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鎌倉に住む_2024年3月

ずいぶん前の話で今更ながら言うまでもないが、
2016 年、八幡様にあった旧神奈川県立近代美術館は、多くの人に惜しまれながら
閉館となった。日本で最初の公立近代美術館として、1951年に竣工されたもので、板倉準三の代表作の一つだったそうだ。
そんな解説を書きながらも、
頭の中にある旧館は、そんな立派なものではなく、
八幡さまの境内にも関わらず、
隠れ家的な、ひんやりとしたイメージの建物。
来館者は少なく、ゆっくり絵画鑑賞ができる美術館で
帰りには、いつも人気のない平家池に面したカフェ「ラ・ミュゼ」でお茶をした。

その旧館が、2019年に「鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム」としてリニューアルされ、カフェは美術館の中ではなく広場に建てられた。
店内には2010年に強風によって倒伏した、鎌倉八幡宮の御神木だった「大銀杏」の一部が展示されている。外からも、その姿は見え、ずっと気になっていていた。

はじめて訪れたのは、本格的に春を感じさせる3月の休日。
陽射しが注ぎ込む明るく開放的な店内に入ると、まず目がいくのは大銀杏。連れ合いさんと「樹齢1000年だったんだね、あの源実朝暗殺事件は、この木の陰に隠れていた甥に手に掛けられたと言われているんだよね。こんな風にアートとして保存するってグッドアイデアだね」と話し、その枯れてもなお、大銀杏の凄まじい姿を目の当たりにして、この時点で、すっかりこのカフェを好きになった。

緑の瓶は再利用するリターナブルボトル。お店で回収したボトルは工場で洗浄し、再び使用される

この日のオーダーはビール(800円)。というのも、フラッと入ったカフェでコーヒー一杯700円となるとちょい躊躇するが、ビールなら納得がいくというもので、迷いはなかった。

しかも、番号が呼ばれてカウンターに行くと、なんとハートランド(小瓶)で、1ピスのカナッペ付きだった。銘柄は期待していなかっただけに
大好きなハートランドだったことに、テンションが上がったのは言うまでもない。キリッとした苦みと爽快な飲み心地が、昼ビールにぴったりで、とても得した気分になった。

ここで過ごすひと時は、まさに心のリフレッシュ。
これからもちょくちょく通いたいカフェの一つとなった。




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