推し言語の映画を観てみよう

事務局2年のなぎです!去年のスタッフブログでは私の専攻言語であるスペイン語の映画を紹介したので、今年は諸地域言語科目で勉強したタイ語の映画を紹介したいと思います:)

・女神の継承 (2021, タイ・韓国)
『哭声/コクソン』、『チェイサー』など韓国ノワールの名手であるナ・ホンジンが原案・プロデューサーを務めたモキュメンタリーホラー。タイ東北部のある村で脈々と受け継がれてきた女神信仰、その祈祷師であるニムに取材班が密着するという形式で進行する。村の若く美しい女性ミンの身体にある日突然異変が起こり、人が変わったように凶暴な言動を繰り返す。ミンは祈祷師の後継者に選ばれたのではと母親は考えるが、ミンに憑りついたのはもっと恐ろしい、邪悪なものだとニムは直感する。やがてミンの除霊の儀式が行われるが...
躊躇のないグロ描写もさることながら、ピー(精霊)信仰を背景にして信仰の強さ、そして脆さを克明に描いた、見応えのある宗教ホラー。祈祷師たるニムの迷いが良く伝わり、観客に重い問いかけを残すラストまでの構成も見事でした。

・呪いのキス -悲しき少女の恋- (2019, タイ)
戦時中のタイのある村で、幼馴染のサイとノイ、ジャッドが再会する。サイとノイは互いに想いを寄せ合うが、ノイは恐ろしい秘密に気づく。それは異形の怪物であり村人を脅かすガスーの正体が、サイであるということだった。ノイはサイを庇いつつ彼女をもとの人間に戻す方法を探すが、村人の恐怖と怒りはエスカレートし悲劇が起こる。
こちらもタイの精霊、ピーを題材にしたストーリー。ガスーになってもノイを一途に思うサイと、恐れつつも彼女のために奔走するサイの関係性が微笑ましく、それだけに悲劇的なラストが胸に迫ります。ホラーと言いつつも、登場人物に感情移入して最後には泣いてしまうような、悲しく美しい傑作です。

・プアン/友達と呼ばせて (2021, タイ)
言わずとしれた名監督ウォン・カーウァイと『バッド・ジーニアス』で知られるバズ・プーンピリヤがタッグを組んだロードムービー。NYでバーテンダーをしているボスの元に、タイにいるウードから頼みがあるという電話がかかってくる。再会したボスに、ウードは自らが白血病で余命宣告されたこと、そして死ぬ前に元カノに会って返したいものがあると告げる。ボスの運転する車で各地を巡る旅の最後に、ウードはボスに「言えなかったことがある」と、ある秘密を打ち明ける...
美しい映像で紡がれる、人生最後の過去の清算、そして贖罪の旅。2人の行動は時に人を傷つけ、それでも輝いていた過去が切なく思い返される。原題のOne For The Roadという言葉がじんわりと染みてくる、自分の人生を振り返りたくなる一作。

紹介した映画は全て各種動画配信サービスでも観ることが出来ます!最近めっきり肌寒くなってきましたが、今年の秋は読書の秋ならぬ映画の秋を過ごしてみるのはいかがでしょうか?


なぎ(事務局 2年)

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