【物語】溶けないうちに【短編】〜大学生の恋愛譚
「どうやったら彼氏ってできますかね」
後輩の恵はつり革にぶら下がって上目遣いでこちらを見た。
「作ろうと思って作るのは違うでしょ」
私はハイヒールの踵に重心を動かして恵の目を見た。
「優花さんは、彼氏いるんでしたっけ」
恵はきれいにカールされた茶髪をくるくると手で巻きつけながらそう聞いた。
「私が答えると思う?」
「思いませーん」
キャハハ、と笑うと恵は私の顔をじっとみた。
「優花さんが男だったら、私絶対告白してますよ」
「何言ってるの」
心の中を恵に覗か