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北里大学|“沼”にハマりがちな北里の人々

「沼」とは、抜け出せないほど熱中する趣味のこと。ここ北里大学にも、どっぷりハマっている学生と先生が。趣味を語り合ううち、いつしか話は生き方そのものに広がって……。読めば沼にハマりたくなる(!?)、マニアック対談スタート!

(聞き手)北里大学 入学センター 竹村友希さん

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(深海魚マニア)
西野勇馬さん(TOP写真左)
北里大学 海洋生命科学部 海洋生命科学科 3年
3歳で釣りを始め小学1年生でゲームフィッシングの世界記録を達成、現在は世界記録34と日本記録51を保持。サメやエイ、深海魚などが大好きで、「深海魚ハンター」としてメディア出演多数。

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(イカナゴマニア)
阿見彌典子先生(TOP写真右)
北里大学 海洋生命科学部 講師(水族生理学研究室)
北里大学水産学部水圏生物科学科卒業、同大学院水産学研究科博士課程修了、博士(水産学)。魚の脳ホルモンを研究するうちに知った「イカナゴ」に夢中に。最近はイカナゴのことしか考えられない。

── 西野さんは次年度、阿見彌先生の研究室に入るんですよね。魚類好きという点で共通点が?

阿見彌 「釣り好きのヤバい学生がいる」という話は聞いていて、まさか内分泌がテーマの研究室に来るとは思いませんでした(笑)。西野くんが好きなのはあくまで釣りなんでしょう?

西野 そうですね。今のところ347種類釣り上げました。ただ、食性や行動を熟知していないと釣りはできないので、関わりはありますよ。

阿見彌 よかった、釣りしか興味なかったらどうしようかと思っちゃった。でも私は魚はちょっと。

── それは爆弾発言ですね……。先生、アクアリウムラボでイカナゴの展示もしていたのに。

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/ NOTES /
北里アクアリウムラボ
有志の学生が企画・運営するミニ水族館。いろんな沼にハマった学生が参加している。阿見彌先生はイカナゴの展示に協力したことも。内容はかなり本格的!

阿見彌 鱗が苦手で……。でも魚を見たり研究したりするのは大好き。とくにイカナゴは神ですね。

西野 イカナゴのどういうところが魅力なんですか? 関西方面で穫れる小さい魚ですよね。

阿見彌 魚の食欲に関する研究のために、休眠して餌を食べない時期がある魚を探していたんですよ。そこで「イカナゴという魚がいる」と教えてもらったのが2015年。最初は地味な魚だと思ったんですけど、砂に潜って夏眠するというだけでなく、調べていくと生息海域によって生態も違っていたり、すごく面白い魚だとわかって。どうしても飼育したくなって、たどり着いたのが愛媛の水産会社と岩手の漁師さん。そこからがまた楽しくて……。

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(研究室で飼育しているイカナゴ。くぎ煮にすると美味)

── ……先生! 阿見彌先生! すみませんが、できるだけ手短にお願いします(笑)。

阿見彌 ああ、はい。最終的に飼育に成功して、今はやりたかった実験をガンガンやってます(笑)。イカナゴと出会えていなかったら、こんなに研究生活を楽しめなかったんじゃないかなぁ。

西野 釣ってみたいですねぇ。今までで一番小さいのが3センチくらいのグッピーだからいけるかな。

阿見彌 グッピーも釣るの! 釣りの人って川とか海とかこだわりあるじゃない、どこで釣ったの?

西野 父島の川です。僕が好きなのは深海魚ですけど、狙うのはすべての魚。どれだけの種類を釣れるかを人生の目標に掲げて、釣ったことがない魚がいる場所に出かけます。1種類を専門に釣る人もいますけど、僕の中に外道(目的以外の魚)はいなくて。少し種類が違うフグに出会えたりするのも楽しい。釣ったことがある魚でも分類が変わることがありますし、別種だと思われていたものが遺伝子を調べたら同じだったという例もあって。つまり……。

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(東京港から船で24時間かかる父島で釣ったグッピー)

── 西野さん、西野さーん! あの、手短に……。えっと、釣りの魅力を一言で言うと?

西野 実際の生態に触れていると常に違う魅力があって、やめられないですね。阿見彌先生は?

阿見彌 イカナゴに限らず、どんな研究も、やればやるだけわからないことが増えていくのがハマる要因のひとつじゃないかな。好きなことを仕事にする生き方は恵まれていると思います。常に頭に研究がある生活をしているから、逆に楽しくなかったら苦行でしかない(笑)。

西野 強烈に魅力を感じていないと、挫折しちゃったりするでしょうし。そもそも、沼にハマる人って、興味がわいたら突っ走るタイプですよね。

阿見彌 行こうと思ったら、迷わず行くよね。……でも、釣りだけじゃなくてちゃんと研究室にも来るよね? ちょっと不安になってきた(笑)。

── 西野さんは将来どういう道に進むつもりなんですか? やっぱり研究者になるんでしょうか?

西野 釣りを仕事にしたくて、最近YouTubeも始めました。当面の目標はラブカを釣ることです。

── ああ、映画「シン・ゴジラ」でゴジラ第二形態のモデルになった古代魚ですね。私も好き。

阿見彌 なんでそんなこと知ってるの!? 沼にハマった人がここにもいたか……。

── 北里はいろんな分野の深い話を聞けるから、沼にハマりやすい環境なんです、きっと(笑)。

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/ NOTES /
海洋生命科学部
増殖生物学、環境生物学、応用生物化学の3講座・12研究室で水圏生物の利用に関わる幅広い研究が行われ、その成果を教育に還元。マニアックな先生多数。

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記事の内容は、2020年02月取材時のものです。