『7つの習慣 人格主義の復活』第4の習慣「Win-Winを考える」ポイントまとめ&レビュー

Win-Winのパラダイムでは、人生を競争の場ではなく協力の場ととらえる。
あなたのやり方でもなければ私のやり方でもない、もっとよい、もっとレベルの高い方法があると信じることである。
他に、私が勝てばあなたが負けるWin-Lose、他人の脚本に自らを委ねるLose-Win、Win-Lose同士がぶつかることにより自分の利益より相手の損失を願うLose-Lose、他人がどうなろうが関係ないWin、といった4つのパラダイムがある。
どのパラダイムがベストかはケースバイケースだが、現実の人間社会ではほとんどが相互依存関係なので、Win-Winが唯一の選択肢になる。

その上で、合意できる解決策が見つけらればければ「合意しないことに合意する」という「Win-Win or No Deal」という選択肢がある。
No Dealという選択肢を持っていれば余裕を持つことができ、相手を操る必要もなければ、相手の脚本に従う必要もなく、Win-Winのパラダイムを堅持することができる。
このアプローチは、特に新規事業を興したり新規契約を結ぶ時の判断に効果を発揮する。

第4の習慣「Win-Winを考える」は、人間関係におけるリーダーシップの習慣である。
そのためにはまず1~3の習慣で磨かれる人格があって、それによって人間関係が築かれ、そこで協定ができる。
そのためにはWin-Winに基づくシステムとプロセスが重要である。
この5つの側面を一つずつ詳しく見ていく。

【人格】
Win-Winのためには人格の中でもこの3つの特徴を育てなければならない。

誠実:=自分自身に価値を置くこと。その価値観に従って主体的に計画を実行することができ、約束を守り続ける意志を育てることができる。

成熟:=勇気と思いやりのバランスが取れていること。Win-Winを目指す人は優しさと同時に厳しさを持ち合わせている。相手の身になって話を聴き理解することもできるし、勇気を持って自分の立場を主張することもできる。

豊かさマインド:=この世には全ての人にいきわたるだけのものがたっぷりとあるという考え方。逆に欠乏マインドの人は人生をゼロサムゲームと捉え、Win-Loseの思考に陥ってしまう。

第1~3の習慣を身につければ、個人としての満足感と成長の実感を感じることができ、この3つの特徴を備えた人格へと至ることができる。

【人間関係】
Win-Winの人間関係の本質は信頼である。
お互いに信頼口座の残高がたっぷりあり、お互いに本気でWin-Winを目指せるれば、大きなシナジーを創り出すことができる。
立場の違いを遠ざけようとするネガティブなエネルギーが消え、協力的なポジティブなエネルギーが生まれる。

Win-Loseタイプの人とぶつかった時こそWin-Winの本領発揮である。
鍵となるのは人間関係である。
その人に礼を尽くし、敬意を払い、その人の意見を尊重することによって信頼口座に預け入れをする。
そして自分の意見は勇気を持って述べる。
お互いに満足できる解決策を真剣に探そうとしていることが相手に伝わるまで、信頼関係を築く努力を続ける。

【協定】
人間関係を築ければ、Win-Winに至るまでの道筋を示した協定を結ぶことができる。
上下関係ではなく、対等な立場で成功を目指すパートナーシップの関係に変わる。

この協定では、次の5つの要素をはっきり決めることが大切である。
・臨む成果:いつまでに何を達成するのか
・ガイドライン:達成する際に守る基準
・リソース:人員、資金、技術、組織のサポート
・報告義務:結果を評価する基準、時期
・評価の結果:達成度合い、貢献度合いの結果

これができており、相手も何を期待されているかはっきりわかっていれば、必要な時に手助けしてやり、仕事の進捗の報告を聞くだけでよい。
本人が本人を評価することが人間性の尊重につながるし、その方が正確である。
結果に対する評価(金銭的な結果・心理的な結果・機会・責任)もあらかじめ決めて、ゴールポストを明確にする。
一見窮屈に見えるが、結果にコミットすることで過程に縛られることから人を解放するし、パラダイム・人格・信頼関係の土台があるからこそこの協定は成り立つ。

【システム】
会社のミッション・ステートメントに書いてある目標と価値観を実現したいなら、報奨などのシステムもその目標と価値観に合うものにしなければならない。
社員教育・事業計画策定・コミュニケーション・予算・情報管理・給与体系、全てのシステムがWin-Winに基づいていなければならない。
起業の場合であれば、経営陣がWin-Winの精神を持てば、有能な社員たちが一丸となって同業他社と競えるようにシステムを整えることができる。

【プロセス】
人と問題を切り離して考え、客観的な基準や原則を強調すること。
1.相手の視点に立って眺めて、言葉にしてみる。
2.対処すべき本当の問題点や関心事を見極める。
3.双方が完全に受け入れられる結果を明確にする。
4.そのために新しい選択肢を見つける。

このプロセスは第5・6の習慣で詳しく説明するが、目標がWin-Winであれば、手段もWin-Winでなければならない。

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Win-Winと言うと日本ではともすると胡散臭い言葉にもなりますが、この第4の習慣で語られるWin-Winはそんな薄っぺらなものじゃないですね。
第1~第3の習慣でパラダイム・人格を磨き上げることが前提で、自分第一であればこのWin-Winはまず成り立ちません。
これこそ人間関係や企業経営の要諦と感じます。

この習慣で触れられた【協定】は日本人としてしっくり来ない人も多いと思います。
過程がよければ次につながるから良しとする人も多いですし、逆に結果にコミットするというのはノルマにつながり極端になりがちです。
そんな日本人の特性に基づく問題も、人格とそれに基づく信頼関係を土台とすることでWin-Winの協定を結ぼうという論法で来られると、これも古今東西を問わない原則に基づく解決策だと納得せざるを得ません。

こんなWin-Winを達成してる会社は、日本にどれだけあるでしょうか。
だからこそ愚直にこんな会社を目指したいという思いになりました。

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