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YouTuberは語らないEOS R5/6の動画性能で気になった部分(現場主義的)

※表紙写真はCanonオフィシャルサイトより転用
https://cweb.canon.jp/eos/lineup/r5/

この記事を開いた方は、おそらく昨日のCanonのプレゼンテーションをご覧になった方だと思います。ただ業務視点から見ると不明な点が多く、また多くのガジェット系YouTuberの方々も情報解禁に伴い動画をアップされていましたが、自分が知りたい、と思っていた部分があまり語られていなかったので、独自目線になりますが、主に動画性能に的を絞って、自分が特に気になった部分をまとめておきます。

※かならずしも正確な情報ではなく、あくまで自分がザっと目を通してみた上での雑感も含まれるので、そこだけご了承を。もし間違った情報があれば、コメント欄で教えていただければ嬉しいです。

※リアルタイムで情報が更新されているため、この記事もそれに合わせて随時更新しています。更新した部分は分かるように記載しています。

1. R5/6の動画性能比較

まず、頭を整理するために、あくまで動画性能についてのR5/6の比較表を作ってみました。(2020年7日10日 14:21現在)

R5比較

※表の一部を訂正しました。赤字の部分です。ビデオサロン誌(WEB)の記事によると、R6のSDカードスロットでは、デュアルレックには対応しない、との事です。これが本当であればかなり残念ポイント(涙 ここはR5との差別化、という事なのでしょうか?一方で、Cinema5Dでは「異なるフォーマットでのデュアルレックに対応」と書いてあります。現時点でどちらの情報が正しいのか判明せず。

2. R5/6での気になった共通ポイント

デュアルピクセルCMOSのAFや最大8段の手ぶれ補正などの話は、みなさん周知の事と思うので省きます。レンズの話も省きます。

・収録形式
まずRAWではない通常の動画形式の場合、コンテナからmovは消えて、mp4に統一された模様。CanonLogやHDR PQはすべてにおいて10bit 4:2:2。これはとてもグっとくるポイントです。これまでのCanonのミラーレスと言えば、最近の1DX MarkIIIや初代Rをのぞいて、ほとんどが8bit止まりだったので。(特に初代Rは内部収録は8bitで、10bit4:2:2は外部レコーダー頼りだった。)

HLGでなく、PQガンマを搭載してきたあたりもプロユースでは深くうなづいている方も多いかもしれません。(この分野は自分は未開拓なので、あくまで印象論ですが。)


・2スロット同時記録
リークでは「2スロットの同時記録はできない」とあって一瞬ガッカリしていたが、実際は出来るようです。

R5では、RAW+MP4ならデュアルで回せるようです。
これは、たとえば、CFexpresには12bitのRAW収録しておいて、SDカードには10bit422のCanon Logを収録する、なんてことができるということ。
リーク時の情報は、あくまでRAWの同時収録できない、という事だったようです。

R6に関してはRAWは撮れないものの、SDカードのデュアルスロットで同時記録できるらしいので、業務ではかなり現実的(巷のYouTuberは、誰もこういう部分に言及してくれていなかったが、唯一Cinema5Dだけが、このあたりをちゃんと伝えてくれていた。)
※訂正:冒頭の表でも言いましたが、一部情報によるとR6のデュアルレックは出来ない?ようです。Cinema5Dの記事が正しいのか、ビデオサロン誌の情報が正しいのか、現段階では分かりませんが、個人的には、ビデオサロン誌のほうが後発記事なので、信憑性高そうです。というか、この差別化はキヤノンらしい感じが。。

・オーバーサンプリング
全域でフルフレームだが、R5は8.2k、R6は5.1kからの全画素読み出しオーバーサンプリングのようなので、かつてのEOSシリーズにありがちな、ラインスキップでモアレやジャギーが出やすかった感じからは劇的に画質向上が期待できそう。
(追記:ビデオサロン雑の記事によると、クロップモードではオーバーサンプリングはされないとの事。)


・音声のアッテネーター機能
おそらく、リミッター的なものが付いたと判断。マニュアルレベル設定時は助かりますね。

・新型バッテリーのLP-E6NH
LP-E6Nが1865mAhだったのに対し、LP-E6NHは2130mAh。互換性が保たれており、そのまま容量だけアップ。これはR5/6のみならず、例えばLP-E6Nを採用しているBMPCC4K/6Kでも利用価値が出てくるかもしれません。

3. 共通の残念ポイント

・HDMIがマイクロ
R5/R6に共通してもっとも残念だったもは、HDMIがマイクロ端子という部分。業務主義、現場主義では完全にアウトです。また個人的にはリグでボディーの携帯性をスポイルするのが嫌いなので、ボディーを囲むようなリグではなく、HDMIの端子部分だけに取り付けられるカプラー的なものがサードパーティー製で出れば助かりますね。(SmallRigあたりが出してくれそう?)

・Log撮影時のアシストが薄そう
Log撮影時のアシスト的にゼブラ表示ぐらいしかなさそう。業務的に見ると、撮影アシスト面では、同じくフルサイズミラーレスであるPanasonic S1Hのほうが群を抜いている印象。そういう部分で言えば、FUJIFILM X-T4のように録画中の拡大フォーカスができるとかは未対応だろう。こういうのを求めるならばCinemaEOSへどうぞ、というのがメーカーのスタンスだと思う。もっとも外部モニターを使うから関係ないという方々もいるとは思う。(マイクロHDMIだけど)。また外部モニターを接続した際の、本体のモニターがフルで映るかどうかは、実際使ってみないと分かりません。個人的にはボディ単体である程度の事が出来るカメラ推しです。

・あくまで「写真機」である記録時間
周知ではあるが、あらためて、、記録時間が29分59秒なので、インタビューや、長モノのライブ記録には不向き。排熱処理もガッツリはやっていない模様なので、熱でのストップリスクも未知数。(このあたりは現場で使ってみないとわからないが、過去EOSの現場では、あの温度計のランプ点滅にトラウマがあり。)

という感じで、とてもすばらしいカメラであることには間違いないが、ガチで業務で使おう、と思っているのであれば、個人的にはPanaのS1Hに行ってしまうかもしれない?


4. R5について気になったポイント

・RAW記録について
話題のRAWは、どうもDCI8Kのみのよう。BlackmagicDesignのカメラのように、UHD8Kや4Kのウインドウモード(クロップ)でのRAWもあればいいのに。なおリーク時にあった4Kおよび4K120pRAWというのは、今回はアナウンスが無かった模様。一方で、今後のファームウェアで対応するしない、みたいな話もあり。マーケットを見て、次なるファームのアナウンスをする、というのは最もCanonらしい戦略。

・DCI 8K RAW 2600Mbps
圧縮されているとはいえ、2600Mbpsというバカでかいビットレートは、個人的には(現状の環境では)非現実的。趣味で撮影&グレーディングはしてみたいけど、業務で使うなら圧倒的にBMPCC4K/6KやURSA Mini ProのBrawになると思う。軽いし早いし。

・前から思っていた、Canon Cinema RAWって何?
Cinema Raw Lightではなく、フォト部門独自コーデックのCanon Cinema RAWとはなんぞや?周りで使っている人は正直皆無。
一方で、PremiereProはすでに対応しているらしいのと、DaVinci Resolveも対応予定という話をsumizoonさんのブログで読んだ。対応さえしていれば、プロキシを作って編集は難が無いと思うけど。

一方で、Canon LogのMP4 10bit4:2:2のほうが現実的かも?ただ、MP4でもAll-Iになると1300Mbps、IBPでも470Mbpsと、いずれにせよかなり高いビットレート。470MbpsならSDカードでもイケるよね?どうなんだろう。

・Pana S1Hを凌ぐフォーマットの豊富さ
各フォーマット選択項目のメニュー構造がどうなっているかは興味あり。これだけの豊富なフォーマットが混在すると、選択するのにも一苦労。なおS1Hはプリセットを作れるなどユーザーフレンドリーな工夫が見られた。

・センサーのダイナミックレンジは?
RAWおよびCanon Log撮影時のDRは気になるところ。なおPana S1Hは14+Stopで、現場でもV-Logで撮影していると「ここまで快調残ってるのか!」って驚いたものだけど、EOS R5/6ではどうなんだろ?新型フルサイズセンサーに期待したい。いずれCinema5Dが詳細なレポートを上げてくれることだろう。
追記:いろんな情報を総合するに、おそらくDRは12stop以内、実測で11.5stopあたりと予測。これもビデオサロン誌の中で「Canon Log相当のDR」となっていたので、当たらずとも遠からず?フルサイズなのに12stopという寂しさが。。この面でもS1Hが群を抜きますね。。

・熱問題
熱処理が正直、一番懐疑的な部分。リークでは「8K RAWを20分回してもほぼ熱問題はなかった」なんて言っていたが、実際は?さっきも言ったけど、EOSロケ中に、赤い温度計マーク点滅で何度か冷や汗かいてきた自分はトラウマあり。Panasonic GH5やS1Hはほぼ無いんですよ、こういうの。

追記:噂によると熱問題は予想通りそこそこあるようです。ここはもし購入検討している方は用途を考えておいたほうが良いと思います。あとは、金銭的に余裕ある方ならR5とR6を2台買って、R6をサブ機で常に持っていくとか?

・8Kフレーム切り出し機能
実は地味に期待していた機能なんですが、なんとRAW動画からの切り出しは出来ない、あくまでmp4のみ、JPEG切り出し。RAWから、そのまま1枚のRAWに切り出せれば、かなり面白かった。残念。


・動画縦位置撮影情報の付加
つまり再生した際に、ちゃんと縦フレームで再生される。サイネージ作成等にはいいかも?ただこれがRAW動画でも出来たとして、上記で書いたように、RAWでの8Kフレーム切り出しができれば、スチール撮影でも幅が広がり、かなりおもろかったのに。ちょっと残念。なお、実はSIGMA fpでは(CinemaDNGだが)出来てしまう。動画縦位置撮影情報の付加される上に、そもそもDNG連番なので、1枚1枚Lightroomで現像出来る。その様子は以前PRONEWS記事に書かせてもらった。


・HDMI出力は4K60p 10bit 4:2:2止まり
8K出力は、そりゃ無いよね。ということは、現状でRawが8Kしか撮れないっぽいから、必然的にRAWの外部収録は現段階で無理っぽい
(ファームで今後対応するような話もあるけど)
ATOMOSがさっそくEOS 5Rの上にNINJA Vを取り付けた画像を広告で出していたけど、4K RAW出力でApple ProRes RAW受けが出来るってことかな?よくわからない。出来るようになったとしても12bitではなく10bit?
追記:さきほどAtomosのダイレクトメールが届いていて、「Atomos records 4K 10-bit 422 ProResor DNx from the Canon EOS R5 and EOS R6」だそうです。つまり外部でProRes422かDNxHRで受けられるよ、という事でした^^; ただ、今後のファームウェアで、ProResRAW対応や、BlackmagicDesignのVideoAssistでBraw対応に期待していですね!

5. R6について気になったポイント

・驚異的なISO、明るさ
R6のほうが画素数少ない分、1画素あたりの面積が広いので明るさに強い。α7Rとα7S、またはGH5とGH5Sと同じ話
R6にいたっては、常用最高ISO感度102400 拡張で最高ISO204800。α7SIIの拡張ISO 409600には及ばずだけど、S/Nの問題もあるので、一概に比較できない。

・SDカードデュアル記録
R6では、4K60pのCanon Log 10bit4:2:2が、デュアルで収録できるっぽいので、ここが個人的にグっときてしまうポイント。IBP(イントラではなくフレーム間圧縮)で340bpsになるので、そこそこ容量は食うけど、10bit4:2:2という事を考えれば妥当のビットレート。なおAll-I(オールイントラ)は選択できない。
さらに、FHD120pでもCanon-Log 10bit4:2:2で撮れる。(こちらもIBP)これはとてもいい。コーデックはh.265だけど、プロキシ作ってしまえばいいし、このあたりのフローはすでにS1Hで慣れている。
※訂正:冒頭でも述べましたが、一部情報ではR6のデュアルレックは出来ない?ようです。

・All-I収録は4K30p/Full HD30pまで
個人的に普段から使っていないのでOK。

ということで、ザっと個人目線で気になった部分もメモりました。

8K RAWや10bit 4:2:2のCanon-Logが撮れて、フルフレーム / 優れたAF性能 / 最大8段のボディ内手ぶれ補正、これらが最もプライオリティが高い層にとっては、バカウケのカメラに仕上がっていると思いました。最近のマーケットから見ても、そういう層が一番多いのは理解しています。

ただ、個人的に業務の視点、現場主義から考えると、マイクロHDMIとか、熱問題とか、デュアルレックはどうなのか?など、確実性に欠ける面が散見され、悩ましいです。みなさんはどう感じましたか?もしこの記事が少しでも参考になれば幸いです。なお、さらなる個人的感想は、自分がやっているネットラジオでしゃべりきっています。よかったらこちらも、ゆるりとお聞きいただければ嬉しいです。


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