蒲田健の収録後記:西寺郷太さん

戦国時代の最終的な統一者は、ジャネット。

西寺郷太さんの最新刊「ジャネットジャクソンと80’sディーバたち」

マイケルジャクソン、プリンス、などをキーワードに80年代ポップスを

多角的に分析してきた西寺さんが持ってきた最後のピースは、

ジャネットジャクソン。

もちろんビッグアーティストではある。

だが、マイケル、プリンスに比肩するほどの存在なのだろうかと疑問に

感じる向きもあろう。

影響力はそこまで甚大ではないのでは、と。


さにあらず、と西寺さんは説く。

確かにマイケル、プリンスの成し遂げた業績はとてつもない。

そして彼らの強烈な個性をカレーやキムチに例える。どんな料理でも

カレー風味、キムチ風味にしてしまうほどの問答無用の個性なのだと。

それに対してジャネットは出汁である、というのが彼の見立てだ。

食した瞬間にわかる味ではないのかもしれない。しかしじっくりと

味わえば必ず豊かな風味の中にそれは見出すことができる。

更にそれは他の様々な料理に転用しうる万能性を持ち合わせる。


90年代以降、現在に至るまでの、日本を含めたポップスのそこここに

散見されるジャネットの方法論。百花繚乱であった80年代を収束したのは

彼女の奥深い味わいだったことを見出した西寺さん。慧眼である。


「じんわりと いたるところに 広がりし

           彼女の影響 恐るべしだ」


P.S. 

生まれながらのセレブリティで「職業:セレブ」で生きていくことだって

十分可能であったのにも関わらず、あえて茨の道を自ら選択し

開拓していったジャネット。実際に彼女にお会いしたことがある

西寺さんは、この世の人とは思えない崇高さを感じたと

おっしゃってました。むべなるかな。


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