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我姓张,弓长张。/ 弓に長と書いて、張です。

wǒ xìng zhāng,gōng cháng zhāng
我姓张,弓长张。

私は張と申します。弓に長と書いて、張です。

10か月間、北京語言学院(現北京語言大学)でみっちり勉強した。人生において受験勉強以降もっとも根を詰めた期間を過ごした充実感があった。街中での移動も買い物も、ちょっとした読み物も問題なし!自信がついていた。

学院での勉強を終え、帰国までの5か月間、自社の北京駐在員事務所で研修という名の手伝いをすることになった。当時北京で最も背の高いビルと言われた「京広中心」は、ビルから外出しなければ都内のオフィスと変わらなかった。

ただ、事務所といっても事業の本格展開前のため、日本人駐在員1名、現地スタッフ2名、手伝い(自分)の小所帯だった。そのため、どこかのどかさも残っていた。駐在員と現地スタッフ1名が外出、そして残りの1名がたまたまトイレへ行っているときに電話が鳴った。

ダイジョブ、ダイジョブ、「うぇ~い、ニイハオ!」でいいんだろ?余裕だぜ。

自分「喂,你好XXXXXX(自社名)」
相手「喂,・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 
マズい!早い!!わからない!!!
落ち着け、まずは相手の名前を確認だ。
 
自分「您贵姓?」(お名前は?)
相手「我姓吴,口天吴」(私は呉です。口・天と書いて、呉です)
さすがに伝言を聞く余裕はなかったので氏名、電話番号を確認した。

やったよ。落ち着いて聞けばちゃんとわかるじゃん。勉強した甲斐があった。トイレから帰ってきたスタッフに早速報告した。

「さっき、口天吴という人から電話がありましたよ。この番号にかけなおしてあげて」

一瞬の沈黙ののち、スタッフに大爆笑された。彼女は久々に「笑死了」と。(死ぬほどおかしい)
本当に涙を流して笑われた・・・。

恥ずかしかったなぁ。
電話の主は、呉さんだったのだ。「口に天と書く吴です」(注:簡体字)と言ってくれていたのだった。吴XXと下の名前ももちろん言ってくれたと思うのだが、全くわからなかった。

電話番号を聞いていたので助かったが、呉だけでは、どこの呉さんか全く分からないだろう。「さっき、鈴木さんから電話がありました」と同じだから。どこの鈴木だよ、ってハナシ。しかも中国の場合、呉、張、王、楊など100万人単位でいそうだ。

その件以降は、相手に嫌がられてもわかるまで姓名、電話番号をきっちり確認するようになったことは言うまでもない。


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