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七味とうGらし由来

1977年から1979年まで週刊少年チャンピオンに連載された非定形のギャグ漫画『マカロニほうれん荘』(作者:鴨川つばめ)。

主人公は新撰組の3人の主要人物を名前のモチーフにきんどー日陽(モチーフ近藤勇)、ひざかた歳三(土方歳三)、沖田そうじの学生トリオだ。
変人のきんどー、ひざかたに対して唯一まともなそうじのリアクションを楽しむ形式。

今から25年くらい前に選り抜き版として単行本で全3巻が発売された。当時、小生は大学生であり、
たまにニッポン放送で織田裕二の「風に乾杯」という番組を聴いていた。当時の織田裕二はテレビではほとんど喋らず、人見知りで愛想のない印象であった。役柄はカンチや振り返れば奴がいるの司馬君(悪役)と役のイメージはあったが、本人はいたって無口な青年の印象。
その数年後の世界陸上のキャスターに織田裕二が抜擢されたとき、妙なテンションの高さが話題になったが、実は1995年当時でもラジオでは饒舌に馬鹿話もする陽気な素のキャラが炸裂していた。
役者としては完全主義で故に他人にも厳しく性格が悪いと指摘もされているが、結構、人懐っこい、陽気な一面が当時も今もあるのだと思う。

そんな織田裕二が確か、『マカロニほうれん荘』をラジオで絶賛しており、気になって単行本を買った次第である。

単行本のあとがきに鴻上尚史氏はこう綴る

「鴨川つばめおよびマカロニほうれん荘という名前は僕たちの世代にとって、伝説である。その登場も疾走もそして終焉も、全てが伝説にまみれていた。
中略

そこに溢れている過剰な遊戯は、まんがのひとつの極北に到達している。 中略 マカロニほうれん荘は遊戯の時代を先取りし、表層を走り続けた。例えば、傑作「第一次"暁"戦争」は教師のクマさんの家庭の夕食がスキヤキであり、それをトシちゃんときんどーさんが奪おうとするという、それだけのストーリーである。なのに、ここに溢れる過剰な遊戯、上り続けるテンションはどうだろう。こういうシンプルなストーリーこそ鴨川つばめ氏の天才が輝く。そして鴨川氏は頂点を迎えた。当たり前である。この徹底した遊戯が時代を動かさないはずがない。老若男女『マカロニほうれん荘』に熱狂した。今、あらためて読み返してこの表現こそは古びるどころではなく、まさに、今を表していると確信する。」とある。

当時でも16~18年くらい前の作品であり、さらに25年経った今でも鴻上氏の論評はまだ鮮度切れではないと感じる。

また、鴨川つばめのアートとしての画力は極めて秀逸である。また、クイーンやツェッペリンやエアロスミスなどの曲名を一話のタイトルにもじったり、脇役の登場人物にクイーンの4名が登場したり、ロックテイストにも溢れていた。

主人公は3人であるが、ダントツのインパクトを放つのはひざかた歳三25歳であろう。抜群のルックスなのに一番変人であり、例えばかたわれのきんどーさんは40を越えたオカマ中年であまり好感度が高くないが、トシちゃんはハチャメチャでも憎めないキャラ。

そのひざかた歳三は周期があり、まともな人物に変身する。そのまともな時の正体が、売れっ子童話作家でペンネームを「七味とうがらし」という。

ネットでも『マカロニほうれん荘』が一部無料で読める部分もあります。しかし、一読では馬鹿馬鹿し過ぎてしかも、40数年前の時代感がもはやレガシィのような感もあり、受け付けない人は多いと思う。
しかし、結構何話も読むうちに免疫が出来て、上記批評の言わんとしていることが、徐々に分かるはず。

その域に至るとトシちゃん=七味とうがらし先生のファンになるであろう。

私はファンであり、ペンネームを引用させて頂いた。七味とうGらしと一部アレンジしているが。

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