蒲田健の収録後記:前野ウルド浩太郎さん

誰かが人生を捧げて研究しなければ、

バッタ問題はいつまでたっても解決されない。


前野ウルド浩太郎さんの最新刊「バッタを倒しにアフリカへ」


日本にいるとにわかには信じられないが、アフリカでは「神の罰」とも

称され、世界の陸地の20%にも及ぶ範囲で甚大な被害をもたらすという

バッタ。人類が被る最古の災厄のうちの一つともいえるもの。

にも関らず、抜本的な対策は未だ確立していない。この、云わば人類の

難題に果敢に挑んでいるのが若き昆虫学者・前野さんだ。


幼い頃読んだファーブル昆虫記の感動が端緒となり研究者の道を志す。

縁あってバッタがメインターゲットとなりどんどん魅せられる。

やがてその熱意は現地の人たちの心も打ち、敬意をもってミドルネームを

授けられるまでにいたる。


そんな前野さんの研究の最終的な目標は、「バッタを全滅させる」ことでは

ない。人類の脅威とならない程度にその数をコントロールし、

共存共栄しうる落としどころを探ること。そして同時進行でバッタの

持つ様々な驚異的能力を解明すること。


措置を講じなければならない対抗勢力という側面はありながら、

本質的には愛してやまない存在であるバッタへのリスペクトはブレない。


「フルモデル チェンジである 相変異

        リアルにしちゃう すごいぞ バッタ」


P.S.研究、論文発表が学者としての本文であるわけですが、その過程を

ストーリーとしてわかりやすくアウトリーチする今回のような著書は、

門外漢にとっても刺激となり、ひいてはそれが科学への理解・認知の

一助となるはず。新たな知見の開陳も楽しみに待ちたいと思います。



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