さらばSurface Pro 3

(2018/04/26 タッチスクリーンの「ファントムタッチ」現象について追記しました)

Surface沈黙

その瞬間はある日突然やってきました。

夜遅くまでSurfaceでSteamのゲームを遊び、シャットダウンしたかスリープさせたかも曖昧なまま寝落ちした翌日の朝、Surfaceからいつもより激しいファンの音が聞こえ目が覚めました。

触るとなぜか熱を帯びており、タイプカバーを開くと見慣れない画面が表示されていました。PCが正しく起動できなかった旨を示すエラー画面でした。再起動をかけた記憶はありませんでしたが、電源接続時はスリープさせない設定だったので、深夜のうちに自動アップデートがかかったのかもしれません。

再起動させればすぐ元通りになるだろうと思い再起動させたところ、自己修復を試みるもののそれも失敗し、エラーの堂々巡りに入ってしまいました。エラーメッセージには「INACCESSIBLE_BOOT_DEVICE」とあります。ブートデバイスにアクセスできない、ということは、SSDの物理的な故障か、とそのときは思いました。

エラーメッセージをネットで検索すると、似た症状になった人は多くいるようでした。しかし、この症状から復帰したという事例はほとんどありません。セーフモードで起動したら解決した、という人もいたため、起動時のトラブルシュート画面で、スタートアップオプションを設定しようとするも、今度はBitLockerによる暗号化のため、設定を変更するには回復キーが必要である、という旨が表示されます。

回復キーは、Surfaceの(おそらくWindows製品の)製品登録をしていればMicrosoftアカウントでログインすることで確認できます。このとんでもなく長い数字の羅列を打ち込み、スタートアップオプションでセーフモード起動を有効にして再起動を試みたものの特に症状は変わらず、本当にセーフモードで起動できたのかすら怪しい有様です。

覚悟を決めて

この辺りで、私もそろそろ覚悟が決まってきました。OSの破損であることはほぼ間違いありません。取れる道はいくつかありました。

①保証期間は切れているので有償でメーカー修理に出し継続して使う
②データのサルベージだけはしたいので、SSDだけ自力で取り出し、本体は諦めて新しいPCを買う

まず①ですが、Microsoftのサポートページを見て、修理のためにメーカー発送をするための手順のサイトを見つけました。そこで発送手続きを進めると、選択肢には「新品交換:72400JPY」の文字が。それ以外にはありません。Surfaceは基本的にメーカー修理を引き受けておらず、すべて交換扱いになるのです。それも、中古で買うのと大差ない程度のそれなりの価格です。新品に交換したものを下取りに出したとしても、Surface Pro 3の買い取り上限額は6万円程度ですので赤字です。(ネットで調べたところ、以前は3万円程度で交換対応されていたようですが、下取り目的で交換したユーザーが多かったので値上がりしたのかもしれません)

継続して使うのに7万円以上もするとなると、それなら新品のノートPCを買ったほうがいいのでは、という気がしてしまいます。交換してもデータが戻ってくるわけではないので、それであれば、データは諦め、自力でリカバリして様子を見てから交換するかどうか決めてもよいのでは、という気がしました。

②についてですが、Surfaceは普通のノートPCと違ってディスプレイ側のフレームに本体機能もすべて入っているため、素人が分解するには相当難しい、という話がネットであがっていたため、仮に分解できたとして、元に戻すのはほぼ不可能でしょう。ちゃんとSSDだけ安全に取り出せる自信もありません。

うちで使っているSurface Pro 3の内蔵SSDは128GBでそこまで多くなかったこともあり、常にmicroSDとUSBメモリを併用していました。また、自宅のメインのストレージ用にNASのHDDを使っており、アプリケーションに依存しない音楽や画像データはすべてそちらに保存していたので、幸いなことに内蔵SSDの中に残っているデータはほとんどアプリケーション本体とそれに関係するデータだけでした。

以上のことを考慮して、SSDの中身についてはそっくり諦めることにして、「一旦自力でリカバリを図り、それで直れば知人に売るなりして、そのお金を元手に新しいノートPCを買い、直らなければ新品交換するなり分解してパーツだけかき集めるなりする」という方針にしました。

SurfaceのBIOS画面(電源ボタン+音量ボタン同時長押し)にて、ブートデバイスの優先を「SSD Only」から「USB>SSD」に切り替えた後、家にある別のPCからWindows 10のインストールセットアップ用USBメモリを作成し、Surfaceに挿して再起動しました。

ここで、SSD内のデータに今生の別れを告げ、ディスクのフォーマットを決行し、クリーンインストールを実行しました。

インストールはほどなくして完了し、USBメモリを抜いて再起動したところ、何の問題もなく起動しました。SSDのセクタチェックでも問題は見つからず、結局ハードウェアの不良ではなく、データ破損が原因だったのではという結論に達しました。そう考えると、やはりOSの何らかのバグか不良によるものではということになり、なおのこと納得がいかないわけですが…

不治の病からの復活

このSurfaceですが、別の問題も抱えており、それは「タッチスクリーンのタッチ反応が暴発する」というものです。どこかの判定が効かないくらいであればまだましなのですが、「ある一点を猛烈な速度でタッチするように判定される」というもので、こうなるとマウスやタッチパッドの操作すらままならず、仕方なくWindows実行中はデバイスを無効にしてやり過ごしていました。

下取りに出すにしてもこのまま売るには難しいということで、この機会に改めて対策を調べることにしました。

以前調べた際は、Microsoftのサポートページやブログ記事に行き着き、そこに書かれた対策を一通り試した(といっても、再起動するとかその程度のことですが)ものの(当然)何の効果もなく、諦めていました。

海外にも同じような症状の人がいないものかと思い、めぼしい単語で検索してみたところ、ある掲示板で同様の質問があがっているのを見ました。そこで「俺はこうやって直した」という人の発言をたどると、下記のページにたどり着きました。

Sony eSupport - SVF15N190X - Drivers & Software

ここにあるキャリブレーションツールをダウンロードし、実行してみたところ、長い間悩まされてきたタッチスクリーンの問題が嘘のように一度で直りました。Windows上だけの効果かと思い、試しにBIOS画面にも入ってみましたが、そこでも問題なく動作したため、デバイスドライバもしくはファームウェアレベルで修正されたような感じです。経年によってデバイスレベルでタッチの感度に変化が生じるのを、しきい値を修正するなどしてキャリブレーションし直しているような感じでしょうか。

(※ 2018/04/26 追記)

なんと、この件で購入したDellのノートPC(Inspiron 13 5000 Series)でも、Surface Pro 3と同様の、「タッチスクリーン暴発現象」が発生しました。
きっかけは分かりませんが、前回終了時にWindows Updateがかかったと記憶しているので、何らかの関連性はあるかもしれません。

上記に挙げた「CalibG4.exe」を実行しても「Failed to init transport, status=11」というエラーが発生してしまい効果がありませんでした。

一から解決方法を模索していたのですが、この現象は、海外では「Phantom touch」または「Ghost touch」と呼ばれているようで、その単語で検索すると、いろいろと情報が見つかりました。

その中でも、この動画で紹介されている方法によって、私のPCではこのPhantom touch現象が解決されました。

紹介されている方法は、電源オプションの中の「電源ボタンの定義とパスワード保護の有効化」という項目の中の「シャットダウン設定」で、「高速スタートアップを有効にする」というチェックボックスを外す、というものでした。

(シャットダウン設定がグレーアウトされていますが、「現在利用可能ではない設定を変更します」をクリックすると変更可能になりました)

この方法が有効だったのか、それとも他に試した何らかの操作との合わせ技かはわかりませんが、設定を変更して再起動したところ、問題は解消されました。もし上記の「CalibG4.exe」が正しく起動しなかった方は試してみてください。

(※ 2018/04/26 追記 終わり)

消えたデータの行方

ハードウェアとしてはほぼ初期状態に戻ったものの、データがすっかりなくなってしまいました。データサルベージツールをいくつか試してみたものの、フォーマットしてしまうと効果がないのか、はたまた、BitLockerが有効になっていて暗号化がかかっていたためなのか、結局元に戻ったデータはひとつもありませんでした。

消えてしまって影響が大きいデータは主に「ブラウザの設定や履歴」「Steamのゲームのセーブデータ」の2つです。(他にもあるかもしれませんが、実際に復旧作業を進めてみないと気づかないと思います)

ブラウザはFirefoxをメインで使っていたのですが、設定などをクラウド共有する「Sync」のサービスは使っていませんでした。大昔、Surfaceに環境を移す際にバックアップした環境は残っていますが、数年前のものなので、今もそれが役立つかは微妙です。

スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末はChromeをメインで使っていたので、ある程度の設定はGoogleアカウントに保存されています。直近で閲覧したサイトやパスワード等の登録情報はそちらに残っているので、これを機にメインのブラウザをChromeに切り替えることも検討します。

そしてショックが大きいのがSteamのセーブデータです。ゲームのセーブデータが消えることのショックは、ゲームが好きな方ならわかっていただけるでしょう。幸いだったのは、私の場合ほとんどAAAゲームのように時間のかかるゲームはSteamではプレイしておらず、たくさんのゲームを10数時間ずつ遊ぶような遊び方をしていたため、プレイ途中で取り返しがつかないほどやりこんだゲームがなかったことです。

ただ、それも現在のSteamにはSteamクラウドという、セーブデータをクラウド共有可能なサービスがあり、それに対応したゲームのセーブデータはデフォルトでクラウド保存されているようになっていました。プレイしていたゲームのうち、対応していたゲームは半分からもう少し多い程度でしたが、それでもやりかけのゲームのデータが残っていたのは幸いでした。

継続か、決別か

ハードウェア的には問題がなくなったので、そのままこのSurfaceを継続して使い続けるか、新規にPCを買うかを改めて考えなおすことにしました。環境を作りなおす必要があるのはどちらでも変わりません。

OSリカバリをした時点で、とりあえず知人向けに買い手がつくか募集をかけ、新しいノートPCの物色を始めてはいましたが、このまま継続して使い続けてもいいかなと思っていたところで、会社の新人からぜひ買いたいという申し出がありました。

若い頃にはいろんな諸先輩方にお世話になったこともあり、若い人にはお世話してやれというのが私の信条なので、これも何かの縁だと思うことにし、新しいノートPCを購入する決心をしました。

新たな相棒

Surfaceは使いやすく優れたデバイスではありますが、不満がなかったわけではありません。

①microSDしか使えない
省スペースの結果として、通常サイズのSDカードは使えず、microSDしか使えません。SDカードとmicroSDカードでは、同じ容量でもそれなりの価格差があるため、やはりSDカードが使えたほうが便利ではあります。

②USB端子がひとつしかない
PCDJをやる際にはオーディオインターフェースと音楽データを入れたUSBメモリを同時に接続する必要があるため、USB端子は最低2つは必要です。今はUSBハブをつないでいますが、ケーブルの取り回しが面倒になるため、本体側に複数のUSB端子があったほうがありがたいです。

③DisplayPortしかない
ゲームをプレイする際や、まれにプライベートでプレゼンをする機会があるときに、テレビやモニタにつなぎたいことがあるのですが、HDMI端子がないため、DisplayPortとHDMIの変換コネクタを常に用意しておく必要があります。

④キックスタンドがPCスタンドに不向き
Surfaceの大きな特徴の一つに無段階のキックスタンドがありますが、これもPCDJをする際にPCスタンドに載せるには安定性が悪く相性がよくありません。板状になっている安定した机に載せるにはよいですが、PCスタンドのように不安定な場所に載せるようにはできていません。

どれもこれも機動性を得るために犠牲にしているものばかりですが、ノートPCとして使うことを考えるとこれらの省スペース化はいささかトゥーマッチであると言わざるをえません。

ということで、13インチ台の、いわゆる「MacBookクローン」的なノートPCからよさそうなものを選んで購入することにしました。15インチは以前使っていましたが持ち歩くには重すぎますし、11~12インチ台は一気に価格が上がるので13インチ台を選択し、ストレージは容量よりも速度や衝撃耐久性を重視して引き続きSSDを選択しました。

PCを選んでみて思ったこととしては、CPU、メモリ、ストレージといったいわゆるカタログスペックについてはそこまで価格を左右するものではなく、軽さ、薄さ、小ささといったモビリティなどの部分の方が大きく価格を左右するということでした。Surfaceはその点では機動性にかなり特化したマシンであり、その結果があの価格なんだなということが分かりました。

新しく購入するPCはSurfaceに比べると2倍ほどの重量があるのですが、持ち運ぶのは自宅にいるときとDJのときなどに限られるので許容することにしました。出張や帰省時に持ち歩くのはちょっと大変になりますが…

このブログはずっとこのSurfaceで書き続けてきましたが、それも今回が最後になります。今からこのPCにリカバリをかけ、新しい持ち主の元へ旅立ちます。次にエントリーを書く際には新しいPCからになるでしょう。まあ、内容的には何も変わりませんが…

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