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黄金長方形と白銀長方形が美しい文系的な理由

はじめに 人間はどんなものを美しいと感じるのか? この問いに対する解答の一つに、黄金比(1:1.618)と白銀比(1:1.414)があります。パルテノン神殿や法隆寺などに見いだされていますね。 しかし、「こじつけやんけ!」と思う人もいるはずです。 当たり前ですが、これらの比は美の絶対的な基準ではありません。「こことあそこの比率が黄金比になっている!」と言われても、その比だけで構成されているわけではないのですから、こじつけと思うのも納得です。 ですが、あえて言うと、黄金比は美し

    • 軍属と肉

      明け方に目が覚めた。かけっぱなしにしていたラジオは環境音放送に変わっていた。今の仕事についてから毎日、眠りが浅い。 体を起こして髪をとかし、ひげを整え、ミルクでパンを流し込む。以前はベーコンも食べていたが、今は食べられなくなった。 背広に着替えて家を出る。東の空に太陽が顔を出していた。 始発の路面電車に人は少なかった。毎朝見る中年の男がひとり乗っているだけだった。 庁舎につくと、平沢と鉢合わせた。 「おはようございます、平沢さん」 「ああ、牧野くん。おはよう」 平沢の顔は青白

      • 夜を食う

         四辻(よつじ)は一昨日の金曜から風邪をひいていた。冬の終わりになると四辻は決まって風邪をひいた。風邪の程度はまちまちで、立てないほどのめまいがする年もあれば、軽い鼻づまりで終わる年もある。ただし風邪をひかない年はなかった。  今年は少々ひどいものだった。一昨日の朝、起きると喉の奥が痛んだ。身支度を整えているとだんだんと頭も痛くなっていき、帰ってくる頃には悪寒とひどい鼻づまりまで憑(つ)いてきた。昨日はよりひどく、終日布団の中で呻吟していた。早朝に目が覚めても布団から出ずい

      黄金長方形と白銀長方形が美しい文系的な理由