我々はいつだって442に帰れる 〜最新スカッドを読む〜

夏のメルカートが一通り終わりまして。

いつも終盤のビッグディールは”ほぇ〜”って言いながら眺めてるだけなんだけど今年は最終日、アトレティコ周辺が主役級に慌ただしかったですね。

ちなみに僕は起きてスマホ見たら

“サウルがロンドン行き拒否!?”
”グリーズマンのレンタル復帰は間に合わず”

みたいな状態で、”ほぇ〜”って言いながら顔洗って着替えて電車乗ったら

“やっぱり決まりました”

みたいな感じでズッコケた


ざっくりとスカッドの変化点をまとめます
※レンタル→別のクラブへレンタルなどは省略。スカッドの変化だけ書きます

IN
ルコント(←モナコ)
デ・パウル(←ウディネーゼ)
マテウス・クーニャ(←ヘルタ・ベルリン)
グリーズマン(←バルサ)
シャポニッチ(←カディス)
OUT
グルビッチ(→リール)
トレイラ(→アーセナル)
サウル(→チェルシー)
ビトーロ(→ヘタフェ)
ムサ・デンベレ(→リヨン)


FWが少し増えたのかな。

GK
オブラク
ルコント
CB
ヒメネス
サヴィッチ
フェリペ
エルモソ
SB,WB
トリッピア
ロディ
カラスコ
ヴルサリコ
CH
コケ
エレーラ
コンドグビア
ルマル
デ・パウル
ジョレンテ
FW
スアレス
コレア
フェリックス
クーニャ
グリーズマン
シャポニッチ


ここから今季の戦い方を紐解きます。と言っても基本的には先季と変わらないでしょう。主力で抜けるのはサウルだけだし

今回は、僕が考えているこのスカッドの疑問・不安な点をまとめます。

・エルモソの替わりがいない
・カラスコの替わりがいない

この2点がポイント。先季から心配だったこの2点、一つずつ解説します。


①左CB(エルモソ)を中心にしたビルドアップが軸なのにバックアップがいない


アトレティコの先季の戦い方の特徴であり、強みだったのは左CBに入るエルモソを中心としたビルドアップ。

形


ルマル、カラスコとの関係にコケまで含めたトライアングルで侵入していく攻撃パターンは、引いた相手を崩すための手段として機能し、様々なところで持て囃されていた、気がする。まあ、別に完璧な仕組みだったとか対処不可能なコンビネーションだったわけじゃないけど。
仮に今季も同じ事を軸にしようとしているなら、エルモソのバックアップを獲得しない事は疑問です。


さらに、ここに以下の疑問がある。

・3CBを採用するのにCBが4人
上記の通り、CBは4人しかいない。しかも現時点(3節終了時点)でフェリペが怪我で3人しかいない。その中でエルモソが退場して足りなくなった。
やむなくコンドグビアを左CBで使うスクランブルが発生しているのに、補強はなかった。それどころかネウエン・ペレスはレンタルアウト。フェリペが負傷しているなら、別に冬まで置いておけば良かったのにこのタイミングで迷わず放出。

・5人目はコンドグビアで良い?
まさかそんなはずはない。アトレティコがボールを握ってプレーするのはあくまでラリーガでの試合の事だ。CL決勝トーナメントではボールを放棄し引いて戦う事が求められる。その際の選択肢が「コンドグビアでいいや」なわけがない。ウイイレのやりすぎだ。別の視点から見れば、コンドグビア自身が「今季は第5CBでいいや」と思っているわけがない。そんな扱いなら出ていくべきだ。

・そもそもエルモソのバックアップって?
そもそもエルモソのバックアップとは具体的にどんな選手か?
エルモソの特徴は守備能力よりも強調される攻撃性能だ。これはこのチームの他のCB、ヒメネス、サヴィッチ、フェリペとは明確に異なる。このチームに連綿と引き継がれてきたCBの系譜とは大きく異なる文脈の選手だ。
そのため、「エルモソのバックアップはアトレティコのCBのバックアップにはなり得ない」と僕は思う。これは大いなる皮肉である。左CB専用のバックアッパーなのだ。しかも左だ。できれば左利きがいい。
“エルモソのバックアップを獲得する”というのは”他のCBの替わりは務まらないパスの上手い(左利きの)CBを一年間ベンチに置いておく”事を意味するのではないか。なんだそりゃ。つまり無理なのだ、アトレティコにとって。


②左CB(エルモソ)の対人守備能力の欠如を補うために左WB(カラスコ)が最終ラインに入る可変守備を採用しているのに、カラスコのバックアップがいない


続いて。
エルモソの守備能力は色々とチームの弱点になる。アトレティコとしては積極的に隠していきたい部分だ。その役割を、左WBのカラスコが最終ラインに落ちて5バックになる可変守備でこなしている話はしつこいほど何度も書いてきた。

カラスコ自身は非常に攻撃的な選手。
ワイドレーンでのドリブルの仕掛け、ルマルとのコンビネーションでPA侵入、走力を活かしてカウンターの先頭を走る、と攻撃のタスクを背負いながらSB守備もこなしている。労基に相談した方がいい。

で、彼にも替わりがいない。
守備能力のあるWB、じゃ駄目なんですね。左足でクロスあげる選手、ではつとまらない。主にロディがやっているが、ロディはSBだ。カラスコと同様の攻撃期待値を求めるのは酷すぎる。
カラスコの替わりをやるなら内側に切り込んで決定的な仕事ができないと駄目。カラスコに適任の仕事すぎる。できそうなの、フェデリコ・バルベルデぐらいじゃないですかね、ラリーガでは。

過密スケジュールでフル回転するのは厳しいタスクだし、カラスコはそもそも頑丈な選手じゃない。彼がいないと破綻するシステムっていうのは基本的にあり得ない。怪我したら終わりである。


まとめます。

今季も3CBをやるつもりならCBが4人では心配
そもそもエルモソのバックアップをベンチに置くという考え自体、現実味がない
カラスコのバックアップが務まる選手が世界中を探してもいない


では

・じゃあ、4-4-2をやろう
これが僕の言いたい事です。
“じゃあ4-4-2か”と。エルモソorカラスコが不在の試合という条件付きだが、ロディをSBに入れた4-4-2でやる。だからCBは4枚でいい。だからカラスコのバックアップはいらない。
これが今季の戦い方のポイントになると思っています。いつでも帰れる我々の実家です。

画像2


グリーズマンの加入はやはり大きい。
3-5-2だと使い道が微妙?な気もするのもある。コレアとの使い分けが気になるところ


・ビルドアップ構造は?

ビルドアップ構造

おそらくコケが落ちる形を取る。このチームは基本的にサイドアタッカーがいない。ジョレンテ、ルマルはハーフスペースに置きたい。
19-20シーズンに、CHが一枚落ちるビルドアップで手詰まりを起こしており(そもそもエルモソ起用に繋がった原因)、心配はあるが。あるいはデ・パウルが外側で仕事ができれば。

・ジョアン・フェリックスはどこへ行く
彼です。正直単純にツートップで考えたら彼の序列は5番目でしょう。僕は4-4-2の左サイドを提案したい

フェリックス

5バックに落ちるタスクがないカラスコ、と考えたら悪くないのでは。ベクトルは内へ


・5バック撤退はやらないのか?
4-4-2をやるなら一番気になるのはここです。どうするんでしょうね。楽しみです。やるなら。



・さて
別にエルモソもカラスコも健康で全試合90分プレーできるなら気にする事もない事ですが。そうもいかないのでね。プランBとして。

まだデ・パウルに期待されているタスクが確定していないのでふわついた内容ですが。クーニャもね。

連覇を狙うシーズン、厳しい組に入ったCL。楽しみにしましょう

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