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そういえば、そう、そういえば。

そういえば、と思って本棚から梅佳代さんの写真集『男子』を引っ張り出してペラペラとやる。これは自分で買ったものではなくて、はるか昔の誕生日に平絵里香さんから貰ったもの。平ちゃんもいまやお母さんだ。元気そうでなによりです。またいつか一緒にライブやりたいねえ。

そう。で、『男子』ね。すごくいいです。フィルムがおもしろくなってきたいまの自分にはすごく刺激にもなります。大判で見る写真はいい。

そういえば、が連鎖して、久しぶりに荒木経惟さんの『東京日和』文庫版のページをめくる。これはジョンBさんに貰った。荒木さんの亡くなった妻、陽子さんへのむき出しの感情が詰まっている本で、ちょうど父を亡くしたばかりの自分にとって、とても大切な一冊になった。もう一冊買って、母にも送った。
当時の自分には荒木さんの自筆の文章がひしひしと突き刺さり、それも手伝って手書きブログを書くきっかけになったんだけど、ちょうど手段が目的にすりかわってしまう頃「木嶋佳苗の拘置所日記」の狂気にあてられてしまって、今はちょっと手書きブログの更新熱は冷めてしまったところがある。またいつかやるかもしれないけど、もう二度と更新しないような気がする。

ところで、この本に収録されている陽子さんの文章もすごくいい。連載をまとめたものなのだけれど、残念ながら絶筆となっている。
あったかもしれないもの、について考えるときりがなくなってしまうが、それでもこの続きを読んでみたいと思わせる文章で、それが途切れたあとに荒木さんの得もいえぬ感情が文章と写真で綴られていく。そのすごみは、まさに撮り続けることでしか表現し得ない種類のものであり、写真という記録メディアが記録メディアを越えていく瞬間の連続でもある。
とか、わりと知ったふうなことを書いてしまうのがおれの悪いところ。結局は肝心なことを見落としたりしてしまうことがしばしばなので、あとはめいめいでお願いします。

それはそうと、知人からもらったり借りたりした本というのは、あまり興味がなかったジャンルであっても妙にこころに響いたりするものです。この間、入院中に林さんに貰った本もベッドの上で読んでしまった。EGくんに借りた諸星大二郎もあっという間に読んでしまった。そろそろおれも友達に本をあげる番なのかもしれない。

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