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明日を頑張る希望を「いつか花咲くステージへ」イベスト感想+MORE MORE JUMP!振り返り【プロセカ】

各チャプターで1人づつ焦点を当てるワールドリンクイベントの第4弾でした。今回もイベストを踏まえつつ、メンバーのこれまでを振り返っていきます。

桃井愛莉

 モモジャンのしっかり者姉御肌で、情熱と不屈のアイドル魂の持ち主。歌って踊る能力も十分あるものの、切れのある言葉の力を中心にバラエティ適性が高すぎたせいでそちらばかりを求められ、アイドルとしての自分は求められていないと思ってしまった過去を持ちます(それでも周りを突っぱねて移籍までして自分を貫こうとあがいたのも強さを感じます)。そんな愛莉が「モア!ジャンプ!モア!」を筆頭にこれぞアイドルな曲で先陣を切って歌うのが凄くいいです。モモジャンでもう一度自らが求めるアイドルを追求するなかで、咲希など自分のファンと接して、過去の「バラエティアイドル仮面」だった自分もアイドルとして元気を与えられていたことを知り、過去を肯定できるようになっていきました。
 今回、過去忙しさですれ違った友達あゆみちゃんと一緒に帰っている姿が出てきて、「Re-tie Friendship」は個人的にかなり刺さったイベストだったので凄い良いスチルだなと思いました。モモジャンが軌道に乗ってきた中で「華」を他のメンバーに任せて自分の役割を「適材適所」に置こうとしますが、これは過去に自分が蹴った道です。セカイでファンの想いに触れ、歌って踊る場所もまた自分の「適所」なんだと気付きました。企画力の高さもですがとても見え方を捉え、見せ方に長けている所は非常にアイドルらしくあります。これからもガンガンあざとくアイドルしてほしいです。

桐谷遥

 そのスマイルで数多の人を陥落させた、研ぎ澄まされ洗練されたアイドル。ファン対応もストイックな努力も苦にせず自然と出来てしまった所は、完璧を求められ出来なかった雫と対照的でもあります。今回、ASRAN時代も疑問に思ったことは上の人にもしっかり意見をする姿、それにプロデューサーがしっかり答える姿に、なぜ一度トップになったのか片鱗が見えた気がしました。
 アイドルに笑顔を教わったあの日から、明日を頑張る希望を持って進めば順調に突き進めてしまったからこそ純粋に「希望」を信じていたし、仲間にそれを押し付けて苦しめてしまったと思いステージに立てなくなった、そしてみのりによりまた立てるようになったメインストーリーの重さが、遥の輝きが示されるごとに感じられます。
 ともすれば軽くなってしまうモモジャンの「希望を届ける」、この言葉の重さが、同じように希望を届けたいと作った曲が誰かを傷つけていると知り曲が書けなくなった長谷川さんに向き合った「つなぐPainful Hope」、そしてその書き下ろし曲「イフ」に担保されているように思います。「歌じゃ人生も何もきっと救えない でも君の為に歌いたい」絶望も現実も知って、それでもなお誰かの力になりたいと強くなった遥にピッタリの一節です。
 原点であるお姉さんに自分が再び輝く姿が届いた時の顔、反則ですね。

日野森雫

 外見も内面も清らか過ぎる美少女。他者のことを本当に悪く思わず、偏見なく他者の良い面を見れるところと、泥臭いひたむきな努力が美しい。その魅力を全く見抜けず活かせなかったチアデ時代のプロデューサーの残念さが際立ちます…。極度の方向音痴はその時は本人なりの確信を持って進むのに毎回間違ってしまう言わば"コンパスがズレている"タイプのようです(私も方向音痴ですが直ぐに方向が分からなくなり立ち止まる"コンパスがない"タイプです)。
 おっとり天然というと何事にも動じずマイペースで自分を貫くと見られがちですが、雫はどちらかというと抜けている自分が好きではなく、失敗や周りの失望には落ち込みやすいです(だからこそ、頭の切れるしっかり者の愛莉はずっと頼りになる憧れの存在)。周りの理不尽な期待と勝手な失望を沢山浴びせられても、それを自分のせいだと真正面から受け止めてしまうのは雫の良さでもあり不器用さでもあります。でも、その決して生まれもって強くはないメンタルだからこそ、他者の弱さに寄り添うことができます。
 優柔不断な優しさから誰かを守れる強さへ、というのは穂波とかなり共通するところがあります。斎藤さんに一歩踏み込みマネージャーに導いた「その手導くぬくもりは」は過去に向き合い進む雫の強さと優しさがとても出た素敵な話でした。これからも斎藤マネージャーを時に頼りにしながら、時々(無自覚に)狂わせてあげてほしいです。

花里みのり

 遥からもらった希望を胸に、七転びどころでなく転んでも起き上がる何事も全力な少女。奏を溶かす眩しさで、飼い犬サモちゃんは元気いっぱいで飼い主そっくりです。オーディションに50回落ちたエピソードは後のアイドル史に残る伝説となるでしょう。
 想いの強さは当初から突出していたとはいえ、最初はずぶの素人感が否めず配信でも酷評されていました。未経験の身から一線級だったアイドル達と比べられながら、それでもひたむきに努力を続け、少しずつファンを増やしていきました。垣根なく人と関われるところや(「スクランブル・ファンフェスタ!」ではビビバスやワンダショの手ほどきを受けグイグイ成長しました)、ファン目線・ファン心理に造詣が深いところは早い段階で活かされていましたが、場数を踏んでくると、目の前の人のために体が動く優しさと行動力だったり、素直で大きなリアクションだったり、何事も懸命ながら独自のセンスが光る「素で言うことが面白い」(遥評)ところだったりと、実は結構持っていたアイドルとしての素質が発揮されるようになりました。
 「もっともっと」、めちゃくちゃ屈強な転ばない人から聞くと「あなたはできるけど」と思ってしまいます。でも、みのりはしっかり転びます。上手く行かないこと、落ち込むし傷つくことも沢山ある、でも起き上がり努力します。みのりだからこそ希望を与えられる人が、みのり自身が思う以上に沢山いる気がします。

 その特殊性と知名度ゆえ逆に物語としては珍しくない「アイドル」という題材ながら、届ける側と受け取る側のすれ違いといった(メタ的に)プロセカ自体も含めたコンテンツ全般を取り巻く難しさを正面から扱う話がモモジャンは多く、そこに向き合う姿が読めば読むほど好きになっていきました。この先もどんな困難があっても、それを越える彼女たちの希望の物語を見ていきたいです。

画像出典:『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』イベントストーリー「いつか花咲くステージへ」2024年、
SEGA・Colorful Palette・Crypton Future Media
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