「君、だれ?」第一話

「今日何日だったっけ?」

布団に横たわり天井を見上げるコータロー。

23歳。周りはみんな就職してる中フリーターを続けている。これといった目標があるわけでもない。
ただただ、毎日を生かされている人間だ。

「あぁ、もう9時かぁ、バイトの準備しなくちゃ」

やりたくもない仕事をして小銭を稼ぎ
酒とタバコに使って生命を削る。

「ありがとうございましたぁ〜」

週4、10時〜20時、2時間休憩。時給1000円。
居酒屋のバイトをしてるが、2022年現在コロナ禍の影響でお客も少なくシフトを削られる事もある。

1日8000円。週4日で32000円、1ヶ月128000円。

家賃2万円。
風呂無しの小さいアパートに住んでいる。

バイトから帰宅するコータロー。

家の前で不良の高校生が中学生をカツアゲしたいた。

コータロー「お前ら、やめろよ、ダセェ事すんじゃねぇよ」

高校生「あ?おめぇ誰だよ?」

コータロー「誰だっていいだろ?」

高校生「大人ぶるんだったらな、てめぇがこの中学生に変わって金だせよ」

コータロー「なんで?」

高校生「大人だから助けてぇんだろ?」

コータロー「いくら?」

高校生「5万」

コータローには
バイトで稼いだ8000円しかない。

コータロー「わかった。じゃこれで」

5円を渡すコータロー。

高校生「は?足りねぇよ」

コータロー「足りねぇのはお前の脳みそだよ、ガキんちょ」

隙をついて逃げ出す中学生

高校生「おい!待てよ!ちくしょう!」

コータロー「ダッセェ事すんじゃねぇよ」

ボロいアパートに入ろうとするコータロー。

高校生「きゃははははははは」

コータロー「何がおかしいんだよ」

高校生「人にダッセェとか言っておきながらお前はこんな家に住んでんのかよ!」

コータロー「は?」

高校生「俺はおめぇみたいな大人になりたくねぇよ!カッコつけて正論並べてるだけで、5万も払えねぇでボロ屋敷に1人で帰る大人になんかなりたくねぇ!って言ってんだよ!!!」

高校生を睨むコータロー

高校生「不条理を言葉だけで片付けるテメェみたいな大人をダッセェって言うんだよ!!!」

何も言い返せないコータロー。

高校生「金ねぇなら、カツアゲしたら?もっと良い家住めるぜ」

捨てゼリフを吐きその場からいなくなる高校生。


立ちすくみ下を向くコータロー
コータロー「俺はいつからこんな人間になっちまったんだ、、、」


〜5年前〜

「カキーン」

真夏に鳴り響く打球音。泥だらけになりながら声を張り上げるコータローがいた。


第2話へ続く

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