見出し画像

日本の色 11月(季節を味わう#0032)

「季節を味わう」では、毎月第3水曜日に季節を象徴する日本の色をピックアップ。
11月にもたくさんの色があります。その中から私の好みで選びました。


【亜麻色】

亜麻色とは、亜麻を紡いだ糸の色のような黄色がかった薄茶色のことです。ナチュラルで優しい色です。
一般に「亜麻色の髪」と言えばブロンドヘアをイメージしますが、実際の金髪と亜麻色は異なる色合いです。
西欧で長く栽培されてきた亜麻は日本では明治時代に栽培されるようになりました。日本古来のものではなく、明治以降に使われるようになった比較的新しい色名ですが、名前の優しさもあって、日本にしっくり馴染んだ色と言えるでしょう。

【薄墨色】

名前は文字通り、墨を薄めたような色合いに由来しています。
個人的な感覚ですが、私の11月のイメージはまさにこの薄墨色。
薄墨色は、灰色や鼠色より古くから使われている色の名で、平安時代には書き損じを漉き直した紙を薄墨紙と呼んでいました。
また平安時代には喪を知らせる手紙は薄墨色で書かれました。現在も薄墨といえば、お香典など喪に関する時に使われていて、あまり縁起のいい色ではないという印象を持つ人もいるかもしれませんが、与謝野晶子は「譬(たと)ふれば我心は薄墨いろの桜」「薄墨色の音せぬ古池を繞(めぐり)て」といったように、この色を詩に詠み込んでいます。決してマイナスイメージで使っていないことがわかりますね。
私は個人的に薄墨色は好きな色の一つです。

(2023年11月15日)


色見本については、「伝統色のいろは」様より引用させていただきました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?