精神不安定のために再度入院した。世間には精神の病であることは隠し、緊急手術のための入院と偽った。申し訳なさからか、夫が見舞いに来た際にはひどく取り乱し、主治医が夫の出入りを禁じるほどだった。チャールズは妻と母との板挟みで苦悩した。

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ビビアンは主治医ヘンリー・ジョンソンには悩みを吐露でき、医師と患者を超えた友人となった。退院後、ビビアンはヘンリーの務める町の病院に寄付するようになった。

ビビアンの入院中、苦悩するチャールズは黙って話を聞いてくれるソフィアに癒やしを求め不倫関係となった。やがてソフィアはチャールズの子供を妊娠した。

1974年9月、神父マシューは宣教活動でインドネシアに旅立った。水道も通らない貧しい環境に辟易としながらも、彼はその地での活動にやり甲斐を感じた。当初は半年の滞在予定だったのを自ら希望して1年に延期するほどだった。

1975年2月、チャールズはメイドのドロシー・パターソン(当時32歳)にソフィアの妊娠を打ち明けた。近くに別の一軒家を用意してソフィアを住まわせるので、身重の彼女の世話をしてほしいと頼んだ。チャールズは全てを世間や家族から隠し通すつもりだった。ドロシーは世話をしながら先行き不安に思ったが、当のソフィアはごく幸せそうで、お腹の子が男の子ならば尚いいと話した。

1975年3月18日、ソフィアは誕生日を迎えた。マシューはインドネシアへ旅立つ前に、誕生日になったら開けるようにとプレゼントの箱を用意していた。箱の中には「私が戻ってくるまで待っていてくれ」という言葉と共に、指輪が入っていた。愛の告白と受け取っていいだろう。神父は原則的に恋愛は許されないが、恋が実ったら辞める覚悟まであったのかもしれない。だが、今更マシューの気持ちを知ってもソフィアに応えることはできなかった。

1975年4月、ソフィアはマシューへ手紙を送った。孤児院に共にいた頃、「貧乏にならないこと」が将来の夢だとソフィアは語っていたが、「私の願いは今、叶おうとしている」という。「話したいことがいっぱいある」と彼女は記した。

1975年6月1日、ソフィアは男児を出産した。

1975年6月16日、チャールズは男児にヴィンセントと名付けた。

ここに至ってドロシーは事態を抱えきれなくなり、マデリーンに全てを話した。マデリーンは醜聞が世間に漏れないか気にしつつも、後継ぎたる男児の誕生を喜んだ。ビビアンは、一連の夫の裏切りをマデリーンを通して知らされた。

1975年6月18日、ヘンリーは、不義の子を受け入れてはならないとビビアンにアドバイスした。女児のトリシャより男児のヴィンセント、ビビアンよりソフィアと、母娘が立場を失うことは容易にわかった。

ソフィア親子を脅してでも町から追い出す上で、庇護者となっているマデリーンが邪魔だった。ヘンリーはマデリーンの主治医でもあったため、処方する薬をいつもの3倍強くした。ヘンリー主導で、マデリーンを殺害することにしたのである。

1975年6月21日、チャールズはヴィンセントを相続人とする遺言状を書き上げた。チャールズの死後、全財産がヴィンセントに渡るというものである。

チャールズはソフィアとビビアンが鉢合わせてはトラブルになりかねないからとソフィアに隠れるよう伝え、チャールズ自身もソフィアと会うことを控えた。

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1975年6月26日の深夜、ビビアンはソフィアを呼び出した。邸宅の庭の隅の小さな門から通じる、狩猟場への道で、人目につかない場所である。話し合いの間、ヘンリーがヴィンセントを抱きかかえていた(子供がどうなってもいいのか、と脅すため彼が抱いていた可能性も)。

ビビアンは、庭師のアンドリュー・リードを連れていた。彼は勤勉で、ビビアンは信頼を置いていた。アンドリューはただやりとりを見ているのみの役割。人数が多いほうがソフィアに圧をかけやすいとビビアンが思ったのかもしれない。

正式な認知手続きが取られる前に町から出ていけと訴えるための呼び出しだが、冷静な話し合いで終われるはずがなく、ビビアンとソフィアは掴み合いの喧嘩となった。はずみで突き飛ばされたソフィアは転倒し、そばの井戸に頭をぶつけた。すぐにヘンリーが診るも、ソフィアは首が折れて即死していた。残された3人は、使われていない井戸にソフィアの死体を投げ捨て、その道へ通じる小さな門を閉じた。邸宅内には監視カメラがあるが、事件当日の分のビデオは密かに処分された。

ビビアンらは、男児をカルヴィン神父に託し、遠くの孤児院に送らせた。カルヴィン神父は恐らくはソフィアの死までは知らず、母一人で遠くへ逃げたと思っている。

邸宅には、ワンダ・タイラーというメイドと、その息子で当時5歳のデリックが暮らしていた。デリックは好奇心から覗き見し、ソフィアが死ぬ瞬間を目撃してしまった。その衝撃から、デリックは情緒不安定な状態が続き、学校にも上手く馴染めず、早くから邸宅での労働を選ぶようになった。

ワンダは息子からソフィアの死を知らされたが、母子家庭のタイラー家にビビアンが良くしてくれている恩義や、ソフィアに好意を持っていなかったことから、告発するようなことはせず、息子にも誰にも話さないよう言い聞かせた。その事件から、母子は別に家を持ち通いで勤務するようになった。

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1975年7月4日、マデリーンは消えたソフィア親子を探すが、手がかりは掴めなかった。捜索作業の中、ヘンリーの処方によりマデリーンは体調が急激に悪化した。ヘンリーは無理な活動が体に負担を与えているのだと偽るが、それでもマデリーンは捜索の手を緩めず、1975年8月26日に68歳で死去した。別の医師はこの急変はおかしいと指摘したが、チャールズは母の体を傷つけることを良しとせず、マデリーンは検死されずに埋葬された。

1975年9月、マシューはインドネシアから帰国し、ペインスクリークへ戻った。カルヴィン神父から「ソフィアは町を出ていった」と聞かされた。彼女の不倫も出産も知ることはできなかった。最後の手紙の口ぶりから、彼女の意思ではなく誰かに強要されての失踪ではないかと怪しんだ。

1984年~1994年

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1984年11月1日、老い先短いカルヴィンはマシューに手紙で真実を告白した。ソフィアが不義の子を生んでいたこと、その子ヴィンセントはスコットと名を改め遠くの孤児院にいること。11月7日に、カルヴィンは82歳で逝去した。マシューはソフィアの忘れ形見を引き取ろうと決意した。

1985年4月、マシューはスコットを養子にしペインスクリークに迎えた。スコットが孤児であったことは公然であり、そのことを理由に子供たちにいじめられることもあった。そんな時、かばってくれたのはトリシャだった。名家の娘であるトリシャに立ち向かわれると悪童たちも逆らおうとはしなかった。スコットとトリシャ、そしてトリシャの家に仕えるデリックはいつも3人組で仲良く行動するようになった。この年に3人はスコット10歳、トリシャ11歳、デリック15歳。

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トリシャは家庭の中でいつも寂しさを感じていた。父チャールズはメールアドレスを「ラブトリシャ」にしているぐらいで愛情はあるようだが多忙で不在が多い。また母ビビアンも同じく多忙で、しかも優秀な彼女と同じだけの能力を求めて厳しい教育方針なのがトリシャには重荷だった。トリシャには、メイドのドロシーの方がよほど母に思えた。ドロシーもトリシャを我が子のように愛し、「心細くなったらいつ家にきてもいいから」と自宅の鍵を渡すほどだった。

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1989年11月、町でヨシュア・S・タイラーという男の子が行方不明になった。捜索願のポスターが街中に残されているが、彼の行方について作中では触れられず、不穏なものを感じさせるだけのフレーバーなのか、何か意味があるのかは不明。メイドのワンダ・タイラーと姓は同じだが関係はないようだ。

また、1993年6月にもティモシー・スコットという男の子が川で溺死する事件が起こった。町に大きな川が流れているので、子供が溺れたり、そのまま流されて行方不明になるのはありそうな事故だ。

町には幽霊譚がある。1993年6月、病院のヘンリーの部屋の前でずぶぬれの若い女が佇んでいるのを目撃された。1994年11月、迷子になっていた女児が屋敷のメイド服を着た黒髪の若い女に道案内されて帰宅するという出来事があった。その当時は該当する容貌のメイドはいなかった。

このゲームは9割は現実的だが1割に直球のオカルト要素があり、「ソフィアの幽霊」が登場するのだが、目撃された謎の女もソフィアで間違いないだろう。

ソフィアの幽霊が存在する世界では、二人の男児失踪事件も怪しくなる。町中をさまようソフィアは、息子ヴィンセントがスコットと名を改め町に戻っていることも知っているはず。消えたティモシー・スコットという同じ名を持つ男児の死亡は偶然だろうか。幽霊がずぶぬれなのは、彼を川に引きずり込んだからではないか? また、1989年に失踪したヨシュア・S・タイラー、彼の「S」は「スコット」ではないか? 息子と同じ名を持つ男の子たちを誤認して引き寄せたのでは……改名なども理解できる程度の知性が残ってるのに誤るのは変だが。

ソフィアが人を死に追いやる悪霊と化していたなら、何故迷子の女の子は助けたのだろう? どうして罪もない男の子ではなく、自分を死に追いやった者たちの方を狙わないのだろう? 川に引きずり込むという直接的アプローチは幼子にしかできない? 男児の事件については冤罪?

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1990年、デリックは邸宅の雑用全般を行っていたが、チャールズの新しい運転手に任命された。前の者が高齢になったため。新しい役職は賃金が上がり、チャールズに伴って方々へ行けて楽しくはあったが、トリシャたちと遊ぶ時間は減った。二人きりでいる時間の増えたトリシャとスコットの間には恋愛感情が育っていった。いつしかトリシャに惹かれていたデリックは、自分の方が先にトリシャのそばにいたのに、と嫉妬した。この時、デリック20歳、トリシャ16歳、スコット15歳。

デリックには、ソフィアが死ぬ現場を目撃した幼少期の記憶が残っている。そのため、ビビアンへの恐怖心があり彼女の運転手を務めるのは嫌がり、その役目はもっぱら執事バーナード・ホプキンスが務めた。当時46歳のバーナードは若い頃からロバーツ家に仕えている古株。彼は独身で、ビビアンに惹かれていた。才気あり仕事で輝き、なのにどこか不幸せそうで陰りがあるビビアンを敬愛していた。

1993年2月14日、チャールズはスコットを狩りに誘った。以降、何度か二人で狩りに行く。礼儀正しくハンサムなスコットにチャールズは好感を持っていた。また、トリシャとスコットが惹かれ合っていることも察し、二人が結ばれるのも悪くないと思った。「孤児であることに何の問題があるだろうか。もしあるなら、それは親の過ちだ」とチャールズは日記に記した。

1993年2月17日、ヘンリーがロバーツ家から病院への寄付金を横領していたことが判明。ビビアンにとっては友人に裏切られたわけだが、日記などでは特にショックを受けている様子はない。精神的に一番辛い時期は既に乗り越えているし、それほど彼を拠り所にしていたわけではないようだ。

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1993年4月、邸宅敷地内の物置小屋を「秘密の隠れ家」にしてトリシャとスコットは愛し合うようになった。二人がここに入り浸っていることは使用人にはバレバレだった。

1993年6月、トリシャとスコットの恋仲を知り、マシューは猛反対した。二人は異母姉弟であるため道徳に反する、そう真実を明かすことはできなかった。

交際を反対することについて「僕が金持ちではないから?親なしだから?」とスコットは言い、マシューは「親なしなんかではない」と口を滑らせた。スコットは、親についてマシューが知っていて隠していると思い問い詰めるがマシューは黙り込み、何度も口論に。

1993年8月27日、マデリーン19回忌。ビビアンは毎年この時期は体調を崩す(罪悪感で本当に? 憎いから仮病で墓参りを避ける?)。チャールズはスコットを伴って墓参りした。スコットをまるで本当の息子のように感じている、と日記に記した。

1993年9月、スコットは教会を出てマシューと別れて暮らすことにした。チャールズが猟師用のキャビンハウスを与えてくれ、庭師アンドリューの下で働けるようにもしてくれた。

1993年10月、メイドのワンダは医師ヘンリーから癌の手術を受けた。術後は良好で、息子デリックは安堵した。

スコットは新しい仕事や出生の調査にかかりきりで、トリシャは独りにされて寂しいとデリックのもとへ来ることが増えた。

1993年11月、スコットは育った孤児院へ赴き、出生について訊ねた。孤児院へ彼を連れてきたのはカルヴィン神父であり、書類にペインスクリーク出身と記したという。今住んでいるペインスクリークこそが生まれた場所というのはスコットにとって意外だったが、カルヴィン亡き今ではそれ以上の手がかりがなかった。出生記録がないかヘンリーの勤める病院に問い合わせるも見つからなかった。

庭師アンドリューはかつてソフィア殺しに加担してしまったことから精神を病み、以前は真面目だったが今では日がな一日酔っ払うアル中となり妻子にも逃げられていた。スコットは仕方なく彼の世話を焼いた。

アンドリューは酔って意識朦朧とするとソフィアへの謝罪を繰り返しつぶやいた。ソフィアとは何者か、とスコットは気になりだす。

1993年11月30日、スコットはソフィアについてアンドリューに質問。アンドリューは動揺して答えず。

1993年12月2日、スコットはソフィアが何者かドロシーにも聞き、「チャールズと不倫したことがバレて町を出た人」だと説明された。

1993年12月8日、スコットはソフィアについてデリックにも聞くが返答なし。デリックはトリシャ絡みの嫉妬でまともに口を聞いてくれないようになっていた。

1994年1月2日、アンドリューは「庭仕事なら一人でできるからスコットはいらない」とビビアンに申し出た(ソフィアについて聞かれ後ろめたいから)。アンドリューはまともに仕事もこなせず庭が荒れ気味なため却下される。この時点ではビビアンは、スコットの勤勉さに好感を持っていた。

1994年1月3日、スコットはソフィアについてビビアンにも質問し、ビビアンは一転してスコットを解雇しようとするが、チャールズが気に入っているため無理だった。ビビアンは、ソフィアの名前を出したのはアンドリューだと察し、彼はまたソフィアの幻覚を見ているかもしれないから精神薬の量を増やすよう医師ヘンリーに命じる。

1994年2月14日、バレンタインなのでトリシャがスコットに高級そうなチョコレートを渡す。スコットはトリシャのためにオルゴールを制作中。後に完成し渡した。

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1994年2月、孤児院のシスターがスコットに、彼が赤ん坊の時に使っていた産着を送った。スコットが訪れた後で探して見つけたのだという。産着にはソフィアによるオリジナルの刺繍が施されていた。

1994年5月、アンドリューは最初はスコットに反感を持っていたが、甲斐甲斐しく世話を焼かれるうちに心を開きだした。

1994年6月、アンドリューはソフィアの幻覚を見て苦しむようになった。以前にも同じようなことがあったが、久しぶりの症状だった。投薬量が増やされて余計悪化した?

1994年9月、アンドリューは大量の酒と薬を飲み自殺を図った。様子を見に来たスコットが救急車を呼び、無事だった。アンドリューが自殺未遂で病院に運ばれるのはこれで3度目だとスコットは聞かされた。病室でアンドリューは、ソフィアが死んだ経緯と死体を遺棄したこと、男児ヴィンセントを遠くにやったことをスコットに吐露した。スコットは咎めず、同情した。

アンドリューは罪を告白したことで精神が安定するようになった。スコットが熱心に世話したおかげもあった。アンドリューは離れて暮らす妻子に送金を続けていたが、再会してやり直したいと前向きになった。事情を知るドロシーはアンドリューの妻に電話し、妻の方も帰ってくる意思があると確認した。

1994年10月、スコットはアンドリューに聞かされて気になり「ヴィンセントという弟はいるか」とトリシャに聞いたが、彼女は何も知らなかった。トリシャが不思議に思ってそのエピソードを両親に話したところ、二人は血相を変え、夫婦喧嘩をはじめた。トリシャにはわけがわからなかった。

ビビアンはスコットを解雇した。今度はチャールズも止めなかった。解雇理由として、スコットは不真面目できちんと働かなかったとでっちあげた。スコットはハンディマン(便利屋)をはじめるようになった。

1995年

1995年1月、ビビアンは家庭問題に悩んでいた。かつての不倫事件から夫チャールズとの関係はぎくしゃくしたままで、娘トリシャにもスコットとの交際を反対してから嫌われている。家族に歩み寄り関係を修復したいとビビアンは願った。

ビビアンは仕事にも張り合いをなくし空虚さを感じ、執事バーナードに愚痴をこぼすようになった。ビビアンはバーナードに特別な感情はなかったが、ビビアンに惹かれているバーナードは心を開いてもらえたと喜んでいた。横領事件で病院への援助をやめたことから浮いたお金で、ビビアンは新しい事業をしたいと考えた。紹介され、銀行員の男性と密に会談するようになった。

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1995年2月、スコットはドロシーの家の水道管を修理しに行った。仕事を終えて歓談し、ドロシーは古いアルバムを見せた。その中には、赤ん坊を抱くソフィアの姿があった。赤ん坊の産着は、シスターが送ってくれたものと同じだった。スコットは自分こそがヴィンセントであると知った。母は殺され弔われもせず、名前を奪われ何も知らないまま腹違いの姉と恋仲になった、その真相にスコットは苦悩した。

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1995年3月7日、スコットはアンドリューに全てを話し母の遺体の場所を聞き出そうとしたが、アンドリューは顔面蒼白になりまともに話ができる状態でなくなった。

1995年4月3日、アンドリューは自分からスコットのもとを訪ねて遺体の場所を教えた。

今はもう枯れた井戸の底に、スコットは母の白骨化した遺体を見つけた。カルヴィン神父の墓石の隣に埋め、木で簡単な墓をつくった。

1995年5月、働きもせず引きこもるようになったスコットを心配し、トリシャが毎日キャビンまで来たが、会いもしなかった。トリシャにはキャビンの合鍵を渡していたが、スコットは秘密の扉を通った先にある地下室にこもっていたようだ。トリシャの泣き声はスコットのもとまで届いた。突然に拒絶された苦悩をトリシャはデリックに相談した。デリックは自分の方が彼女にふさわしいと感じた。

5月13日、マシュー神父がスコットに会いに来た。スコットは泣きじゃくり、知ったこと全てを話した。スコットは、マシューとソフィアの関係を知らない。

マシューは、何年もごく普通に接してきた者たちがソフィアを共同で死に追いやっていた事実に激怒した。

1995年5月28日、マシューはソフィアの墓に、彼女が好きな百合の花を供えた。

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ビビアンは立ち上げ中の事業について周囲にあまり語らず、銀行員と二人で話し合って粛々と進めていた。執事バーナードは、二人の関係を疑問に思った。何日にも渡り覗き見ていたところ、二人は時にハグしたり頬にキスをしたりしていた。バーナードは不倫関係なのだと思いショックを受け、1995年5月29日には病気と偽って仕事を休むほどだった。

ビビアンは日記にて、町でアートギャラリーを開く催しが上手くいきそう、全てが好転して家族関係も良くなればいい、とのポジティブな記述をするのみで、実際には不倫はしていなかったと思われる。新しい仕事に喜びを感じ、業務上のパートナーとフレンドリーにしていただけだ。

だがバーナードは、敬愛する女性が夫を裏切り不貞を働いている、その相手が数十年そばにいた自分ですらない急に現れた男だと落ち込んだ。隠し持っていたビビアンの写真に大きくバツをつけ、裏にBitchと書き込んだ。彼は精神を病み投薬治療を受けたが、飲まなかったり2倍の量を飲んだりと乱用しますます悪化していった。

1995年5月29日、ビビアンとトリシャは大喧嘩した。ビビアンはトリシャを大学へ行かせたがったが、トリシャはスコットのそばを離れたくないと拒んだのだ。

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アンドリューの家には、いつごろ作ったか時期は不明だが、ソフィアの死を悔いてオカルトに走ったのか魔法陣がある(多分、スコット=ヴィンセントを知ってから作成)。ソフィアと対話し直接謝りたいとでも思ったのか。

1995年6月6日、マシューは罪を告白させるためにアンドリューの家を訪れた。アンドリューの精神は再び崩れており、ソフィアへの謝罪を繰り返しまともに話せる状態ではなかった。細かな流れは不明だが、マシューは小さな刃物でアンドリューを刺し、殺してしまった。殺すつもりはなかったとマシューは後悔しながら、現場に火を放って証拠隠滅をはかった。アンドリューの遺体は焼け焦げ、一見して刺傷痕はわからなくなった。精神不安定で知られる男が暖炉のそばで焼死、付近には酒の瓶が並ぶ、その状況に事件性を見出すものはいなかった。だが後に、検死により刺傷痕が見つかった。

1995年6月11日、トリシャは21歳の誕生日を迎えた。その日、「隠れ家」にトリシャとスコットが入っていくのをメイドが目撃した。スコットが真相は告げぬまま、別れ話をした?

1995年6月28日、デリックの母ワンダは癌が再発し入院した。見舞いに訪れたデリックは、スコットと医師ヘンリーが深刻そうに話し合っているのを目撃した。ソフィアの死について問い詰めていたか。

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1995年6月29日、マシューは0時になったら井戸にくるようヘンリーに手紙を送った。「お前が何をしたか私は知っている」というその文はタイプライターで書かれた。マシューの使用するタイプライターにはクセがあり、「e」が浮いている。

ソフィアの死の真相を知り怒る者といえばチャールズだ、ヘンリーはそう思い、匿名の手紙はチャールズが送ったものと勘違いし「すべてはお前の妻がやったんだ」「私はソフィアが死んだのを見ていただけだ」と怒りの手紙をチャールズへ送った。

1995年6月30日、井戸の前でマシューとヘンリーは対峙した。ヘンリーは始終、自分は悪くない見ていただけだだと弁解した。マシューはアンドリューを殺害したときは突発的なものだったが、今度は最初から殺意を固めていたらしく、用意していた斧をヘンリーの頭部に叩きつけて殺害した。ヘンリーの遺体は彼の車の中に入れられ、離れた場所の湖の中に車ごと沈められた。

1995年7月12日、ヘンリーの遺体が発見された。当初は事故死と思われたが、横領事件の因縁があるビビアンは念のため取り調べられた。後に検死でヘンリーの死因が斧によるものだと判明したが、アンドリュー共々、何故か事故として扱われ事件化することはなかった。

1995年7月19日の23時30分頃、スコットはビビアンを呼び出し、激しい口論を繰り広げた。その現場をデリックは覗き見るも、声は聞き取れなかった。ソフィアについて咎めた? やがてスコットはその場を駆け出してキャビンへ帰った。デリックは気になって後をつけ、声をかけられないまま何があったのか思案し、結局一晩キャビンのそばですごした。

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ビビアンはスコットとの口論後、今度はマシューに呼び出された。ヘンリーと同じく「e」の浮いたタイプライターの文によって。問い詰められた彼女は、「ソフィアは全てをめちゃくちゃにしたあばずれ女」と言った。マシューは彼女も斧で殺害した。事故偽装も施さずに遺体はその場に捨て置き、翌朝メイドに発見され事件となった。

ビビアンは死亡報道で「前市長の妻」と書かれているので、チャールズはこの時点ではもう市長ではなくなっている。

警察は犯人探しを始めた。マシューは7月18日~23日にかけて宗教行事で遠出する予定だったが、キャンセルして犯行に及んだ。マシューは行事日程が終わるまで身を潜め、警察は裏取りのないままアリバイがあると思い彼を疑わなかった。

チャールズやデリックにもアリバイがあった。チャールズは仕事で遠出していた。デリックのアリバイは、友人宅にいたという嘘のものだった。警察はその裏取りも何故か怠る。本当は一晩中スコットのキャビンのそばにいたので、正直に話していればデリックはスコットのアリバイ証人となりえたが、いっそスコットが冤罪で捕まってしまえばいいのにと思い嘘をついた。トリシャは、スコットがそばにいない時はデリックを頼ってくれるから。

当日にアリバイのない何人かのうち、スコットが有力な犯人候補となった。ビビアンに解雇されたのは十分な動機だとされた。また、事件の推定時刻に邸宅の方から走り去る彼の姿が目撃されていた。スコットは取り調べで殺人を否定し、会っていたことは認めつつも会話内容については黙秘し、不審がられた。

1995年7月25日、スコットはビビアン殺しの疑いで逮捕された。マシューには予想外のことだった。支援を募り弁護士を雇い、スコットの釈放を呼びかけた。

1995年7月26日、スコットの逮捕を知ったトリシャは倒れた。母の死から泣きじゃくる毎日を送っていた彼女は疲弊しきっていた。

デリックは母の癌治療費が予想以上にかかり、ロバーツ家の支援もあるが窮しており、金策に忙しく、あまりトリシャの見舞いに来られなかった。

1995年8月13日、チャールズは収監中のスコットと面会した。何故妻を殺したのかと問うてもスコットは答えず、チャールズは激怒した。

1995年9月6日、保安官ジェームス・ハワードは不吉な事件の連続する町から人々が去り、急速に寂れていくのを感じた。

1995年9月16日、デリックがトリシャの見舞いにきた。母もトリシャもやつれていく姿が堪えていた。「いっそスコットが現れなければよかった?そうすれば俺を選んでくれた?」とデリックは口走る。

1995年9月29日、自室で療養を続けていたトリシャはやつれるばかりで、見かねてチャールズは入院させた。

1995年10月22日、チャールズは再びスコットと面会した。スコットは何を言われても無視していたが、「あなたの無知に同情さえする」とだけ呟いた。

1995年10月26日、スコットは証拠不十分で釈放された。それでも、本当に犯人なのではないかと周囲は疑った。

1995年11月2日、妻が死んでから酒浸りでいることが増えたチャールズは、その日も泥酔し、介抱してくれた執事バーナード相手に、スコットへの恨みつらみを語った。スコットがビビアンを殺したと信じているバーナードは、スコットを野放しにすべきではない、「然るべき罰を与えなければ」と思った。

1995年11月6日、トリシャはまだ体調が万全ではないのに病院を出てスコットに会いに行った。スコットは彼女を拒絶した。

1995年11月14日、広場でデリックがスコットに掴みかかり大喧嘩した。「なんでトリシャを避けるんだ」と大声で咎めた。その現場をドロシーは目撃し、昔は仲の良い二人だったのにと悲しんだ。

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(正確な時期は不明)スコットはトリシャに手紙を渡した。自分はビビアン殺しの犯人ではないこと、マシューが二人の関係に反対したのは正当だったこと、でもその理由はまだ明かせず、いつか話すということが書かれていた。スコットは小さな十字架のようなものも渡した。「これを持っていてほしい。いつか全部話すから」とメモが添付されていた。

スコットのキャビンの地下には、秘密の隠し部屋がある。隠し部屋を開く方法は、特定の場所に十字架をはめること。スコットは出生の秘密を探る過程で、集めた品や関係人物の写真などを隠し部屋でまとめていた。いつかそのまとめを見せた上で、トリシャに真実を話すつもりだった。

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1995年11月17日の深夜1時~3時頃、バーナードはスコットの胸部をナイフで滅多刺しにして殺害した。遺体は道路脇に捨て置かれ、事件化した。

1995年12月27日、トリシャは入院中の病院屋上から落下して死亡した。飛び降り自殺だとされた。

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病院屋上の柵は壊れており、うっかり寄りかかって落下したとも考えられる。また、ゲーム中では特定条件下でソフィアの亡霊を垣間見るのだが、この屋上もソフィア出現スポットである。ソフィアの亡霊に驚いて後ずさって落ちた、とも想像できる。ソフィアがトリシャの死に関与していた場合、それは不幸な事故だったのか、悪意あってのものだったのか。

チャールズは、母の死にビビアンが関わっているのではないかと疑っていたが、真相を知ることのないままビビアンを失い、更にトリシャまで失った。「これが20年前の不貞の罰だというのか?」と日記に書き残した。

1996年~1998年

1996年1月3日、トリシャの葬式。父チャールズは最初は気丈に振る舞っていたが式の終わりにはむせび泣いていた。

1996年1月31日、メイドのドロシーは町を去った。母代わりにトリシャを育ててきた彼女には、トリシャの死が辛いものだった。

1996年2月3日、チャールズは雇った探偵にソフィアの居所を調べさせていたが、やはりわからないとの返答。

1996年2月20日、町の病院が閉鎖した。元から少子高齢化の進む町で、横領疑惑により逼迫し、更に事件で加速するゴーストタウン化がとどめとなった。

1996年2月の終わり、チャールズは町を去った。

1996年3月12日、ワンダが癌で亡くなった。3月28日に葬儀が執り行われ、息子デリックは町を去った。デリックは、自分がスコットのアリバイを証言していれば彼が逮捕されることも、犯人と決めつけられた末の死もなかったのではと後悔にくれていた。スコットとトリシャの死と共に自らの心も死んだと感じていた。

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1997年3月13日、元メイドのドロシーは事件の真相を知りたいと探偵スティーブン・モスに調査を依頼した。事件当日にビビアンを呼び出すのに使われた、「e」が浮いた文書をモスに渡した。モスはまだ経営中のペインスクリークの宿屋を借りて調査をはじめた。

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1997年4月20日、マシューは匿名でモスにメッセージを送った。「スコットは犯人ではない」とだけ記した。調べるうちにモスもスコットは無罪だと感じていった。

1997年4月29日、バーナードを調べるようにとマシューは更にメッセージを送り、バーナード家の鍵を同封した。バーナード家にはチャールズの狩りのお供をするためと趣味も兼ねてか大量の武器があり、ビビアンへの執着を語る日記、精神の薬などもあり、いかにも怪しい。また、バーナードは父親を炭鉱崩落事故で失っていた。ロバーツ家を恨む動機としても十分だ。

バーナードの日記を見るに、実際には父の死にまつわる遺恨はないようだ。不幸な事故であるし、十分な補償が行われたからと、ただ死を悲しむのみだった。

バーナード家には斧のコレクションケースもあるが、それが1本なくなっている。まるでその1本でビビアンを殺したかのような偽装工作だが、ケースの鍵を開けられなかったのか割って取り出しており、バーナード本人なら開けられるはずなのでかなり杜撰な工作。

バーナードの事件後の所在は不明だが、モスの調査時にはもう町にはいないようだ。マシューが鍵を持っていること、積極的に冤罪をかけようとしている点を思えば、マシューはバーナードがスコット殺しの犯人だと気づいているだろう。

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1997年5月13日、ビビアンの未公表の検死報告書が保安官ジェームスに送られた。ビビアンは頭部の右側に斧で攻撃を受けていた。犯人とは向かい合った状態で、犯人は左利きだったと考えられる。(マシューが左利きであることは、教会の写真で示されている)

その報告書を見せてもらった探偵モスは、別の文書からバーナードは左利きと知っていたこともあり、バーナード犯人説を更に固めた。だが違和感がつきまとい、真相は別にあるのではないかと怪しんだ。

1997年5月21日、モスは保安官にビビアンの事件のアリバイ証言書を見せてもらった。マシューが宗教イベントをキャンセルした旨を調査中に知っていたため、彼のアリバイが嘘だとわかり、モスはマシューを疑い出した。

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1997年5月23日、モスは犯人の脅迫状の「e」の特徴に気づいた。その特徴は匿名のメッセージとも共通していた。このタイプライターを持つ者こそが犯人で、間違った方向に誘導されていたのだと悟った。

モスは教会の隠された屋根裏部屋を発見し忍び込んだ。そこに、「e」の浮くタイプライターがあった。マシューはモスを強襲し、恐らくは頭部を殴打した。出血した状態でモスは逃げ出し車へ向かったが、パンクさせられており使えなくなっていた。モスは逃げながら事件の手がかりとなる物を方々に隠すも、その後、マシューに殺害されたと思われる。

1998年5月、保安官ジェームスはペインスクリークのゴーストタウン化に伴い別の町へ異動を命じられた。

1999年

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1999年、ペインスクリークは無人となり封鎖されていた。もうじきオークションにかけられ、数々の事件が解決に至らないまま町が作り変えられようとしていた。

1999年8月3日、ジャーナリストのジャネット・ケリーは、今が真相究明の最後のチャンスだと上司に言われ、単身で町を訪れた。世間では「元市長夫人のビビアンが殺された」という事件のみが有名で、前後の一連の死を知る者は少ない。

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墓場のゲートコードがわかりやすいところに張り出されており、多分プレイヤーの大半は真っ先に墓場へ行く。墓場の門は、コードを入力するまでもなく既に開かれていた。そして、墓石ばかりが並ぶ中で唯一の木の墓の前に、まだ瑞々しい花が供えられている。無人のはずの町にマシューがいまだ出入りしてソフィアにお参りしているのだ。

ジャネットは町を歩き回り真相に辿り着き、恐らくはマシューやモスが見逃していた事柄すら把握していく。数ヶ所、ソフィアの幽霊が出現する場所がある。真相に関わる重要なアイテムを見た後で特定の場所を訪れると現れるのだが、あまりにもひっそりしており大抵のプレイヤーは見逃すと思われる。

町はまだ荒れずにきれいで、建物内はどこも通電したままで電灯もつけられる。病院を探索中、突然ブレーカーが落ちる。ジャネットの存在に気づいたマシューが妨害するために落としたのである。

正誤を問わずジャネットが推理を提出することでゲームは終了するが、真エンド的なものはマシューの犯行供述音声を聞くことで迎えられる。

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教会の隠された屋根裏部屋へ辿り着くと、凶器の斧と、「e」の浮いたタイプライターが見つかる。タイプライターの文には「Someone came Peinscreek. She cannot know.(誰かがペインスクリークに来た。彼女は知ることができない)」とある。マシューが町にまだいることはこれまでに匂わせる要素がいくらかはあったが、見逃しやすい。でもここでハッキリと彼がまだ町にいること、ジャネットに気づき妨害しようとしていることがわかる。

斧が乗った机の引き出しの中には、マシューが殺人を重ねるたびに吹き込んだ犯行供述の音声媒体がある。

(その中ではバーナードには触れられていないので、バーナードは殺していないのだろうか? 部屋の鍵を持っているのがちょっと怪しかったのでバーナードも殺されてるかなと想像したが)

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音声を聞き終えると、静かな調査ゲームは一変し、不穏なBGMが流れ、教会の扉を開く音がする。ジャネットが真相を知ったと察し、マシューが殺しにきたのだ。HPゲージが現れセーブもできなくなり、ジャネットは立ち向かうこともできず逃げ惑う。ジャネットは頑丈で数回攻撃されたぐらいでは死なず、マシューの動きも妙にもたついており彼を避けることは簡単である(制作者によれば、教会ではマシューの歩行速度はジャネットの1/4で、徐々に早まり最終地点では同速になるよう設定。この展開でのゲーム性の変貌にプレイヤーがついていけるよう配慮?)。しかし、教会の出入り口はマシューによって施錠されてしまっている。

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突如、ソフィアの幽霊がものすごく堂々と姿を現す。彼女は近づくと消え、またしばらく走ると現れ、安全な場所へ誘導しているかのよう。普段は封鎖されている地下道へ通じる扉が開き、その道を通ってジャネットは教会から病院へ。そしてジャネットは病院の屋上へ導かれた。

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かつてトリシャが落ちた付近まで追い詰められ、同じように落ちそうになるジャネット。その時、ソフィアの幽霊がジャネットの腕を引いて助けた。勢いづいていたマシューはそのまま落下し、死亡した。奇しくもトリシャの落下現場と重なるように。

ジャネットはペインスクリークから生還し、ビビアン殺害事件の真相を記事にした。ペインスクリークでの調査だけではモス探偵を雇った人物はジャネットにはわからないままだったが、上司が調べ、元メイドのドロシーだと教えた。ジャネットはモスに代わって、ペインスクリークで調べた全てを記し、ドロシーへ送った。ジャネットは事件の全容がわかった後でも、何故ソフィアは自分を救い、同じような立場にあったモスは救わなかったのだろうかと疑問に思った。

比較的短めのネタバレあらすじ

元市長の妻ビビアンを殺害したのは神父マシュー。凶器は斧。

マシューには同じ孤児院で育った幼馴染ソフィアがいたが、ソフィアはビビアンの夫と不倫し男児を産んだ。夫は男児を跡継ぎにすると言い出し、娘しか産まないまま不妊となっていたビビアンは脅威を感じた。ビビアンは町から出て行けとソフィアに詰め寄り、もみ合いになって転倒したソフィアは打ちどころ悪く即死。現場には医師と庭師も同席しており、3人はソフィアの遺体を使われていない井戸に捨て隠し、男児を遠くの孤児院へ預けた。

ソフィアの不倫から始まる一連の事件を、宣教のため長期不在だったマシューは知らなかった。帰ったら「ソフィアは出ていった」とだけ聞かされた。10年後、ソフィアの行方はわからないままだが子供は孤児院にいることを知り、マシューはその子スコットを養子にした。成長したスコットは、ビビアンの娘トリシャと恋仲になった。異母姉弟であるとマシューだけが知っており反対したが、事情は明かせず二人の関係を止められなかった。

スコットは独自に調査して出生の秘密に辿り着き、マシューも知らなかったソフィアの死をも暴いた。スコットはトリシャと別れ、知ったこと全てをマシューに話した。マシューはまず庭師を問いただすが、はずみで彼を殺害してしまう。そこで道がつき、医師とビビアンも続けて殺害した。庭師と医師の件は事故死に偽装できたがビビアンの死は事件化し、犯行時刻にアリバイのなかったスコットが冤罪で捕まってしまった。

証拠不十分でスコットは釈放されたが、周囲の疑いの目は晴らせず、ビビアンの執事は彼女の仇を討つためにとスコットを滅多刺しにして殺害した。悲劇の連続に精神を病んだトリシャは、事故か自殺か病院の屋上から落ちて死んだ。

不審死が相次ぐ町は急速に廃れた。数年後、プレイヤーキャラである記者ジャネットは町に乗り込み、無人の街を調査して真実へ辿り着いた。

感想

ビビアンがトリシャ出産後にふさぎこんで夫にも会わないという記述を見た時は「不妊になるほどのひどい難産ってことは子供が助からなかった可能性も?取り繕うために孤児をもらってきて自分の子にした?その準備期間中は夫を遠ざけた?で、スコットと同じ孤児院からもらってきた子で姉弟だから交際に反対したんだな!」と推理したが違っていた。でも姉弟なのは合ってた。理由も明かさずに親が男女交際に反対ってのは「実はきょうだい」展開がお約束だ。

マシューがアンドリューを殺害した時の状況が知りたい。アンドリューってボロクソに自責して見るからに哀れな奴で、復讐する気満々で会いに行っても気が削がれそうだ。ソフィア殺しに関与してた加害者側のくせにしおしおしてたのがむしろ怒りを注いだ?

アンドリューはようやく立ち直れそうだったところでアレだし、ビビアンも、空虚さを新事業で払拭できたところでアレ。救われそうなところで刈り取られる。

マデリーン殺しのヘンリー、ソフィア殺しのビビアンに対してアンドリューは見てただけの巻き込まれポジションっぽい。なんとなく、死んだソフィアを抱き上げて井戸に落とすという死体遺棄の役割はアンドリューがこなすはめになったのではと思う。

やってしまったことは取り返しつかないにしても、みんな取り繕って嘘をつかなければよかった。不倫して子供ができたのなら正直に明かせばよかった。殺してしまったなら自首すれば良かった。こっそり産ませる、こっそり死体隠す、余計に泥沼へ。腹を割った話し合いは大事。ソフィアの死に関しては殺人といっていいかも微妙な死に方だし。でもソフィアの死が公になれば例え事故死と認定されても、子供がいることや、その子の処遇をどうするかというのを曖昧にはできなくなるか。

認知は子供の権利だからビビアンが嫌がろうとしなきゃいけないとは思うし、養うも当然だが、遺産全部渡すのは無茶苦茶すぎる。まるでその文書の逆張りみたいにチャールズだけが生き残ってしまったが。日本だと死んだ人物がどれだけ妻子と不仲だろうと何割かは絶対に遺産が渡るという決まりだが、ペインスクリークではそうもいかんのか? 妻と娘の存在を完全否定したえげつない遺言書だ。

みんな嘘で話をこじらせているが、最初の嘘はマシューがソフィアはイトコだと言ったこと。気のある女を近くに招きたいという下心を、嘘をついて隠したこと。もっと遡れば、普通の家庭がほしいという気持ちに嘘をついて勧められるまま神父になったこと。インドネシアでやり甲斐を感じたり性格が真面目だったり適正はあったかもしれないが、俗人になっていた方が幸せになれただろう。

横領事件が大きく本筋に関わってこないのは意外だった。横領によってビビアンとヘンリーの間に諍いが生じて……という展開があると思っていた。ビビアンはあっさり援助をやめて別事業に乗り出すし、ヘンリーも恨み節な記述はない。横領が露見してもそれで懲戒免職されたわけではなく生活はしていけるから逆恨みはないのか? ビビアン殺しはヘンリーの仕業だとプレイヤーをミスリードさせるためってのが一番かもしれない。

よくわからない点。マシューはジャネットの出現に気づいてタイプライターで文を打っていたが、屋根裏部屋の鍵はモスに持ち去られて捨てられていたので、モスの死後は屋根裏部屋に入れなかったのでは?予備キーがあるのか?

よくわからない点2。スコットが過去の事件をまとめていたコルクボード。母親を殺したのは誰なのかと容疑者を絞っていく様子がわかる。事件当時子供だったデリックは違う、遠征中だったマシューは違う、といったことが書かれている。

でもこれっておかしくないか?スコットは「こんな殺人・死体遺棄事件があった」と聞かされたあとで、「その被害者は自分の母だった」と気づくという流れだ。最初に犯人を知っている。犯人探し風コルクボードを作る必要がない。犯人探しのコルクボードというのは探偵ものでよく出てくるので、そういうビジュアル欲しいよね~と採用してシナリオと矛盾したのだろうか。こちらが何か勘違いしてるかな?

病院はBGMが怖かった。これ襲われたりとかしないゲームだよな~なんか出てくるのかな~と怯えた。終盤で襲われるわけだが。

マシューが町にまだいることをにおわせる要素は3つある。1.墓に供えられた新鮮な花 2.病院のブレーカーオフ 3.邸宅でノック音 勘のいい人は誰かいるぞと気づくが、さっぱり気づかず。1は「墓参りに来る人ぐらいいるわな、この木の墓は話のキーにはなりそう」ぐらいの認識。2は自然に切れちゃったのかなーと。3は聞いた覚えない、steamフォーラムで触れられていて知った。

幽霊登場スポットも3つある。1.アンドリューの家にはじめて訪問し、出ていく時に向かい側の川辺にいる。 2.井戸へ通じる門の鍵を不所持の状態で門の方を見ると向こう側にいる。 3.モス探偵が撮った病院の心霊写真を見た後で、病院中庭から屋上の方を見る。 1だけは視認したが、長時間プレイで目が疲れてるからそれっぽく見えただけかなーと注視せず走り去った。2も3も気づかず。多分鍵を持ってからはじめて井戸へ行ったのかな? 屋上のは見上げてなかったと思う。フラグが立ってから初めて訪れたときにしか幽霊は見れないので、再度見に行くことは不可能。

警察無能すぎ問題。(いや保安官?制度がいまいちわからない)関係者全員がわりと町でヘイト買ってて警察がやる気なかったんじゃなかろうか。ビビアンのもとには匿名の中傷の手紙がたくさん届いていたし。13人も死んだ炭鉱事件は、被害者遺族の一人であるバーナードは恨んではいなかったが、他から多くの憎しみを向けられていてもおかしくない。

田舎町に一つだけ不似合いな大豪邸があるというだけでも嫉妬の目は向けられかねないし、ロバーツ家けっこう嫌われてたんでは? だからアリバイ調査もまともにやらずビビアン殺害事件をきちんと調べる気がなかった。

適当に逮捕してそれで解決~と悪徳警官っぷりを発揮しようとするも、弁護士まで雇われ思いの外うるさく抗議され釈放。すると1ヶ月も経たずに被疑者が殺害された。今更真犯人を見つけても、「冤罪が元で一人の命が奪われた」と責められてしまうため、ますますやる気を失い、ゴーストタウン化にまぎれて捜査を打ち切ってしまった、というところか? ダメダメだ。

はじめは、有力者の関係者が死んでいる事件が未解決といえば、有力者本人が買収したりして捜査を止めてるんだろ~と想像してたが、チャールズは全然そんなことはしなさそう。彼はなんにも知らないまま町を出てしまった。スコットの立場だったら、「俺がヴィンセントだよオラァ!」って真っ先にチャールズに言いに行くわ。

地道に攻略していくのを楽しむゲームなのだが、暗号はわかる気がしなくてカンニングしまくり、そのせいで制作側が見せたい順とはだいぶ違うルートを辿ってしまったと思う。ヴィンセントの名前をはじめて見たのは、ロバーツ邸の秘密金庫に隠された遺言書を読んでだった。ヴィンセント=スコットとも知らず、新しいキャラがまた出てきたなーと思っていた。

ソフィアの霊はなにがしたかったのか。男児二人はソフィアがやっちまったのだと思う。スコットと同じ名だから、母として恋しくて。でもそれじゃバリバリの悪霊で、女児やジャネットを助けた件がおかしい。男は連れて行くが女は助けるのか? 不倫するぐらい男好きだから……いや愛と金が欲しかっただけ……うーん。

霊ソフィアのルックスが怖いから悪霊方向に考えてしまうだけで、実は男児の件は濡れ衣で、むしろ救おうとしていたとか。溺れている男児を救おうとずぶぬれになったけど無理だった。迷子の男児を導こうとしたが無理だった。女児はソフィアを怖がらず素直についてきてくれて助けられた、とか。

真エンドの最後の文で、何故ソフィアはジャネットを助けてモスを助けなかったのか、とジャネットは不思議がる。モスも助けようとしたんじゃないか? でもルックスが怖いからモスは誘導に従わなかった、とか。プレイしていても、終盤でソフィアが堂々と出てきた時はソフィアを避けるようにして進むのか?とちょっと迷った。地下道の扉の前に立っているのを見て、「あ、ソフィアのいる方向に行けばいいのか」と察したが。

病院の張り紙にスピリチュアルなものがあり、「復讐を望む霊もいるが、ほとんどの霊はなにかしらの解決を求める」と書かれていた。ソフィアはどちらなのか。ソフィアが悪霊なのかいい奴なのかは、敢えてボカして好きに想像してくださいねというスタンスなのか。なんでこんなポスター病院に貼るんだ。

ソフィアには「同性にしか物理的に干渉できない」という謎縛りがあるとか? 屋上でマシューを突き飛ばすのではなくジャネットを引っ張るというのは不確実。マシューが踏みとどまってしまう可能性もあったし。女児の手は引けたしジャネットの腕は引っ張れるが、男には介入できないみたいな。

感想はまた別ページで書いたほうが良かったかもしれない。他のことはまたそのうち書くかもしれない。


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