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【男体山】登りずくめ

 「すべての湖はその傍にそびえ立つ山の姿で生きてくるが、中禅寺湖と男体山という取り合わせほど過不足なく、彼我助け合って秀麗雄大な景色を形作っている例も稀である」(深田久弥著『日本百名山』)

 午前4時半ごろ東京の自宅を出発。2時間ほど車で高速道路を走ると日光に至る。「いろは坂」という曲がりくねった一方通行の山道を登り、トンネルを抜けると中禅寺湖があらわれる。

 二荒山神社中宮祠の駐車場に車を停め、登山の準備をする。午前7時半ごろ登山開始。中宮祠の入り口で入山料1000円を納めると、代わりに「登拝交通御守護」と書かれたお守りをもらう。これを首から提げて山に登る。

序盤は樹林帯を進む。久しぶりの本格的な登山に息があがる。「湖畔から山頂まで約千二百米の高距で、ほとんど登りずくめの急坂である」。『日本百名山』の一節に実感が伴ってくる。

 3合目を過ぎると舗装された林道が続く。登りずくめの後の気分転換にちょうどいい。4合目からは再び急坂が待っている。さらに7合目付近は「観音薙」と呼ばれるガレ場に入る。岩をよじ登りながら山頂をめざす。

 9合目を過ぎると景色はすっかり変貌する。赤茶けた砂地に踏みしめて進む。午前11時ごろ山頂に到着。二荒山神社奥宮のある山頂は広く、大神の像や鐘などがあり、大勢の登山客が昼食休憩をしていた。

 急坂の下山は足にくる。最近の運動不足もたたって太ももが悲鳴をあげながらの下山だ。登りの時には気分転換になった舗装された林道が下りでは地獄のアスファルトとして足に響いてくる。

 そんなこんなで午後2時ごろ二荒山中宮祠に戻ってくる。距離8.3キロメートル、高低差1220メートルのハードな登山だった。

 足はガクガクだがせっかく中禅寺湖まで来たのだからと、華厳の滝に向かう。エレベーターでくだり、比較的近くで滝を見学。その後、目星をつけていた近くのホテルの日帰り温泉に向かったが、休日はホテル利用客のみということで断念。少し車を走らせて日帰り温泉「やしおの湯」へ。浴場は大混雑で、洗い場は行列ができていた。

 ゆったり温泉につかると今度はお腹が空いてくる。夕食は日光の市街地にあるけんちん汁店「古はし」。店内は外国人観光客が多かった。注文したのはけんちん汁付きの白身フライ定食。具だくさんのけんちん汁が素朴な味わいでおいしかった。(2024年5月25日)

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