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同じ様で同じ事ではない

感情を表現するものは多くあるが、言葉ほど便利で、だからこそ難しいものはないと思う。自分が言う「正しい言葉」とは文法や礼儀的な「きちんとした言葉」とではなく、形のない感情を「より過不足なく言葉にする」という意味で使っている。

最近こんなニュースがTwitterのタイムラインで流れてきた。

書評家の豊崎さんがTikTokで本を紹介している方に向けて発したツイートが発端となり、活動を休止。まあまあ燃えた。

あの人、書評書けるんですか?という1文が完全に個人攻撃なので、SNSという場所で、プロがアマチュアに対して、行うのはさすがにどうかと思ったので、俺もこんなツイートをした

そしてこうも書いた

今回のことは書評家の豊崎さんの行動に問題ありだぜ!という感じで呟いたんだけど(実際行動には問題がある)、その後の謝罪ツイートなどで気付いたと思うけれど、彼女は謝る気などさらさらないわけだ。なぜか。

それは自分が正しいと信じているからで、事実すべてが間違っているわけではないからだ。それでいてとった行動は全部間違いだと俺は思っている。すごい、バカみたいな文章だ。説明していこう。

豊崎さんはTikTok界隈に触れるべきではなかった

これが答えだ、みたいになっちゃってるけれど、けんごさんと豊崎さんは「本を紹介している」という点では一緒だが、実は全く違う事をしている。

仕事かどうかは置いておいて、まず顧客が違う。届ける場所ね。つまり実際は二人のフィールドがかち合う事がない。なぜか。見ている場所が違い、コンセプトが違うから。

飲食に例えよう。マックと個人経営の流行っているイタリアンにしてみようか、ちょっと高めのとかね。それでもどっちが優れているなんて言いきれない。どこにフォーカスするかによる。どっちが売れているか、なんて言ったらマックに対して勝ち目がないし、デートする際にどっち選ぶ?って言われても年齢によって正解が変わる。味もそう。

沢山の人に本を知ってもらうための行動。豊崎さんの書評はプロなだけあってちゃんとしている。けんごさんの紹介はポップだ、テンポが速くて時代に合っている。

音楽でも例えられる。音楽聞きにいこうぜ。思い描くのがクラシックのホールでもライブハウスでもクラブでも雅楽でも全部音楽だ。だが、それぞれに良さとルールとある。

なにが正しいかを豊崎さんは自分で線を引いたのに、そこにけんごさんをわざわざ引っ張ってきて苦言を呈したわけだ。座って聞くコンサートにしかいった事のない人にクラブ慣れしている人間が「は?音楽聞いて酒飲んでおどれないの?ありえないっしょ!」と言っているようなものだ。逆でもいい。


けんごさんが「豊崎さん!僕書評家としてどうでしょうか?」って先に聞いてたら別におかしくないわけだ。言葉が強いから意地悪だなとは思うけれど。

豊崎さんは本の楽しみとは想像力を刺激する、という事だと言っている。プロが今回のようなツイートをしたら、楽しくてやっている方がどんなダメージが行くか想像はつかなかったのだろうか。彼だけではない。数字があるという事はそこにファンがいる。そのファンへのダメージも些細な事なのであろうか。

数字を持っているという事にヒントがある

一見すると、多くの数字を持っているTikTokerにプロが嫉妬した、なんていう悲しい事実に見える。いや、少しはあるのかもしれない。だけど豊崎さんは本屋大賞にたいしても批判をしている。

何が見えるのか。

文芸をアートととらえ、書評というスキルにプライドを持っている。

これはとても素晴らしい事だと俺は思う。彼女が言いたかった事は「数字だけに惑わされてシーンが動くのは危険だ」という事ではないだろうか。

アートは評価されなければ一応にゴミ扱いされる。文化に対して敬意を持たない人は恐ろしいくらい多いから。

アートを感じ取れるには人間としての成長が必要である。子供の頃わからなかった絵が、文が、音楽が、食が人生を彩り鮮やかにしてくれることがある。マスだけにフォーカスするとそこが蔑ろにされることがままある。

ゴッホは生きている間に評価されなかったしね。

SNSなどを駆使して情報を発信することに長けているのは若者であり、時代を変えるのもまた若者である。だが、そこに本質が足りなければいずれ崩壊する、と警鐘を鳴らしたかった。やり方は下手だけど。

おそらく(彼女から見える)SNSの書評家たちの力が周りの出版などが無視できないくらいになってきて、彼女のまわりにも影響が出てきたのだろう。

だから思わず言ってしまった。言わなくていい事を。

でも結局バランスが大事。アートが閉ざされたものだと、結局携わる人が減って、いずれ消えていく。
プロや専門家の人まで時代に媚びたら、面白いものが生まれる可能性も減る。

作品は多くの人に評価されてなおかつ素晴らしいものもあるし、日の目を浴びにくいが素晴らしいものも沢山ある。だから勢いなどの一時的なものに惑わされないで。

ここら辺が彼女の今回の発言の肝じゃないのかなあ。表面に出ていることと全然違うと思うんだよね。あくまで想像だけど。


結論


豊崎さんの今回のツイートは、独り言だとしたら大きすぎた。苦言を呈するつもりだったらやり方が下手すぎた。嫌味だとしたら意地悪すぎた。

結果を想像せずに呟いたとしたらあなたが一番大事にしている想像力に背を向けたことになる。

本当のところの他人の考えなんてわからないけれど、モヤモヤする出来事だったので走り書きしてみました。推敲もしないからおかしな文章だったらごめんなさい。



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