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骨董春秋アーカイブ3

昔から能を鑑賞するのがすきですが、忙しさにまみれて中々いけないでいました。お客さまで鵜澤先生のお弟子さんがいて、もう高齢なので券がきてもいけないと身代わり鑑賞の依頼がきまして行ってまいりました。

さあ、実際に宝生能楽堂に行ってみると演者も老齢化してヨロヨロしていました。観客はほとんどが高齢者、しかも「見てやっている」という姿勢がつよい人々です。盗み食いするようにチョコレートを口に放り込んだり、飲み物を飲んだり、舞を見ず持ってきた謡曲本のほうばかりみていたり、拍手したりブラボーなんて言ってしまったりしています。運営の方も、能楽堂の方もお客様には中々強く言えないようです。

元々、能はお館さまが舞ったりするもので、家来が観客で「見せていただいて」いるものだったのでしょうが、武家社会がなくなって150年近くたつ今ではそんな心持ちは化石にでもなったようです。

世は人につれと言いますが、あまりにも450年保存し続けられている日本の伝統に対して無慈悲です。

これは2022/9/3のアーカイブです。現在の記事はこちら


現代美術作家のつくった紙のお面

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