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厚労省のワクチン安全性データが余りにも酷い件

※ワクチンの安全性データに関する記事ですが、「ワクチンが危険だ」とか「打つな」と主張しているわけではないことを最初に記しておきます

 ワクチンに関しては不明な点が多く、個人的にはあまり断定的に語りたくないというのが正直なところなのですが、厚労省の出してくるワクチンの安全性に関するデータ、余りにも出し方が酷い。一部ではもう散々、語られたことではあるのですが、改めてまとめます。今回は2つのデータをご紹介します。

若い世代の心筋炎に関するデータ

最初がこれです

 これは厚労省の審議会である「予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」が昨年10月15日に開催されたときの資料です。簡単に説明すると、棒グラフのA~Dはワクチンを打った10~20代の人が心筋炎を発症する100万人当たりの人数。EとFはコロナに感染した人が心筋炎を発症する100万人当たりの人数となります。このグラフだけを見ると「ワクチンを打ってもほとんど心筋炎は発症しないけど、コロナに感染すると発症しやすいんだね」と普通の人は思うでしょう。ではこれ、実数ではどうでしょうか。グラフにしてみました。

 どうでしょう、かなり印象が変わったのではないでしょうか。心筋炎を発症した実際の人数はワクチン接種の方が多い、ということが分かります。ワクチンに関する実数はこの表が元資料です。

この10月3日までの10代と20代の男性が該当の数字となります。赤い数字のところですね。ではコロナ感染(国内)におけるデータはというと

 これだけ後ろの参考資料にあるのですが、ここの「15歳~40歳未満」にある4人が元の数字です。お気づきかもしれませんが、ワクチンの心筋炎データは10~20代。コロナ感染者のデータは40歳未満、つまり30代が含まれており、注も付けずに比較することが果たして適当なのでしょうか。可能性として4人が全員30代の可能性があり、仮にそうだとすると10~20代はゼロになってしまいます。実際どうなのかは厚労省が当時、開示していなかったのでわかりませんでした。

 さらに最初のグラフは100万人当たりの心筋炎発症者をワクチン接種者は接種した人全員を分母に、コロナ感染者はコロナで入院した人を分母にしています。コロナの感染者ってただでさえ若い人は無症状が多く全体の把握は困難で、重症化せず入院が少ない若い世代の中でも入院した人を分母にしています。こうすれば分母が少なくなるため、100万人当たりの発症者が多いように見えてしまいます。コロナ感染のリスクを強調するために加工したと疑われても仕方ないのではと私は思います。

 さすがに批判があったのか、21年11月12日開催の資料では、グラフにはせず、10~20代で心筋炎は3人だったことを開示しています。とすると、こういう呈示も選択肢としてはあったはずです。

 で、この時の分科会なのですが、実は重要な決定をする分科会でした。モデルナによる10代の心筋炎は発症率が高いため、「10代にはファイザーを推奨すべき」ということが検討されていたようです。しかし、この感染による心筋炎の方がたくさんいるようにみえるグラフが呈示された会議の場で、ファイザーを推奨することは見送られました。その記事がこちら。

 そして推奨を見送った部分を少し引用します。

同日の部会ではファイザー製の接種を10~20代男性に推奨する案が諮られたが、合意に達しなかった。専門家からは接種との因果関係が明らかでなく発症しても軽症が多い点や、ワクチンに優劣があるとの誤った認識が広がる恐れなどを指摘する意見が出た。

日経新聞21年10月16日付朝刊

 私はど素人ですし、専門家の方は深い知見をもった上で判断したのでしょうが、「ワクチンに優劣があるとの誤った認識が広がる恐れ」って個人的には理解できません。実数としてモデルナの方が心筋炎の発症率が高いわけですから。しかもあのグラフを基にして、「感染した方が心筋炎のリスクが高い」と判断したのなら、非常に問題だと思います。

 じゃあ実際のところどうなのかというと、コホート研究がいくつか出始めていて、ものによってまちまちという印象。感染とワクチン、両方に心筋炎リスクがあり、発症率が研究によってワクチンが高かったり、感染が高かったりという感じのようです(詳しい方、教えて下さい)。ただ、最初のグラフのような圧倒的な差はなさそうです。

 私としては当時も現在も「ワクチンと感染でどちらが心筋炎リスクが高いのか不明」なのだと思います。であれば、そのように資料も作るべきではなかったか。意図的にどちらかのリスクの印象を操作したかに見えるようなグラフの出し方はよくないと思います。

追記(22/6/4) 心筋炎についていくつかデータ追加します。米国の予防接種安全性監視システム(VAERS)に心筋炎に関するデータが掲載されています。その中に心筋炎の報告数推移があるのですが、それがこちら

2021年以降の伸びがえらいことになってます。で、気になるのは新型コロナが流行し始めた2020年の心筋炎報告数は19年までと大差なく少ない、ということです。米国では相当数の感染が起きましたが、心筋炎は増えていなかった、ということになると思います。ファクトチェック記事もあったのでご参考まで

また、大規模なコホート研究がでてきて、コロナ感染で心筋炎や心膜炎の発症は優位に上がらないという結果が出たようです。

確定的には言えませんが、ワクチンの方が心筋炎のリスクが高い可能性はそれなりにあるのではないか、という気がします。(追記以上)

ワクチンの感染予防効果の表

次がこちら

 これは厚生労働省の専門家アドバイザリーボードで報告されていた資料です。上が今年4月20日の第81回、下が5月11日の第83回の資料2-5で示されていたグラフです。大きな変化があったのは、未接種の人の10万人あたりの新規陽性者数です。分かりやすくするためにグラフにします。

 一目瞭然で未接種の感染が激減しています。特に30~70代では、2回接種よりも未接種の方が感染者数が少なくなっており、ワクチンを接種しない方が感染しにくいように見えます。この差がどこでうまれたかというとこちら。

文字が小さく読みずらくて恐縮です。引用しますと

ワクチン接種歴が未記入の場合、令和4年4月20日までのADB提出データでは未接種に分類していたが、5月11日以降のADB提出データでは接種歴不明に分類している

 つまり上の表ではワクチンの接種歴が不明の人を未接種に分類していたが、下の表では切り分けて別分類にしたということ。この接種歴不明がどんな人かというと、「接種した日付を忘れた人」が大半と言われています。システムが接種日まで入力を求めており、接種してても空欄で入力ができない。そのため接種歴不明で報告していたと。
※ADBとはアドバイザリーボードのこと。

 どうやら当初は「接種してない人は後ろめたいから明確に回答しないはずだ」と判断していたようです。そういう人も中にはいるでしょうが、多くの人が接種したのは昨年の夏。〇月×日に接種したと明確に記憶している人ばかりではないでしょう。

 また、濃厚接触者を検査する場合はワクチン接種歴を聞かないようです。そのため、接種歴は不明になる。接種歴不明のうち実際にワクチンを打った人の割合は不明ですが。すべてを未接種に入れるのは明らかにおかしい。Twitterで実際にこのように指摘している医師の方もいます。

そして未接種の90歳以上がバグってますが、ここも解明された方がいました。

未接種の90代の人口をかなり粗く計算していたようです。この方が実際の人口で計算し直して下さったのがこちら

https://twitter.com/0kh0tska/status/1526113043859804160?s=20&t=bh1mKGi6ltSOM3SlCTqFeg

すっきりと非常に納得感の高いデータになっています。このデータだと60歳以上は未接種の方が2回接種より感染しにくく、40~50歳代はほぼトントン、それ以下はワクチン接種の方が感染しにくい、という風にみえます。これ、実は世界各国の研究でも似たような現象が確認されていて「ワクチンは2回接種から半年が経過すると未接種よりもコロナに感染しやすくなる」可能性が指摘されていました。例えばこれ

カタールでの研究データですが、ワクチン2回目を接種した後、未接種よりも感染しやすくなったと疑われる傾向が出ています

ここですね。Dose2が2回接種で、7 months aftre Dose2(2回接種から7カ月以降)でUnvaccinated(未接種)よりも感染者が増えていることがうかがえます。そこで先ほどの表なのですが

高齢者はワクチンを先行接種していたので、60歳以上の人は接種から半年以上が経過してると思われます。ワクチンの効果が切れ、未接種よりコロナにかかりやすくなったのではないか。今は2回接種と感染率がトントンの40~50歳代やさらにその下の年代も、これからワクチンの効果切れがさらに進む、ということも想定されるのではないでしょうか。

だから「3回目接種を」という人もいますが、今回のmRNAワクチンの長期的な影響は不明なので、頻回接種には根強い警戒感があります。4回目接種も、基礎疾患のある人や高齢者限定となるようです。

3回目の接種をしても、また半年後には効果が切れて、未接種よりも感染しやすくなっている可能性があります。効果が切れた後に、感染しやすくなるワクチンを何度も接種すべきなのか疑義を呈する人もいます。

「ワクチンに効果があるかは感染予防ではなく、重症を予防できるかで判断すべきだ」とよく言われます。現状で重症予防効果は「ある」とされているので、今回のデータだけで「ワクチンを打つべきではない」と言うことはできません。ただ重症の効果も今後どうなるのかは注視が必要です。こんな分析をしている人もいました。

ワクチンは長期的な評価が必要だと私は素人ながらに思ってます。実際、長い年月が経過してからリスクが判明したケースもあります。反ワクチンにも問題は多いですが、ワクチンの効果を底上げして効果をアピールするようなやり方をしてしまうと、かえってワクチンに対する不信感を招くのではないか。私はそのように考えています。

追記(22/6/4) この2回接種と未接種の計上問題、結構、炎上してますね。国民民主党の田中健参議院議員が5月20日の厚生労働委員会でこの問題を質問していました。映像はこちら。

聞いていただければなのですが、厚労省としては「HERSYSに入力されたデータを機械的に処理しただけ」という説明のようです。ただ、おなじADBで感染研の鈴木氏は21年12月には接種歴不明を別にするやり方をしていたので、適切な処理だったのかというと疑念を持たざるを得ません。

あと、いくつか報道がでていました。これはNHK

これは朝日新聞

日経ビジネスも特集してました

これだけでワクチンを打つメリットがまったくないかといわれると難しいのですが、日本でもマイナスVE傾向は間違いなさそうなので、3回、4回と接種する意味はあまりないのかな、というのが個人的な見解です。(追記ここまで)

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