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風邪の日のお母さん

風邪をひいている。
扁桃腺がかなり腫れてしまって、熱がなかなか引かない。
おまけに、3日前に家の中で無くしたスマホが、未だに見つからない。
本当に不思議なことだけど、全くどこを探しても見つからないのだ。スマホを無くした翌日に風邪をひいてしまったので、なんとなくそのままになっている。一体どこにあるんだろう。

風邪をひいて心身友に弱っていると、全力で誰かに優しくされたくなる。優しくおでこに手をあててもらったり、りんごを擦りおろしてもらったりしたい。
それって、小さい頃のお母さんみたいだな。そうか、無意識に「お母さん」を求めているんだ。
うちの母は不器用で怒りっぽい人だったけれど、私が風邪をひいたときは優しかった。ポカリにストローをさしてくれたし、氷枕をせっせと用意してくれた。
私が風邪を引いている時の母は、いつも以上に優しい。だから私は、風邪を引いてもただぼんやりしているだけでよかった。どんなわがままも許された。

今、私は大人になって、自分で病院に行ったり、薬を飲んだりすることができる。それでも、記憶の中の理想のお母さんを求めて、泣いてしまう。「お母さん。お母さん、頭が痛いよ。りんごが食べたいよ。苦しいよ。」
私はまだまだ誰かに甘やかされていたかった。せめて調子が悪い時くらいは。
そうじゃない現実が、とても悲しい。

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