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ゲームの思い出:バーチャロンシリーズ その2 電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム

 かつて、ドリームキャストというゲーム機があった。SEGAがPS2に先んじて発売したのだが、ハードの生産が追いつかず、一番売れる時を逃してしまい、そのままPS2に負けてしまったとされているハードだ。CMの効果などで発売当初の人気はかなりすごいものだった。生産が追いつかなかったのが悔やまれた。

このハードの特徴はアーケードのゲームがそのままにプレイできるものが多かった事だ。

当時もう最盛期を終えていたものの定番ジャンルとして定着した格闘ゲーム。弾幕シューティングというものがまだあまり認知されていなかったシューティングゲームなどなど。

そして、僕が忘れられないのはなんと言っても、電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラムだ。


 このゲームの人気は今でも根強い。
前作よりも超高速化した戦闘。新規行動の追加。
派手になった演出、かっこいい前作機体の後継機達。死神をおもわせる機体や女神のような機体など機体バリエーションの増加。
そして前作同様やりこめばやり込むほど自分に答えてくれるバーチャロイド。

しかし、当時から敷居はものすごく高かった。

 前作の時点で操作はかなり難しいゲームではあった。
CPU戦ならともかく対人戦に関しては異次元の敵と戦っていると錯覚する程に動きが違う。

オラトリオタングラム、通称オラタンは、前作に比べるとゲームスピードがかなり上がっているのだが、初代バーチャロン、通称OMGで熟練者と戦うと、相手の動きだけオラタンの様に感じるレベルで動きが違う。

ガンダムでいうとジムに乗っているときシャアの乗っているズゴックと対峙した気分になる。こちらはもちろん一方的に狩られる側である。
それくらい腕の差が如実に出るゲームだった。


それでは続編のオラタンはどうだろう。
オラタンは更に上級者向けに進化した。
僕は当初ゲームセンターでオラタンをプレイした時である。
前作をラスボスまで行けたからある程度はやれるだろうと一度やってみた。結果は3戦目で負けてしまいそうだった。しかし負ける直前に乱入者が現れた。
初心者をそのままゲームオーバーにするのは忍びないという相手のプレイヤーの大変ありがたい行動なのだが、これがトラウマレベルの試合となった。

攻撃が全く当たらないのだ。どんな攻撃を撃っても全て回避され、すれ違いざまに切りつけられる。

ズタボロに切り裂かれた僕のライデンは何一つ攻撃を相手に当てる事なく惨敗した。

シャアのズゴックにクローで串刺しにされた一般兵の気分だった。


 当時の僕は模型部に所属していた。先輩とはあまり話したりはしなかったが、同学年の二人とはよく話した。
高1の頃は部室でガンプラを作っていた。
僕たちがガンプラを作っている傍ら、先輩達は持ち込んだドリームキャストでゲームをしていた。
気にならなかったと言えば嘘になる。しかし和気あいあいとしている先輩の中に入っていくのはどうにも躊躇われた。
特に先輩の一人が本当に雲の上の存在だった人なので声をかける勇気が僕にはなかった。
まさか憧れてた人がたまたま入った高校にいるとは思うまいよ。

 高2に上がって僕たちが最上級生となった。うちの部は3年と1年しかいなかったからだ。
高2に上がって僕がまずした事は部室にプレイステーションを持ち込んだ事だ。
模型の資料と言い張り、アーマード・コア マスマーオブアリーナを遊んでいた。
このゲームの話はまたいつかしようと思う。
そんな僕を見ていた部長が、しばらくしてからドリームキャストを持ち込んできた。

ソフトはオラタンだ。

僕が今でもバーチャロンを遊ぶのは多分この部長のおかげだろう。


オラタンは操作難易度が高いゲームだ。
しかし、今までできなかった行動が実戦でできるようになっていくあの快感は他の何にも勝るものだった。

サッカーで初めてリフティングが100回できるようになった時。
ストリートファイター2で初めて波動拳を出せた時。

あれに似た快感を何度も何度もオラタンは僕に与えたくれた。
1週間ほど部室で部長のレクチャーを受けながらオラタンをプレイする。
その頃にはノーコンテニューでラストボスを撃破できるようになっていた。
オラタンのCPU戦はさほど難しいものではなかったのだ。

そして部長と対戦を始めた。

しかしこれが本当に勝てない。

僕はライデン、そしてグリスボックという、前作のベルグドルの後継機のような機体を主に使っていた。

部長が使うのはアファームド・ストライカー。

近接戦闘に特化したアファームドに重火器を持たせたとても格好良い機体だった。

しかし、その強さはと言うと遠近共に中途半端で使いこなすのが非常に難しい機体でもあった。

それを部長は使いこなしていた。

ライデンで相手の行動を予測してレーザーを置いておく、その際は武器のエネルギー消費を抑える為に片方だけで発射……。

色々な試行錯誤の結果、なんとか1セットは落とすことができる位には上達した。

その辺りである。

部長は本気の機体であるサイファーを使用し始めた。

この機体は前作だとライデンのレーザー一撃当てれば即死するようなダメージを負うくらいの装甲の薄さの空中戦特化機体、バイパー2の後継機だった。

攻撃が全く当たらなくなった。
しかし、以前ゲームセンターでやった時とは違い楽しかった。

相手の行動を読んでレーザーを置く、それは回避されるが、それを布石に相手の着地予想地点にグランドナパームを投げ込んでおいてそっちの爆風のダメージを与える……。 

できるようになった行動の積み重ねが確実に僕を強くしていた。

殆ど攻撃は当たらない。しかし徐々に攻撃が当てられるようになってきていた。

 3日ほどたつ頃にはそれを見た部員みんながオラタンをプレイするようになっていた。
模型部に入るような奴らだ。基本ロボットは好きなのである。

 ツインスティック――ゲームセンターと同じような感覚でプレイできる特殊コントローラーは無かったが、僕たちは構わずにドリームキャストのコントローラーでオラタンを遊んでいた。
次第に、移動しながら旋回できるようになる僕たちがチャロン持ちと呼んだコントローラーの持ち方など色々な事を開発した。

オラタンは中古屋でとても安く手に入った。大体1480円位で売っていたため、ドリームキャストとセットで1万円程で手に入った。
みんなこぞってオラタンとドリームキャストを買った。

そういうことが重なり、部でバーチャロンが大流行した。

対戦相手が複数常にいる対戦ゲームは非常に楽しい。僕たちは毎日何戦も対戦を続けた。

 一ヶ月ほど遊んでいた頃だったと思う。いつものように対戦していた僕たちに部長が言った。

 「あそこの産業道路のところのゲーセンにフォース入ったからみんなでいかないか?」
 「フォース?」
 「4人で対戦できるバーチャロン」

とんでもない事をサラリといって部長は笑った。


続く



電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム

ハード:ドリームキャスト

1999年12月9日発売。

販売:SEGA

※見出し画像は公式の物をお借りしています。問題があれば連絡をくださればすぐに消去します。



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