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ことばと私(自己紹介に代えて)

 学部から院まで8年間、大学に在籍して、言語学を学んできた。
 とは言っても、そのうち実質2年は休学して、M2前期でドロップアウトしている。特に先のことを考えず院進した私は、修論の圧力に私生活のいろいろな事情までが重なり、うつ病になった。一度何に対する興味もなくなって、それでまだことばに興味を持っていられるのは、どう考えても大学の先生方のおかげである。あんなに楽しそうに講義をする先生方は、私の受けてきたそれまでの学校教育にはいなかったと思う。先生方の姿は、頭の中にとても強く残った。大学生のとき、私にとっての言語は、単なるコミュニケーションツールから、研究対象であり暇な時の思考の題材となった。

 大学に入って興味を持ったのは、人の書く言葉よりも話すことばだった。言語的・非言語的な媒体を使って一瞬一瞬でやり取りされる情報は、膨大なものである。「どうやってコミュニケーションが達成されているんだろうか」という問いは、私の原動力となった。卒業論文では、自然談話の中の役割語(発話キャラクタ)について分析した。研究がおもしろくなって、就職も先延ばしにしたかった私は、大学院に進学した。大学院では、さらに参考文献を増やして多角的に研究していこうと思った。だがこれは失敗した。というのも、私が分析したかったのは自然談話の中で行われる「遊び(例えば冗談を言う)」の場面であり、実験室では普段よりも起こりにくい現象だった。さらに私生活で他の問題が山積みだった私には、会話データの収録を依頼する相手を探すこともままならなかったからである。

 そのまま休学・退学の道に進んだ私は、いまだ研究室に後ろ髪を引かれながらこの記事を書いているというわけである。治療を始めたきっかけや卒論の内容については、今後投稿していこうと思う。

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