蒲田健の収録後記:西原理恵子さん

「不幸」の絶対値が高いがゆえに、今そこにある日常の愛おしさが

きらめき、絶対値が反転した「幸福」が立ち現れる。

では前提が「幸福」であったら、なにが出現するのだろうか。

西原理恵子さんの最新作「ダーリンは70歳」。

「YES!新世紀バカップル漫画!!」の文字が帯に踊る。

掛け値なし、見事なまでのバカップルである。

パートナーであるダーリン高須克弥さん(高須クリニック院長)が70歳、

西原さん50歳。生物学的な残り時間は限られている。

見栄や世間体に費やす時間はない。

つまらないケンカで停滞してるヒマはない。

「幸福」を最大化することにある意味彼らは極めて貪欲である。

手をつないで歩くし、ペアルックでテレビの全国中継に映る。

それらが必ずしも二人のコンセンサスではなくても、

どちらかが望み「幸福」になるのであればそこに躊躇はない。

人の業が生む「不幸」が底流にありながら決して暗くならない、

というのがこれまでのサイバラワールドの骨頂であった。

サイバラ史上初めて、「不幸」ではなく「幸福」を下敷きとする

今回の作品。

今そこにある日常の愛おしさが触媒となって、「幸福」の度合いは

倍増する結果となった。

「ついている キズこそ値打ち ヴィンテージ 

いま人生の ハッピーアワー」


P.S.

今回ご自宅に伺って収録しました。長野の家具職人に作って頂いたという、

大砲の車輪のような脚がついた分厚い天板のリビングテーブルが

かっこよかったなあ。


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