ジャンプ力を上げるのはドロップジャンプと垂直跳びどっちなのか?
結論
短期的にジャンプ力を上げるなら垂直跳びが圧倒的に効果的だが。。。
はじめに
近年 プライオメトリックというジャンプトレーニングはスポーツのパフォーマンスアップ効果が高いトレーニングとして人気が急上昇しています。研究も爆発的に増えてきており、様々なプライオメトリックの効果や、効果の大小、そして1つ1つのトレーニングの効果について検証されています。
今回は、その中でもジャンプ力を上げるのは間違いないトレーニングである、垂直跳びとドロップジャンプを比較した 2020年のスイスのフロンティアフィオロジー という科学雑誌に掲載された研究をご紹介します。
カウンタムーブメントジャンプの紹介
カウンタームーブメントジャンプはしゃがみ動作で反動を使ったジャンプ全てを指します。一般的に私たちが計測するのは腕の振りがあるカウンタームーブメントジャンプ、いわゆる垂直跳びというやつです。垂直跳びの研究は多く、スポーツのパフォーマンスに関する論文にも多く登場します。当然、垂直跳びを主体としたプライオメトリックトレー二ングで ジャンプ力アップする効果は研究で証明されています。(Holcomb et al。、1996; Gehri et al。、1998)。その他、ボックスを使ったジャンプなどもカウンタームーブメントジャンプが主体です。
ドロップジャンプの紹介
ドロップジャンプは1967年にロシアの陸上競技コーチYuri Verhoshanskiが開発しました。その当時は、75cm〜110cmほどの高さから飛び降り素早くジャンプするというトレーニングで 別名「ショックトレーニング」と言われていました。この75cmという高さは実際に跳んで見るとかなり高く、膝や足首を痛めてしまうリスクがあります。そのため、トレーニングの位置付け的には、最後の仕上げで使うものでした。それから、研究が進み 現在は20cm〜50cmの台でドロップジャンプを行うようになっています。これは高さよりも 台から降りて素早く跳ぶ事の方が重要だと考えられ、比較的低い高さでトレーニングする事により 通常のジャンプ時の急速なパワー発揮を向上させる事が可能です。そして、このドロップジャンプは多くの研究でジャンプ力が大幅に上がると発表されており、早い段階から取り入れる指導者も多いです。(Bobbert、1990; Markovic、2007)。
研究方法
参加者
33人の女性バレーボール選手(15〜32歳)地域レベルで週に2回練習
プライオメトリックトレーニング(4〜15年)の経験あり
ただしトレーナーによる専門的なトレーニングの経験なし
研究デザイン
トレーニングの前後に、4つの異なるジャンプタイプで評価しました:
(a)手を腰に当てた反動ジャンプ
(b)腕を振った反動ジャンプ(バレーボールのブロックジャンプ)
(c)助走反動ジャンプ(バレーボールのアタックジャンプ)
(d)高さ37cm台からの腕を振ったドロップジャンプ
トレーニング方法
メニュー
期間 6週間 週2回 1日60回のジャンプを実行
反動ジャンプグループは助走なしの腕を振った反動ジャンプを3回 ジャンプ間の休憩3〜5秒 5セット セット間の休憩30秒 その後2分休憩し 4回繰り返す ドロップジャンプは37cmの台から腕を振って行う3回 ジャンプ間の休憩3〜5秒 5セット セット間の休憩30秒を行なっています。ドロップジャンプグループはこの逆です。そして参加者に全てのジャンプを全力で行うよう指示し、モチベーションが維持できるようジャンプの高さの記録を数回、伝えました。
研究結果
6週間のジャンプトレーニングにより、両方のグループでジャンプの高さが大幅に増加しました。すべてのジャンプタイプで、80%の反動ジャンプを使用したグループは、80%のドロップジャンプを使用したトレーニングよりも大幅に改善されました(垂直跳び平均16.7% ドロップジャンプ平均7.3%)。反動ジャンプグループはジャンプの高さを6.1cm増やすことができドロップジャンプグループはジャンプの高さを2.1cm増やしました。
したがって、バレーボール特有のブロックやアタック時に使用するジャンプは、反動を使った垂直跳びのトレーニングがより効果的にパフォーマンスを上げます。
最後に
この研究結果は垂直跳びがドロップジャンプよりもジャンプ力向上に効果がありましたが、論文を詳細に読み、その他のドロップジャンプやジャンプ力の研究結果を読解すると長期的にはドロップジャンプが優れていると考えられます。この事についてはyoutubeでまとめていますので ご興味がある方はそちらをご覧ください。
理学療法士 飯田桂士
参考文献
Van Hooren, Bas; Zolotarjova, Julia Author Information:The Difference Between Countermovement and Squat Jump Performances: A Review of Underlying Mechanisms With Practical Applications:Journal of Strength and Conditioning Research: July 2017 - Volume 31 - Issue 7 - p 2011-2020
Nikolaos Pentidis, Falk Mersmann, Sebastian Bohm, Erasmia Giannakou, Nickos Aggelousis & Adamantios Arampatzis:Effects of long-term athletic training on muscle morphology and tendon stiffness in preadolescence: association with jump performance:European Journal of Applied Physiology volume 120, pages2715–2727(2020)
Jan Ruffieux,* Michael Wälchli, Kyung-Min Kim, and Wolfgang Taube:Countermovement Jump Training Is More Effective Than Drop Jump Training in Enhancing Jump Height in Non-professional Female Volleyball Players:Front Physiol. 2020; 11: 231.Published online 2020 Mar 17.
Bosco C., Komi P. V., Ito A. (1981). Prestretch potentiation of human skeletal muscle during ballistic movement. Acta Physiol. Scand. 111 135–140. 10.1111/j.1748-1716.1981.tb06716.
Bobbert M. F. (1990). Drop jumping as a training method for jumping ability. Sports Med. 9 7–22. 10.2165/00007256-199009010-00002
Markovic G. (2007). Does plyometric training improve vertical jump height? A meta-analytical review. Br. J. Sports Med. 41 349–355. 10.1136/bjsm.2007.035113
Holcomb W. R., Lander J. E., Rutland R. M., Wilson G. D. (1996). The effectiveness of a modified plyometric program on power and the vertical jump. J. Strength Cond. Res. 10 89–92.
Gehri D. J., Ricard M. D., Kleiner D. M., Kirkendall D. T. (1998). A comparison of plyometric training techniques for improving vertical jump ability and energy production. J. Strength Cond. Res. 12 85–89. 10.1519/00124278-199805000-00005
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