教員養成課程の大学生が系統看護学講座を読んでみた話。〜看護学概論編〜その3

さて、久々になりますが、今回も『系統看護学講座 看護学概論』を読んだ感想を述べていこうと思います。

これは『系統看護学講座 専門分野Ⅰ 基礎看護学[1] 看護学概論』を読んで書いたものなので、実際に本を読みながら「この人はここでこう思ったんだな」って読むのが一番楽しめると思います。多分。

一応リンク張っておきます。

1.前回の補足

前回から秘書検定の試験があったり課題のレポートがあったりとあまり時間がなくこの記事を更新することができませんでした。
その間にもこの記事を書き続けるモチベーションがなくなってきたり書いた内容についての反省をしていたりといろいろなことがありましたが、結局次の系統看護学講座を買ってしまったのでまずはこの看護学概論を片付けてしまわなければならないのでさっさと書いてしまうことにします。

それはそうとして前回「翻訳が悪かったのかなぁ~」なんて適当な終わり方をしてしまったことについて少し心残りがあったのでWikipediaのNursing theoryを確認してみることにしました。

さて、まず日本語だと1.看護哲学、2.概念モデル、3.理論となっていた知的構造レベルに対応してそうなところを確認すると、知的構造レベルのような単語は見つかりませんでしたが、3つの階層構造らしきものが見つかりました。それぞれ
1.Grand nursing theories
2.Mid-range nursing theories
3.Nursing practice theories
と書かれていました。2番が中範囲理論を示しているっぽいところを見ると、これは3.理論をさらに細分化した感じなのかな?という感じがする。
看護理論⊃理論⊃中範囲理論
だったことを思い出すとつまり、
理論⊇Nursing theory
それでNursing theoryを和訳すると看護理論になるから...
看護理論⊃理論⊃看護理論
つまり
看護理論=理論
の等式が成り立つ。
...全然知的構造レベルに分解できてなくない?
Grand theoryも社会学の言葉っぽいしもう追いきれないなこれは。

気を取り直してメタパラダイムのほうを見てみよう。メタパラダイムのそれぞれは
1.The person(patient)
2.The environment
3.Health
4.Nursing(Goals, roles Functions)
となっている。こっちは訳の問題というよりはもとからのネーミングに問題があったぽい。ただ単純に看護って意味だけではなくて目的や役割機能のことを指している感じではあるみたい。もう少しいい訳があったような気もするけど仕方ないと言えば仕方ないか。

2.フローレンス=ナイチンゲール

前回の内容の深堀をしていると頭がこんがらがってきそうなので新しい内容に進むことにします。
ナイチンゲールの名前自体は看護に触れていない人間でも聞いたことがあったりなかったりとそこまで知名度がめちゃくちゃ高いってわけではないと思いますけど、この人すごいんですよ。
なんとあのレーダーチャートを考案した人なんですよね。
この人のおかげでゲームのステータスとかが見やすくまとめられているといっても過言じゃないと思うので私はそこまで嫌いってわけでもないです。

ナイチンゲールは看護学者ってだけでなく統計学者の面も持ち合わせているのですが、この人の何といってもすごいところは直感的にわかりにくい統計データをわかりやすく伝える方法を考案したところだと私は思っています。

行動経済学とかを少し齧るとすぐわかることですけど人間の直感って思ってるより結構雑なんですよね。経験論とかをあまりあてにしすぎると結構実際と離れた推論をしてしまいがちなんですけれど、それをただすための統計データって結構わかりにくいわけで、そこをわかりやすい形で伝えることができるようになるってかなり革命的なことだと思うんですね。

さて、そんなナイチンゲール先生はどんなことに着目したかというと、「病気」ではなく「環境」らしいですね。細菌学なども発展途上だった当時にこんなこと見抜くとか何者なんですかね全く。死者のほとんどが感染症によるものだということから見抜いたとも考えられますけどそもそも衛生状態と感染症の因果関係は当時から明らかだったんでしょうか。気になるところですけど深堀するとさっきのようになりそうなのでこの辺にしておきます。

(個人的には溺死者数を減らすためにニコラス・ケイジの映画出演を辞めさせる現代のナイチンゲールみたいな統計の誤解コメディも観てみたい。)

またナイチンゲールは「観察」も重要であると説いたことが残されていますね。これは看護学者であるとともに統計学者であることも関係してそうですよね。

そしてさらに述べているものに「病気は回復過程である」というものがある。大雑把にいうと自然治癒力を最大にするように生命力消耗を最小にする。そのために環境を整えるのが看護の仕事だみたいな感じでしょうか。

3.白衣の天使

ところで話をいったん明後日の方向に飛ばすと、アダム・スミスの言葉に「神の見えざる手」というものがありますよね。これも大雑把に説明すると個々人が自己利益を追求すると社会全体として適切な資源の分配がなされる様子を神が見えない手で導いているようだと表現したことから言われていることなのですが、元をたどるとキリスト教の終末思想の天国に導く神の見えざる手という表現が元のようですね。

何が言いたいかというと「社会全体として資源に偏りが生じている状態は不安定な状態であり、神の見えざる手がそれを安定した状態へと導く。」では人間において何が安定した状態であると言えそうでしょうか。
おそらくは「健康」な状態であるといえるでしょう。
さて、ここでナイチンゲールが発端となった看護師の異名を思い出すと「白衣の天使」なんですよね。

つまり「白衣の天使」は人間を不安定な病気の状態から安定した健康状態へと導くための神の使いなのです。

というのは私の考えた冗談なのですけれども。

実際白衣の天使の元はクリミア戦争に従事したナイチンゲールの様子からつけられたものなのでこのネーミング自体がかなり神がかっていると思います。

とはあれ看護師が健康に導く神の使いだという話は割と実際にモチベーション向上に使えそうな気もするので医療従事者の方がもしこれを読んでいるのであればいい機会の際に使ってみてください(笑)。

4.あとがき

今回はこの辺までにしておいて次回はヘンダーソンを取り扱っていきたいと思います。
このペースで続けていくといつ終わるのかが全く分かりませんけど夏休みに入ったら時間がたくさんあるのでその時にはペースよく進めていけたらと思っています。

こんな調子でこれからも書いていくので面白いなと思っていただいた方は、これからも読んで頂けると幸いです。ありがとうございました。

5.参考文献

茂野香おる.系統看護学講座 専門分野Ⅰ 基礎看護学[1] 看護学概論.第17版,医学書院,2019,384p,

「Nursing theory」『Wikipedia: The Free Encyclopedia』2021年2月5日 06:36 UTC,
https://en.wikipedia.org/wiki/Nursing_theory#:~:text=Nursing%20theory%20From%20Wikipedia%2C%20the%20free%20encyclopedia%20Nursing,a%20tentative%2C%20purposeful%2C%20and%20systematic%20view%20of%20phenomena%22.

「レーダーチャート」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2021年9月9日(木)21:08 UTC,
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%88

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?