京大を卒業して【終末京大生日記35】

 桜も全盛期を終え、徐々に葉桜に移行する今日この頃、みなさん、お元気でしょうか?私はちょっとだけ元気です。私は今、京都を離れ、東京で就職をしました。「勉強できても結局サラリーマンかよ」諦めるのが半分、「東京が自分の死に場所じゃないぞ」思う強い気持ちが半分。そんなこんなでやっています。


 このブログには私の脳にぐるぐる回り続ける言葉たちを書き留め、それ以上考えないようにする意味もあり、私も新生活3週間目に入ってきついこともあり、誰かに読んで欲しくて久しぶりにブログを書き綴っています。とりとめのない些細な話、お気に召すよう。


 さて、私は今、新人研修の一環としてコンペをしています。仕事というよりかはインターンシップのイメージに近いと思います。4人チームで企画をし、スライドを発表するという内容となっており、勝ち進むと会社のお偉方の前で入社半月にして発表すると言うアツい進展もありました。そんな中で、会社のスローガンとして1番を目指そうというアオリもあり入社1発目から結果を出してやろうと多くの新入社員が息巻いていました。打ち合わせ初回でチームリーダーを募ったところ、誰も手を挙げることなく、まあ、ちょうどリーダーをやりたかったところだし、リーダーをやることにしました。



 私は大学1, 2回生の頃、サークルの運営などに自分で何かをやりたいと思った際に、上の学年の人が仕切っているからという理由で自分から言えなかった経験もあり、その頃から積極的に自分から物事を動かしたいと思うようになりました。そして、つい最近、お笑いコンビ・令和ロマンのくるまさんがどこかの動画で、人と何かをするとき、自分から積極的に主導権を握りに行き、他の人とは仕事上の関係として付き合うと楽に進められるというお話をされていたことも頭に浮かんだ、ということもリーダーをやるという決断をした理由の一つです。



 さて、初めの方は良かったのですが、時間が経つにつれてちょっと問題が生じてきました。メンバー4名のうち、1人、すごくスライドデザイン上手な女性がいるのですが、その人とどうも折り合いが悪いことに気がつきました。私は他のメンバー4人の主張を逐一聞いて、その度にやる作業を決定し、時間的な制約を守りながらスケジューリングをし、発表の構成を考えるという作業をしていました。その中で、発表の主張や論理の組み立てについて、自分の思ったことを言う、という仕事をしていましたが、どうもスライドを作っている彼女の中で作りたい形というものがあって、その形は私の作りたいそれとは違うようでした。



 私は、ほかの3人のうち誰かが意見を言うと、それに対して意見を集め、最終的に方針を決めるという立場をとっていたのですが、どうもその女性が自分の方を見ないことに気がつきました。初めはちょうど机の対角に座っていたからだと思いました。そんな中で、自分たちの発表のテーマについて、2つの大きな方向性から選ばなくてはならない場面が生じました。このテーマについては3, 4回も話し合われたほど深い問題で結局4人から意見は出たものの、話はまとまり切らず、その度に打ち切って別の作業をしていました。



しかしながら、スケジューリングは常に問題なく進んでおり、私たちのチームは1日7時間の作業量のうち、2, 3時間程度の余裕がありました。



 そんな中で、私は、せっかくだからと、コンペの根幹技術について隣の文系の新卒の同期の男性に話したりしていました。私たち理系の技術者にとっては本質的で、ものすごく重要な作業ですが知らなくても目先の作業を完成させられる部分ではあります。その話をしているとき、どうも彼女の顔つきが曇り始めたと思いました。10分程度話してもなお巻いているスケジュール。



 再び発表のテーマが話題に上がり、3人がぽつり、ぽつり、と意見を言う中、私は特にうまい名案が思い浮かぶでもなく、自分に割り振った作業を進めるために画面と睨めっこをしていました。そのとき突如先ほどの女性がが「リーダー!」と強い口調で私を読んだのでした。私はそれに対して少し腹が立ちました。同期の男性は、何度も同じ話をするのは時間の無駄だというもっともな指摘をし、私はそれを受けてリーダーとして議論を纏めにかかりました。最終的には元々その女性が実現したかった内容が、他方の案より工数が少ないという大きなメリットがあり、それに一致しました。



 その一件からその女性の様子が次第に不穏になり、そんな最悪のタイミングで、同期の男性が体調不良で休むことになりました。単純に増える作業量。お昼の時間になり、他の1人が友人のところに行ってしまったところ、私はテーブルにその女性と2人で取り残されることを察知しました。そして、逃げるように別の部屋で作業をしている同期を呼び、その人とお弁当を食べました。



 雰囲気は私の中でもう限界。とうとうその女性は「勝ち進んでもだるいだけだし、それなりでいっか」「一週間で終われてよかった」などと熱を冷ますようなことを言い始めました。私は腹が立つとともにがっかりしてきました。配属が別なので、もう会わないと思って苛立ちを隠そうとしないのかとも思いました。



 唯一の救いは、くるまさんの言葉を受けて張っておいた伏線でした。私はリーダーなのでグチを言われても方針を決めることができる根拠があるのです。もしも雰囲気が悪くなった時に、さらに自分が納得していない作業をやらされていたら最悪だったでしょう。関係もまさに仕事上の関係。サークルの時よりはマシです。



 思うに大人になるとはこういうことなのかなと思います。個と公を区別し、役割を与え、仕事上の関係を築く。そうすれば折り合いが悪い人とも形だけは守って作業をしていける。やはり年上の人から学ぶことは多いです。これからもことあるごとに仕事論を聞いて学んでいきたいと思いますが、とりあえず今日はこのコンペが無事に着地できることだけを唯一願います。

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