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GameHintのこれまで。失敗の歴史を語る。

この記事は寝椅子様主催のスマブラAdventCalendar2020の20日目の記事でございます。GameHintの運営であるしまぶーが記事を執筆いたしました。「GameHintって何?」という方は下記記事をご覧ください。簡単に言うとやや勢いのあるスマブラのイベント募集ツールです。

本記事ではGameHintの創業時の話や、どのような経緯でこのアイディアにいたったか、どのように広まっていったかをお伝えさせていただければと思います。

GameHint創業期

GameHintは、もう一人の運営のまっつんの一言から生まれました。もともと私(しまぶー)は起業思考が強く、常に起業アイディアを考えているような人間で、そのときはゲーム関係なしに成功しやすそうというベースでアイディアを考えていました。

ある日、良いアイディアを思いつき、そのアイディアで起業しないかとまっつんを口説きに行こうとしたところ、まさかの先手で、

「うまい人からゲームを教わるサービス作ったらおもしろくね?」

というハッとさせられる一言をもらいました。私が成功しやすそうかどうか(ちょっと卑しい言い方だと儲かるか否か)基準でアイディアを考えていたのに対し、おもしろいかどうかベースでアイディアを出してくるまっつん。

おそらく私の考えていたアイディアの方がビジネス的にはうまくいく気がする。しかし、果たしてそれは開発してておもしろいのか?自分がこの先ずっと情熱を持って続けられるのだろうか?

そういう自問の結果、自分のモチベーションが最も高い「ゲーム」という分野でこそ挑戦したいと直感的に思いました。失敗してもそっちのほうが人生的にはおもしろいだろうな...と。そこからGameHintは始まります。

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GameHint創業後のアイディア変更

もともとはまっつん起案の「ゲームを教わるサービス」を作る予定でしたが、スマブラや他のゲームのプロの方にお話を伺った結果、下記の事実が分かり、そのアイディアは断念することにしました。

・教える時間も練習して強くなりたい
・YouTubeを伸ばす方に専念したい
・1対1で教えるのは緊張するし色んな意味で不安
・短時間でゲームをうまくするのは難しい(=金銭に対する対価を十分に与えられない懸念)

どれも「たしかに」と思わされます。教える側の目線に立つと時間を縛られ多大な労力を割く割に、得られる報酬もそこまで多くありません。時間単価が数万円レベルの案件がたくさんあれば別ですが、現状は3,000円/時間などが多いように見えます。しかも、YouTube動画のような資産ではなく、あくまで労働時間に対する報酬なので自分が動かなくなれば収入は無くなってしまいます。

自分がプロだとしてもきっと使わないでしょうし、まして既にYouTubeで収益を得ているプレイヤーは使わないでしょう。YouTube活動をされている方は人気も実力もあるプレイヤーが多いので、サービス運営側としては使ってほしいですが、そういう方こそ使うメリットが薄いという矛盾もはらんでいます。

またこのアイディアは価値のあるデータが溜まりにくいです。教えた回数や時間、ユーザーからの満足度などのデータは取れますが、少なくとも私はそのデータを活用したおもしろい案を考えることができませんでした。そういう価値あるデータが溜まりにくいという点も、ビジネスをスケールさせる観点から見ると厳しく感じます。

上記の見解が正しいか否かは、既存のゲームを教える系のサービスの盛り上がり次第かと思います。爆発的にユーザーに使われるようになれば私達のセンスが無かったということですね😭

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GameHint模索期

アイディアを変えると言っても簡単には決まりません。開発には多大な時間も要しますので、作ってリリースした後で「やっぱりこのアイディアはダメだった」はNGなわけです。投資家から投資を受けたとは言え、もちろんお金が無限にあるわけではありませんので、何度もリリース→失敗を繰り返していると会社が死んでしまいます。

ゲームという領域内でちゃんと成功しやすそうなアイディアを探さなければなりません。ここからGameHintの地獄のアイディア探しの旅が始まります。以下、ボツ案列挙。

アイディア:ゲーム × NewsPicks

まず考えたのがゲームの情報収集です。ゲームのニュースに対して、トッププレイヤーがコメントしたら面白いのではないかというアイディアです。「セフィロス参戦!」というニュースに、スマブラトッププレイヤーたちがコメントしたら見たくないですか?私は見たいです。

という感じで出たアイディアですが、スマブラトッププレイヤーのコメントに対するインセンティブ設計の難しさはもちろん、「そもそもこの動画時代に文字を読む人はどのぐらいいるの?」って考えたときにナシとなりました。

実際、このアイディアは他社からサービスがリリースされていますが、現状はヒットとまではいってなさそうです。

アイディア:ゲーム × ブログ

いわゆるnoteのゲーム特化版です。今は各々が好きなプラットフォームで記事を書いており、まとまっていません。スマブラの記事が一箇所にまとまっていたら読みたいと思いませんか?私は読みたいです。

と考えたのですが、先のアイディアと同じく「そもそもこの動画時代に文字を読む人はどのぐらいいるの?」って考えたときにナシとなりました。一定数はいるかと思いますが、ビジネスを十分に拡大できるほどはいないだろうという考えです。

あくまでコンテンツの1つとして存在するのであればアリだとは考えていますが、これだけをメインでやっていくのは難しいだろうなーと思っています。こちらも実際にゲーム特化型のブログサービスがあったのですが、最近クローズしました。

アイディア:ゲーム × クラウドファンディング

クラウドファンディングサイトはいくつかあるけれどゲームに特化したものは無いな...と考えての案です。ゲームのクラウドファンディングが一挙に集まり、もし魅力的な募集を発見できたら支援したいと思いませんか?私は支援したいです。

結局こちらもボツに。大きな理由としては、既存のプラットフォームで間に合っているので新規でつくる必要性が乏しいと思ったからです。また支援する側として、高頻度で支援できるかというと(自分の経済的にも)厳しいなと考えていて、個人的に気持ちが乗らなかったのもあります。

アイディア:ゲーム × 動画まとめ

YouTubeの解説系動画やTwitterのバズ動画を集めた案です。例えばキャラごとに有益な動画がまとまっていたら、私は見たいです。

他社プラットフォームにガッツリ乗っかかる形なのが少し怖いのと、埋め込みになるので、UXを考えたときに本家(YouTube・Twitter)に勝ち目ないよねと思って断念。

ただこちらは未だにちょっと可能性はあると思っています。見返したい動画はたくさんあるんですが、探すのが面倒で結局探さないという場面は結構あるので、ビジネスはいったん置いといて個人的に欲しいです笑。

アイディア:ゲーム × レビュー

私は欲しいです。Amazonなどのショッピングサイトのレビューや、ゲーム誌のレビューよりも、信頼できるレビューサイトができれば面白いのではと思ったのですが、やはりレビューのインセンティブや、それ一本でやっていくにはビジネス的に厳しいという点でいったん保留としました。

アイディア:ゲーム専用ストレージ

アイディア:ゲームQ&A

アイディア:ゲームTV

etc...


ボツ!ボツ!ボツ!!!!

を繰り返して半年が過ぎます。本当にいくつの案がボツになったのか分からないぐらいたくさんのアイディアを出しました。頭だけでただ考えていただけではなく、実際にデモを作ってユーザーにヒアリングしたり、アンケートを取ったりしながら進めていましたが、決めるに決められない状況が続き、もがき苦しんでいました。

ゲーム領域でアイディアを出すのは本当に難しいです。私は他の領域だとアイディアをポンポン出せるタイプなのですが、ゲーム領域は関係者や法律の縛りが多く一筋縄ではいきません。まだ大丈夫とはいえ、口座残高が減っていくのを毎月見るのはツライものがありましたね。。。

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GameHint転換期

半年間、アイディアこそ決まりませんでしたが、学びがなかったかというとそうではありません。たくさんのアイディアを出し、ユーザーヒアリング・アンケートを取っていくうちに、みんなが強く課題に感じている部分が分かりました。

「イベント情報がまとまっていない」

実際にこれは私も感じていて、オフスマのイベントを探そうと思ったら、基本は鮫木さん(神)を頼りにする他ありません。鮫木さんのイベントまとめも、鮫木さんだからこそ為せる技です。

ここでひらめきます。もしかしたら、システム的な解決ができるかもしれない。イベント情報をサイトで一元化できたらスマブラユーザーにとって非常に便利なのではという仮説をたて、そこからアイディアを深堀りしていくことになります。

まずイベントをまとめるためには全イベントを知るべきだということで、日本全国のイベントをまとめました。結果、オフスマのイベント募集には非常に色んなツールが使われており、そしてスマブラに特化していない故に不満点があるということが判明しました。

なるほど、ユーザーだけでなく主催者側にも不便があるのか。それならばスマブラのイベントを1つのサイトにまとめつつ、そこで募集もできるようにしたら主催者もユーザーもwin-win!という1つの道が見えました。ここに辿り着けたのはGameHintの大きな転換点の1つです。

「よし、これを作ろう!!」

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GameHintリリースするも大誤算

開発はそこまで大きく困ることなく無事完成させることができ、2020年6月末に満を持してGameHintをリリースしました。私達の仮説通りなら、主催者は募集に便利なGameHintに乗り換えてくれるに違いない!!

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リリースして数日、無風も無風。平均どころか最大瞬間風速ですらゼロ。おかしい。半年間ずっと考えてきた私達は何だったのか。このままだと再びアイディア出しに戻ってしまう。それはさすがに会社が終わるぞ...。

細かい改善や施策を試みるも状況は変わらず、あまりの危機感に普段ポジティブな私もこの時期はさすがに堪えました...。ここからおよそ2ヶ月近く、無風な状態が続くことになります。

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ただ、この時期に心の支えになった事例が1つだけあります。ちょうど良い機会なのでお礼&紹介をさせていただきます。ちぐはぐ配信さんというYouTubeで視聴者参加型のイベントを開催されている方が、GameHintをイベントの告知・募集に使ってくださりました。ほぼ唯一と言ってもいいユーザーだったため、運営としては相当嬉しかったです。

また当初はオフラインでの使用を想定していたので、まさかのオンラインイベントの告知に驚きましたが、そういう運営が想定していない使い方は新しいアイディアに繋がることもあるため、非常にありがたく思ったことも覚えています。

現在、GameHintは宅オフの募集やチーム大会の募集にも使われております(これも想定できていませんでした)。もしGameHintでこういう使い方ありかな?と思われている方がいましたら、ぜひご自由に使ってみてください!運営としては大歓迎です!

GameHintで初の大規模イベント開催

オンラインでイベントを開催していただいたとはいえ、危機的な状況は変わらず続いておりました。

そんな状況に助け舟を出してくれたのがおぬさんです。仙台のイベントおばんdeすまっしゅ(おばすま)を開催されている方で、TwitterのDMで「どうやって運用されているんですか」「○○ってできますか?」などのご質問・ご相談から始まり、何度も長文でのやり取りをさせていただきました。

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そこから、8月29日開催の「おばすま」でGameHintをお試しいただけるとの話になり、初めてオフラインイベントの募集ツールとして使用されることが決定します。

そのときの「おばすま」は100名弱規模と、初めての募集にしてはあまりにも人数の多い大会だったため、サーバーが落ちたらどうしよう、バグが出たらどうしよう、と運営2人で相当ビビっていましたが、なんとか無事に乗り切ることができました。

ちなみにそのイベントは初めてのオフイベント開催記念&おぬさんと話がしたいということで、運営2人とも仙台に行き、見学枠でイベントにも参加させていただきました。

GameHint成長期

そのイベントを終えて以降、おぬさんがGameHintを色んな主催者の方にオススメしてくださって、だんだんと広まっていくことになりました。

初期は機能不足だったりバグがあったりと、サービスとしてのクオリティは低かったと思われますが、そんな状況にも関わらず採用してくださったイベント主催者様には特に頭が上がりません。

サービスを使っていただけると、バグ報告や機能要望をいただきながら開発することができるようになり、そこまで行くと後はひたすら溜まっていく開発タスクを消化するだけで、それなりに伸びていきます。ここからの成長は正直かなり早く、2〜3ヶ月でたくさんの主催者様・ユーザー様に使っていただけるようになりました。いつも使ってくださる主催者様・ユーザー様には本当に感謝しております。

今も開発タスクは山積みで、来年の4〜5月分ぐらいまでは溜まっております。忙しさは相変わらずですが、やることが明確な分、アイディア出しのフェーズと比べると精神的にも落ち着いております。

また前回のnoteを出してから、よりたくさんの方に応援していただけるようになり、それも大きな励みになっております。いつも応援ありがとうございます。

終わりに

以上がGameHintの歴史です。GameHintは高速で成長して順風満帆と思われていたかも知れませんが、実際は相当な苦労がありました。今後、世界を目指す上でも、間違いなく色んな壁が立ちはだかるかと思いますが、ひたすら考え抜いて、動いて、そして色んな方の協力を得て、乗り越えいきたいと考えております。

そして実は昨日がちょうどGameHint創業1年目にあたります。この1年を振り返ったときに、前半はほとんど成果が出なかったので両手放しで喜ぶことはできませんが、皆さんのおかげで後半はなんとか巻き返すことができたように思います 。来年度はもっと良い結果を残せるように、今年度以上に試行錯誤しながらGameHintを改善させていく所存です。

ちなみに現在はトーナメント機能を開発中です(かなり苦戦中ですが)。それが完成してようやく一気通貫で大会運営が行えるようになります。その他にも色々とおもしろい追加機能も考えていますので、ぜひ来年も楽しみにしていただけますと幸いです。

実は当初「GameHintのこれまでとこれから」というタイトルで執筆予定でしたが、想像以上に長くなってしまったので、「これから」についてはまた別の機会に書くことにします。そこでは今回よりもワクワクする話ができるでのはないかと思っております。

今後も色々と情報発信していきますので、Twitternoteをフォローしていただけますと嬉しいです。これからもよろしくお願いします。

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