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"ズゴゴゴビシー"を伝える工夫「perspective for smile」イベスト感想【プロセカ】

 慶介お兄ちゃんはズゴゴゴビシー、晶介お兄ちゃんはチクチクギューン、ひなたお姉ちゃんはポヨヨヨヨ~ン。とてもえむらしい表現であり、それぞれの人物を見ると確かにそんな感じがするかもと思えるため、個人的には何となく受け入れてきました。自身の感覚を加工せず表現した独自の擬音表現はえむの良さでもありますが、確かに「わかりそうでギリギリわからん…」にも多々なります。感性の違う多くの人にその場一回限りで伝えることが必要な舞台において、どうすれば伝わるか伝え方・見られ方を考えることが鍵となりました。

でもいつものこれも笑顔の素。元も大事に、必要な時に工夫できる力があれば。

 武者修行編第2弾は見るからに熱い座長鬼島さんが率いる三日月座。殺陣を中心とした時代劇で、今後三日月座の公演に出られるか見極められることに。牛若丸と弁慶という鉄板の題材に対し、元々身体能力が高く自由奔放さが重なるえむが主役牛若丸となりました。主役になりたい気持ちを抑え、ワンダショの最善を考えた司に、大人になったなあと感じました。

 親和性の高さから早々に役を掴み、殺陣の動きもすぐに会得するえむ。劇を早々に形にします。しかし、鬼島さんの手本のような牛若丸らしさを出すには、恐れ知らずの牛若丸は木刀が目の前に振られてもピクリとも動じない、だから演者もそう表現する必要がある、そしてそのためには(役を憑依させる天才でなければ)訓練する必要がある。「掴んだ役を完全に表現しきる」ということが示されますが、ここでのえむはまだ(それは大変なことだけど)自分を100%出し切れればいける、と思っていたでしょう。

さまになっているレンくん、全然さまにならないミクちゃんどちらもかわいい。

 しかし、動きは良くなっても何か足りない、それが何かを尋ねた鬼島さんから返ってきたのは、えむは人の感情の機微に聡く(この表現まさにと思いました)役を掴むのは得意でも、それを表現するのは苦手ではないかという問いかけでした。
 えむは感じた想いを率直に口に出せます。だからこそ「自分の感じたことを人に伝えるのが苦手なんじゃないか?」の段階では本人も驚きピンときてないようでした。でも「考えていることを、なかなか人に理解してもらえなかったことはないか?」と言われると、確かにえむにとってストレートに表現した擬音表現は司や寧々にも伝わらないことが多々ありました。独自の表現はえむの良さでもあるのですが、こと伝えるという点において、特にエンタメとして舞台ではその場一回限りで伝え切ることが必要と考えると、普段から生の感覚を「伝わりやすいよう加工せず」表現しているえむにとって、伝えるという視点は弱点と言えそうです。

鬼島さんのように全国を回り同じ劇をするとまではいかずとも、人に見てもら反応と意見をもらうことで自分にない見方を知って、それを反映して修正することはできます。(個人的にも、私は教員ですが生徒から学ぶことは本当に多く、何かを多くの人に伝えたいなら、沢山の受け手の見方を知ることは必須だなと思います。)

 課題の日、弁慶をからかい楽しむ牛若丸を見事に演じたえむ。演者として、そしてエンタメを提供する運営者として、大事なことを学びました。機会を掴んだ時代劇村での物語も楽しみです。
 今までで一番演者としてのえむに焦点が当たった回でもあり、えむの少年ボイスを沢山楽しめた意味でも良いイベストでした。

画像出典:『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』イベントストーリー「perspective for smile」2024年、
SEGA・Colorful Palette・Crypton Future Media
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