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仲間と高め合う共通点、違いがあるからこその交わり「交響する街の片隅で」イベスト感想【プロセカ】

 志歩と杏、それぞれのユニットが目指す目標は彼女たちから始まったという大きな共通点を持ちます。「プロとして誰かの心に響く演奏をする」という目標がLeo/needみんなの目標になった志歩、伝説を超えるための最高の相棒としてこはねをストリート音楽の世界へ導いた杏、共に音楽一家に生まれ長く音楽に本気で向き合ってきた経験値を持ち、そしてユニットを引っ張って来た存在です。

 しかし、大きな違いもあります。志歩は一貫してレオニの技術を引っ張る存在であり、メンバーが成長してからも変わりません。皆の意識も志歩が本気で出来るようについていく、志歩はメンバーに応えて引っ張っていけるようにという意識です。これは杏がこはねの爆発的な成長に「相棒として並び立てなくなる」と感じているのとは対照的です。

こはねにとっては杏は一貫して引っ張ってくれる存在なのが、またもどかしい。
バントとストリートという音楽の違いもあるが、この気持ちの違いは大きい。

 杏は焦燥感をあまり表に出そうとはしません。しかし、その思いも志歩が感じたように本気だからこそであり、原動力にもなりえるもの。無理に振り払うものではありません。

真っすぐ伝えられるのは志歩のかっこよさ。

 自分に足りなさを感じているという点では途中に出会った絵名も杏と共通しますが、また違いもあります。才能がないと突き付けられて一度は逃げた絵の世界、自分を認めてくれたニーゴのためにその世界に戻り、天才たちの中で必死でもがいている。ずっと目標に向かってきた2人とは歩みは大きく違います。
 ただ、仲間とよいものを作ろうと本気である点は共通しています。志歩が感じた「苦しそうな顔も、真剣さも、仲間のため」。正面から絵に向き合えるようになり、実力をつけているからこそ自分に足りない部分がどんどん見えてきた段階であり、取り組む中で楽しさを感じる機会はほとんどないかもしれませんが、それでもとにかく誰かに認められたいと苦しんでいた頃とは質の違う、大切な感情なのだと思います。

才能もなく「努力の天才」型でもなかった。でも、そんな自分を認めて進めるようになった。
かっこよさが極まるセッション。目標に本気で向かう人ほど、目標と関係なく純粋に楽しむ機会も必要なのだと思います。

 最後に、司に触発されて知らないビビッドストリートに飛び込んだ寧々が登場。彼女もまた仲間に追い付けるように、仲間といいものを作ろうと努力していますが、到達点のイメージに大きな違いがあります。ワンダショは他ユニットと大きく違って、メンバーがそれぞれの夢をかなえると別の場所に至ると思っています。この点は類が別の未来を模索しているところであり、今後の物語で大きなテーマになるとは思いますが、同じ仲間のためでも違いがあるのは深い所です。

教えてほしいと勇気を出して踏み込んできた一歌のように。

 かつては孤独に音楽の道を歩んでいた志歩。レオニのみんなやクラスメイトのみのり・こはね達との関わりを通して、不器用さが目立っていた言動の実直さやストイックな姿勢を良い方向に発揮できるようになったと思います。音楽を通して人と繋がれるようになった志歩の今後の歩みも楽しみです。

「一匹狼」だった誇りは良い方向へ昇華して、心揺さぶる音楽へ繋がる。

画像出典:『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』イベントストーリー「交響する街の片隅で」2023年、
SEGA・Colorful Palette・Crypton Future Media
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