時計の針は戻らないけど「灯を手繰りよせて」イベスト感想【プロセカ】
まふゆ父はおそらく典型的な優秀な仕事人間だったと思われます。出来る上に人が良くて断らないから仕事でどんどん頼られる、大切な娘と過ごす時間が少ないのは寂しさもあるけど、妻は教育に熱心だし、よくできる子だから大丈夫。ところが、娘は家に帰れなくなってしまった。娘の苦しみに気づけなかった過去の自分を恥じながら、過去の分を取り戻すではないけれど、娘のために時間を割いて奔走する父の姿がストーリーで描写される様子だけでも想像できます。
しかし、娘はおろか妻も喧嘩別れした日のことはあまり話せません。まふゆ母の様子は初期まふゆを想い起こさせます。両者の抱える問題は本質的にかなり近い、それに気付いて向き合うのは大変なことです。
「もし、お父さんにまで否定されたら」と家出した日のことが話せないまふゆ。しかし、リンが尋ねた「まふゆにとってお父さんはどんな人なの?」という問いに、語ったのはあまり家に居なかったことだけ。この問いは重要で、本当にそれだけならそんな人に認められなくても別にいいじゃないとなってしまいます。
雷の音、そして父からのメッセージ(このメールから父もこの件は印象に残ってそう)で、雷の音が怖くて寝れなかった時に手を繋いでくれて、安心して眠れたことを思い出しました。「その時の優しさを信じて」話す決意を固めます。
ついに伝えた「本当は医者になりたいわけじゃない」。父の「そうか」に対する反射的な「ごめんなさい」が痛々しいです。しかし、その真意は娘への失望などではなく、わからなかった今までのことが一つ繋がった納得と、思い込み気づけなかった自分への後悔でしょうか。
そして「何があってもお父さんはまふゆの味方だ」。(読んでて”この一言が欲しかった…”と声に出してしまいました)良い子でなければ捨てられるという恐怖心を突き崩すためには、無条件の愛を示すことは必要不可欠です。
もっと前にこの言葉があれば…とはまふゆにも父にも言えますが、時は戻りません。でも、ここからでも、気づけたことを大切にして進んでほしいと思います。
一つ進めて、大切な想いを得たまふゆ。そして、否定される怖さを最も理解する瑞希にも、ついにその機会が、あるいはそうせざるを得ない機会が訪れるのか。怖さもありますが、しっかり見届けたいです。
画像出典:『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』イベントストーリー「灯を手繰りよせて」2024年、
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