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【斜里岳】スリリングな沢登り

 今年もまた北の大地にやってきた。昨夏は利尻山と大雪山(旭岳)の2座を登頂。今夏は斜里岳(1547メートル)を目指す。

 今回は女満別空港から北海道入り。初日は網走市の観光名所である「博物館網走監獄」や「モヨロ貝塚館」、「能取岬」に足を運んだ。夜はカーリングのまち・北見市に宿泊。夕食は名物の焼き肉で翌日の登山に備える。食べ過ぎに注意しながらもカルビやタンなど王道の肉を味わったほか、「タケノコ」という牛の動脈にも挑戦。ホルモンは苦手だがタケノコのコリコリとした食感は嫌いじゃない。道民によると、焼き肉のシメは冷麺が定番という。「郷に入っては郷に従え」で冷麺をおいしくいただき、ホテルに戻った。

モヨロ貝塚

 登山当日。午前4時、北見市内のホテルを出発。約2時間の道のりで登山口まで向かう。午前6時ごろ斜里岳の登山口となる山小屋「清岳荘」(せいがくそう)に到着。週末ということもあって、すでに駐車場には多くの車が停まっていた。

清岳荘

 午前6時半登山開始。整地された林道を進んでからが本格的な登山道だ。斜里岳は徒渉が多いと聞いていたが、予想以上に小さな沢を何度も何度も渡っていく。前日に雨が降ろうものなら増水で足を取られそうな場所がいくつもある。

 1時間余り歩くと分岐の「下二股」に到着。往路は沢沿いの旧道を進む。ここからは徒渉の技術レベルがさらに上がる。勢いよく流れ落ちる滝の横をよじ登っていく。でも、水しぶきを浴びながらの登山はほかであまり経験できるものではなく、爽快で楽しい。足元には最大限注意しながら、「羽衣の滝」、「万丈の滝」、「見晴らしの滝」、「七重の滝」、「霊華の滝」といくつもの滝を越えていく。

勢いよく流れ落ちる水流の真横を通る

 分岐の上二股まで来ると、スリンリングな沢登りも終了。携帯トイレブースで用を足して、いざ山頂へ。沢登りで足の筋力を酷使したはずなのに、ランナーズハイもといクライマーズハイとでも表現したくなるほど、元気が涌いて来て、急坂を力強く登っていく。しだいに頭の上を遮るダケカンバは消え、ハイマツが広がる景色に変わる。1500メートル程度の標高でこうした高山の雰囲気が楽しめるのはやはり北海道登山の醍醐味だ。

 日光が照りつけとも戦いながら「胸突き八丁」を登り切ると、馬の背にたどり着く。到着直後、中高年の団体の登山客に「若い人たち、お先に」と道を譲られたものの、さすがにいったん小休憩。呼吸を整え最後の登りに向かう。ガレ場を進んで午前10時ごろ斜里岳山頂に到着。雲がかかっているので、知床連山を一望とまではいかなかったが、十分満足できる景色。ホットコーヒーと道民おすすめのスコーンでリラックスした。

 山頂の標柱には「斜里岳」の隣に「オンネヌプリ」と書かれている。『日本百名山』(深田久弥)によると、アイヌ語でオンネは「大」、ヌプリは「山」の意味という。「斜里岳は大きく根を張った山である。原住のアイヌ人が素朴にオンネプリ(大山の意)と呼んで、神の如く尊崇したと伝えられているのも納得出来る」と深田は記している。

斜里岳山頂

 帰路は上二股の分岐まで引き返す。途中、よろけた時に登山道脇から出ていた枝に脇腹がヒット。足を打撲するのとは違う鈍い痛みにしばらく苦しむ。上二又の分岐から尾根道中心の新道を使う。途中、「竜神の池」へ寄り道するルートもあったが、下山を優先してスルー。黙々と尾根道を進んでいく。午前11時50分ごろ熊見峠。下二股で残っていたおにぎりを食べ、徒渉に気をつけながら下山。午後1時半ごろ清岳荘に帰着。

 下山後は道の駅「パパスランドさっつる」(清里町)内にある温泉で汗を流した。道の駅からは雄大な斜里岳がくっきり見えた。この日の宿は斜里町内の宿泊施設。夕食は海の幸を満喫できる御膳。大満足の北海道遠征となった。(2024年7月27日)

温泉施設が入る道の駅パパスランドさっつる

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