ボードゲームにおける「1位にしか価値がない論」徹底解説

皆さんこんにちは!
愛知県名古屋市塩釜口のボードゲームカフェ&バーSoLaCeで働いているゲシュと申します!


今回は、1年に1回くらいSNSで論争が巻き起こる「1位にしか価値がない論」について、そもそもこの論ってどういう事なのかを解説していきます。


この世では様々な論争が巻き起こっていますが、実はこの論争は少し不思議な構図になっているんです。

どういうことかというと、

「1位にしか価値がない論」論争では、

反対過激派の方は、
「他人の遊び方にケチをつけるな!この自己中野郎!」と罵り、

賛成過激派の方は、
「1位を目指してプレイしろ!この自己中野郎!」
と罵っているのです。


お互いがお互いを自己中心的だ!と断罪しています。


結局のところ、これは「他人を思いやれよ!」っていう同じ主張をしている事になりますよね?

つまり、この「1位にしか価値がない論」を遂行する事が思いやりであるという人と、「1位にしか価値がない論」を遂行しない事が思いやりであるという人の喧嘩な訳です。


この喧嘩の原因は明確です。
「1位にしか価値がない論」の認識が違うからです。

この論は、義務教育にはもちろんありませんし、
ボードゲーム会、ボードゲームカフェに行ったからと言って学べる訳ではありません。

この論の正しい姿を知っている人が少ない訳です。


そこで、今回!
この「1位にしか価値がない論」を解説することによって、その喧嘩の火種を小さくできるのではないかという思いで書いてみようと思いました!


という事で解説していきます!


1位にしか価値がない!?


「1位にしか価値がない論」とはいったいどういう主張なのでしょうか?


という事で解説を始めます!

4人でゲームを遊んでいるとします。

ゲームが半分くらい進み順位がついてきました。
1位のAさん、2位のBさん、3位のCさん、4位のDさんとします。


全員が1位を目指しているこの時のゲームの状況はこんな感じです。

みんなが1位を目指してAさんを攻撃しに(足を引っ張りに)いって、1位のAさんは1位を奪われないように全員に反撃したり逃げ切りを狙ったりする構図となります。


この状態から、Bさんが1位を諦めて2位を確実にする為にCさん,Dさんの妨害をしにいったとします。

すると、

ゲームの状況はこんな感じになります。


または、3位のCさんが1位を諦めて1つでも順位を上げる為に2位のBさんとDさんを妨害しにいくとします。

すると、

ゲームの状況はこんな感じ。

これらのイメージ図を見て気づいた事はございますか?

基本的に妨害された人というのはその妨害を跳ね除ける必要が出てきます。
1位の人に全員の矢印が向いている時は1位が全員に反撃しています。

それに比べて、誰かが2位狙いを始めると、
その人への反撃に必死になり1位への妨害まで手が回らなくなってしまいます。
1位を狙いたいと思っていたのに、横や後ろからの妨害のせいで1位を目指す為のパワーを反撃に回さなければいけなくなるのです。



最初の4人で遊んでいた時のイメージ図と誰かが1位を諦めたイメージ図の違いこそが、この「1位にしか価値がない論」の本質を表しています。お気づきになりますでしょうか?


という事で、この「1位にしか価値がない論」の正体ですが、
「誰かが1位を諦めて他の人の妨害を始める事」=「1位を仲間外れにする事」
という認識なのです。

さっきまで同じテーブルで4人で仲良く遊んでいたはずなのに、
「あなたはもう1位で良いよ。バイバイ。こっちはこっちで遊ぶから。」と言っている様なものなのです。


現状1位で妨害も無くなったAさんは、きっとこのまま何事もなく1位でゲームを終えるでしょう。
それに比べて、BさんCさんDさんの3人は最後の最後まで激しく楽しい2位争い(3人の中での1位争い)を繰り広げゲームを終えます。


4人で遊んでいたはずが、誰か1人が1位を目指さないことによって、
いつのまにか実質3人で遊んでいることになってしまうのです。
同じテーブルで同じゲームで遊んでいるにも関わらずです。


こんな状況を避けるために、
1位にしか価値が無いということにしないといけない。

これこそが、「1位しか価値がない論」の正体なのです!


「1位しか価値がない論」の正しい使い方


ということで「1位しか価値がない論」を解説してみましたが、これは全ての状況で必ず使える便利な論というわけではありません。

ボードゲームには種類がたくさんあります。
つまり、この「1位しか価値がない論」も全てのボードゲームに適用されるわけではありません。


この説明のために、運動会を例にボードゲームを3種に分類します。

・組体操 タイプ
・徒競争 タイプ
・騎馬戦 タイプ

の3種です。

組体操タイプは、
いわゆるパーティー系で勝ち負けがあんまり関係ないタイプです。
一応ナンジャモンジャとかボブジテンなどの対戦ではあるけれど、そこまで勝敗が重要じゃないみたいなゲームも含みます。

このタイプのゲームには、今回の「1位しか価値がない論」は全く必要ありません。ナンジャモンジャやってる時に「お前ら1位を目指せよ!!」って言ってる人はちょっと怖いかも…


徒競争タイプは、
対戦系ではあるけれど、コースがはっきり分かれていて他の人の妨害の要素がないタイプです。

このタイプのゲームも「1位しか価値がない論」は全く関係ありません。
1位になれなかったとしても、自己ベストを更新するために頑張ることにも十分に意味があります。


という事で最後の騎馬戦タイプです。
今回の「1位しか価値がない論」が適用されるのは、このタイプのゲームです。

ざっくりとしたイメージで説明すると。
敵味方が入り乱れ妨害し合いながら1位を目指すタイプのゲーム達です。
他人の足を引っ張るお邪魔要素が含まれるゲームともいえます。
有名どころでいうと、カタンなどです。

このタイプのゲームで1位を目指さない遊び方をしてしまうと、
誰かに寂しい思いをさせてしまう(仲間外れにしてしまう)可能性があるのです。


なので、今遊んでいるこのボードゲームがどのタイプなのか見極めるのが重要なのです!



ですが、ここで問題が発生します。
それは、「今遊んでいるこのゲームが果たして騎馬戦タイプなのかどうか」を判別する方法です。

この判別方法は私が知る限り一つです。

ゲームを最後まで遊ぶ事

それだけです。



つまりは初見での判別は不可能です。
なので初見ゲームは、ここら辺は特に気にせず遊びましょう!
それこそが初見の醍醐味ですから!

ただ、今遊んでいるゲームが徒競争タイプなのか騎馬戦タイプなのか分からない時は、念の為1位を目指す気持ちでやる方がゲームが崩壊せず綺麗に楽しめる確率が高くなるのです。

ということで、その理由を説明して今回は終わりにしたいと思います。


ボードゲームで1位を目指す?

今回のnoteでは、散々1位1位と連呼してきました。

ですが、実はここに大きな語弊があります。

ボードゲームは1位を目指すのではありません。
ボードゲームは勝者を目指すのです。


ほとんどのボードゲームの説明書には、
「一番ポイントが多い人が勝者です!」
「一番進んでいた人が勝者です!」
「カードを5枚獲得した人が勝者です!」
のように勝者か敗者でしか記載はありません!

2位であろうが、3位であろうが、4位であろうが漏れなく敗者なのです。
自己最高点だったとかも全く関係ありません。

もちろんこれは騎馬戦タイプのゲームでの話ですので、そこは考慮してください。
徒競争タイプの自己最高点は価値があります。


ここで、問題になってくるのが、
ゲームの製作陣側が、
「誰かが勝者になることを諦めて、敗者の中で1位になろうとする事」
いわゆる2位狙いのプレイを想定していないケースがあるのです。

このタイプのゲームでは、
誰かが2位狙いに切り替えた瞬間にルールが崩壊してしまい、
ゲームが実質的に終わってしまう可能性が存在するのです。


なので先ほど述べた通り、初見の時はとりあえず分からないなりに勝者(1位)を目指す方針でプレイしようとするのが安全だよねという話になっています。


もちろん初見のゲームであまり分からないまま遊ぶ場合に、
これだ!って選んでみた選択肢が結果的に2位狙いの選択肢だったということもあります。

これは仕方ないです。
遊び終わってから、あの選択肢ダメだったか〜とか振り返るのが面白さですよね。
それこそが初見プレイの醍醐味です。

大事なのはそのゲームの経験者の立場の時です。
そのゲームを経験して新しい人へそのゲームを布教する時、
経験者にも関わらず2位狙いのプレイでゲームを壊してしまうと、そのゲームの面白さを最大限伝えることができるかという点で疑問が残ります。

全員が1位を狙わなきゃ成り立たないゲームがこの世に存在すると知っているだけで、救われるゲームがあります。
なので、「1位にしか価値がない論」が必要なゲームがあるとだけ覚えてもらえればひとまずは大丈夫です。



一応、噂レベルの話ですが、
最近発売されるゲームではこのタイプのゲームは減っているらしく、
何も知らなくても安心して遊ぶ事ができるゲームが多いそうです。

今回のnoteで言うと、騎馬戦タイプのゲームが減少傾向でと競争タイプのゲームが増えてきているそう。

なので、主に注意すべきは古いゲームを遊んでみる時です。
騎馬戦タイプの古いゲームでは、
誰か1人の2位狙いが全員のゲーム体験をつまらなくさせてしまう可能性があります。

これを防ぐための方法は一つ!

「とりあえず1位しか価値がないという事にして遊んでみる」

これがみんなでゲームを楽しみきるために便利な考え方なのです!



まとめ


という事で、「1位にしか価値がない論」の解説でした。

今まで論の認識がふわふわしたまま争っていた方々に詳しい論の内容をおさらいしてもらう事を目的に書かせていただきました。

まあ実際のところボードゲームを楽しむために今回の論を理解する必要があるかというと、正直そこまで必要ないかもしれません。


今回のnoteで繰り返し書きましたが、「1位しか価値が無い論」は適用すべきゲームと適用する必要がないゲームに分かれます。この論を知っている人はしっかりと使い分けをすることが大事です。

ただ、この文章によって、少しでもボードゲームについての理解が広まり、少しでもこれに関する無駄な衝突を減らせることを祈っています。


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