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目指したのは首領蜂?ビルクライム開発者インタビュー

2021年という時代に「ビルを壊すだけ」というシンプルなゲームがこれだけ流行るといったい誰が予想できただろうか?
開発者である530D氏がTwitter上にあげたゲーム画像はたちまち10万RTを突破しリリース前から話題になった。

ビルクライムはiOS/Androidでリリースされたスマートフォン用アクションゲームだ。
モンスターになってビルを壊して得点を競うというそれだけのものなのだが、ビルを壊す爽快さは特筆すべきものがある。
また壊れ方のこだわりがすごく、見ているだけで面白い。
ダウンロードしてまず驚くのは選べるモンスターの種類だ。リリース時点で60種類以上、1か月経った現在では既に100種を超えている。
またビルを壊すためのアイテムをその場で拾って使うことになるのだが、こちらのほうも50種類以上の多種多様なアイテムが存在している。
SNS上では毎日のように多くのプレイヤーが様々なモンスターでの「破壊画像」をアップして話題を集めている。


――このようなSNSでの盛り上がりは最初から想定していたものでしたか?

530D氏:
こういう時代ですので、個人で作ったインディーゲームってそのまま埋もれていくケースが多いじゃないですか。
せっかく作ったのにそれはもったいないなあと思っていて。
このゲームは個人でやっているので予算も無いですし、プロモーションにお金もかけられない。
そこでとりあえずTwitterで開発中の画面や動画をアップしてみたんですけど、思いのほか話題にしていただけて驚きました。
そこで「これはひょっとするといけるかもしれない」と思って、「衝撃的瞬間集」と「衝撃映像」ボタン(※)を実装することにしたんですよ。

※どちらもゲーム内機能でステージクリア時にこのボタンを押すと、今回のゲーム内での破壊画像や破壊動画をあとから保存することができる


――ということはこの2つの機能は最初は入ってなかった?

530D氏:
そうです。最初は壊すことって面白いなあってところから始まったんですが、それが拡散して広がっていく、ということはまったく想定していませんでした。
どちらかと言えばハイスコアを競う形で盛り上がってくれないかな?と思っていたんですが……


――530D氏が最初に上げた開発中画像はその得点※も注目が集まりましたね。

※194304951209123424567点(1垓9430京4951兆2091億2342万4567点)と表示されていた

530D氏:
私が子供の頃はゲームと言えばハイスコアを競うもの、という認識があって、ゲームセンターあらしだとか高橋名人ですとかもそういった文脈のなかで存在していたわけじゃないですか。
マイコンBASICマガジンやゲーメストで全国規模のスコアアタックがあって、「全一(全国一位のこと)」という概念が生まれたわけですが、インターネットが普及している現代は集計も容易いですし、それこそ世界規模での「全世界一」を決めることもできますよね。
それなのにゲームのほうがそれに追いついていないというか、そっちの方向を完全に無視している現状は寂しいなあと。
でもスコアアタックゲーを作って「さあハイスコアを競ってくれ!」と言ったところで誰も相手にしてくれなかったら意味がない。
そこでフックとして得点をべらぼうにインフレさせたらちょっとは話題になるかな?と。
ちなみに得点は単に数字を1000倍だとか10000倍表示にしているのではなく、ちゃんと1点単位で計算されるように作っています。


――スコアアタックでものすごく大きい得点と言えば首領蜂※が思い出されますが意識しましたか?

※ケイブ開発による縦スクロールシューティングゲーム。1995年発売


530D氏:
もちろんです。
首領蜂は億という桁に到達するシューティングゲームだったわけですが、弾幕系と呼ばれるゲームの始祖として、当時格闘ゲームに押されていたシューティングゲームを復興させた立役者でもありましたよね。
そのタイトルにあやかってスコアアタックを復興できないかなあと考えていました。
あと個人的に大好きなゲームだったというのもあります。


――最後に今後の展開と読者へのメッセージをお聞かせください。

530D氏:
いつも遊んでくださってありがとうございます。
皆さんがSNSに上げてくれる画像をいつも楽しみに見ています。
今後もアップデートを続けていきたいと思っていますので、新しいモンスターが追加された際にはぜひ試してみて下さい。
直近では4/1に大型アップデートと称して10種のモンスターと5種の新アイテムを追加する予定です。
ハイスコアのほうもアップして「全世界一」を目指してもらえると嬉しいです(笑)


――今日はありがとうございました。


現代のスマートフォン用アクションゲームは25年以上前のアーケードゲームという、まったく無関係に思えるゲームへのリスペクトに満ちていた。
ビルクライムも四半世紀以上先の未来で、ひょっとするとまったく違うゲームに影響を与えるタイトルになりえるのかもしれない。


©5meo PROJECT

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