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虐待を5割減らす「Healthy Families America(HFA)」の取り組みについて

児童虐待、あるいは、子育て支援を強化していくべく機運が高まっているが、"児童虐待、米国は「介入から予防へ」 家庭訪問で5割減"というタイトルの記事がネットで話題になった。

 イリノイ州シカゴの公民館。生後17週の次女を抱いたキナ・ブラウンさん(20)に、NPO法人「HFA」の支援員パーシャ・ペイジさん(39)が、液体洗剤とアップルジュースの絵を見せて伝えた。「赤ちゃんは、区別できない。洗剤は、子どもの手の届く場所には置かないでね」ブラウンさんは、実家を追い出されて恋人と暮らしていた15歳の時に長女(5)を妊娠。途方に暮れ、未受診のままだった。おなかが目立ち始めた頃、道で声をかけたのがペイジさんだ。「大丈夫? 相談できる人いる?」。出産も育児も教わる人はおらず、パートナーも知識不足で頼れない。迷った末、HFAが5歳まで無料で実施している、家庭訪問プログラムの利用を申し込んだ。以来、次女の子育てに至るまで、子どもの発達や安全の知識、泣きやまない時の対処法などを、ペイジさんから手取り足取り教わってきた。1時間の家庭訪問を最初は週1回、育児に慣れてきたら月2回。自宅だけではなく、公民館やファストフード店など、気兼ねなく会いやすい場所に来てもらうことも可能だ。(児童虐待、米国は「介入から予防へ」 家庭訪問で5割減/朝日新聞デジタル)

この文中に出てくる、HFA(Healthy Families America)について気になったので調べてみた。

● HFA(Healthy Families America)とは何か

・HFAは、アメリカの児童虐待防止活動をリードする民間団体Prevent Child Abuse Americaが、ロナルド・マクドナルド慈善基金から資金援助を受けて立ち上がった。

・HFAはでは虐待予防の効果が検証された家庭訪問支援プログラムを提供している。全米で展開するにあたり、アフィリエイトモデルを採用していて、HFAに申請することでこのプログラムを使用することが可能。Healthy Families New York等、地域、文化に合わせてカスタマイズされている。

・HFAのプログラムは約600の拠点で実施されており、毎年約70,000の家族このプログラムの恩恵を受けている。

・HFAは家庭訪問支援プログラムを地域に提供すると共に、その質の確保、資金調達、広報活動を行っている。

● HFAのプログラムの特徴

・HFAの家庭訪問支援プログラムは虐待問題に関する研究成果で効果検証された方法論のエッセンスが12 の基本理念になっている。特徴をまとめた。

ハイリスクアプローチの実践
・すべての家庭に家庭訪問を行うことは財政的に困難であるため、、出産したその日か翌日に病院で 10 分間程度のインタビュー調査を行い、支援が必要な家族をふるいわける。

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(児童虐待の予防を視野に入れた家庭訪問支援(その1) /(白石淑江)より)

・その後、ハイリスク家庭のみにサービスを集中的に(例えば最低週1回)、一貫した基準に沿って訪問の回数を増減し、長期間(3年から5年)行い、 虐待の傾向がないかの確認及び育児の継続的な支援を行う。

担当案件の制限、特別な資格は必要としない。
・家庭訪問員一人あたりの担当家族は10〜15家族程度。

・家庭訪問スタッフには特別の資格要件を設けていない。しかし、家族のアセスメントと家庭訪問に関する特別な集中研修を受けねばならないし、家庭訪問員は、継続的にスーパービジョンを受ける。
(1週間の研修や、週1回上司と面談、四半期に一度上司の訪問同行くらいのよう )

※HFAの家庭訪問支援プログラムは予防のためのプログラム。専門家が家族の問題点に焦点をあて、原因を探し出して家族が問題の改善に取り組むDeficit Based Approachとは区別している。

無料
・親または家族は、HFAサービスを受けるために料金を支払う必要はない、常に無料。

● HFAのプログラムの効果は

親と家族に対する影響は様々な形で証明されている。例えば、以下は虐待の因子になりうるアルコールの使用や地域資源を活用するための教育効果をもたらしたとしている。

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HFAの成果については、様々な第三者によるレポートが出されている。そしてその内容は自団体のHPにて公開されているので、詳細はこちらを参照ください。

参考文献:
児童虐待の予防を視野に入れた家庭訪問支援(その1) (白石淑江)
愛着の“つまずき”及び 児童虐待への予防的支援(久保田まり)

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