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天の岩屋戸編、完結。

外のどんちゃん騒ぎが気になって、天の岩屋戸(あめのいわやど)に手をかけられた天照大御神(アマテラスオオミカミ)は、細く岩屋戸をお開きになり、踊り狂っている天宇受売命(アメノウズメノミコト)にお尋ねになりました。

アマテラス「私が洞窟に籠もっているんやから、高天原(たかまのはら=天上界)も葦原中国(あしはらなかつくに=地上界)も真っ暗になってるはずやのに、なんでみんなめっちゃはしゃいでるん?」

天宇受売命がそれに答えて

アメノウズメ「フゥ〜!どうしてって?それはあなたよりもすっごい神様がいらっしゃったからじゃない!それがうれしくてみんなでパーティーしてんのよ!」

アマテラス「マジで言ってる!?私、太陽の神やで!?」

こういった会話が行われている間に、天児屋命(アマノコヤネノミコト)と布刀玉命(フトタマノミコト)が、天の岩屋戸の隙間から見えるところに八尺鏡(やたのかがみ)をセッティングしました。その鏡をチラ見した天照大御神は、映っているのが自分とは気づかず、

アマテラス「ホンマや!私と同じような太陽の神様が現れてる!」

と勘違いをし、

アマテラス「もっと、ちゃんと見たい、、、」

と思い、もう少し岩屋戸を開けようとした瞬間!ここからはスピード重視です!

岩屋戸の脇に隠れていた天手力男命(アメノタヂカラオノミコト)が岩屋戸をドーン!天照大御神の御手をグイッ!空になった洞窟の入り口に布刀玉命がしめ縄を張って『立入禁止!!』の札をペタッ!見事な連携プレーで、岩屋戸を封印し、天照大御神が中に戻れないようにしました。

そして、すっかり天照大御神が姿を現すと、八百万の神々から一斉に大歓声が起こりました。

アマテラス「何????どゆこと????」

八百万の神々「せーの、大成功ー!!!!」

アマテラス「えー!ドッキリ!?ホンマ勘弁してよー!」

かくして、高天原と葦原中国に、再びまばゆい日の光が蘇りました。

このドッキリを企画した知恵の神である思金神(オモイカネノカミ)は、ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、ある不安を覚えます。

オモイカネ「今回はうまくいったからいいものの、二度と天照大御神様がお隠れにならないようにするには、その原因をどうにかせんとあかんのじゃないか?」

天照大御神が岩屋戸に隠れたのは、弟の須佐之男命(スサノオノミコト)の横暴が原因です。八百万の神々で会議をした結果、須佐之男命に罰を与えることに決めました。

まず、罪穢れ(つみけがれ)を祓う(はらう)品物を負わせます。いわゆる『罰金刑』です。さらに、髭を切り取り、手足の爪も剥がしました。ついには、高天原からの追放、いわゆる『天下り(あまくだり)』を命じ、地上へ追放しました。

ここから、物語は須佐之男命が降り立った地上界の話になっていきます。

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『天の岩屋戸』は古事記でもだいぶ有名な話です。日本で初めての『ドッキリ』だと思われますが、神様も引っかかるし、神様も大爆笑するんですから、そりゃあ令和の今の時代でも、ドッキリのテレビが有り続けるわけですよね。

そして『天下り』という言葉が出てきました。こちらは今の時代でも使われていますが、古事記の中では『罰』という意味として使われています。今の時代では、国家公務員の役人が、民間企業に高待遇で迎え入れられることをいいます。『甘い汁』という意味で使われているので、これは正反対の意味ですね。

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