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日本の色 12月(季節を味わう#0037)

「季節を味わう」では、毎月第3水曜日に季節を象徴する日本の色をピックアップ。
12月にもたくさんの色があります。その中から私の好みで選びました。


【煉瓦色】

煉瓦色(れんがいろ)とは、赤煉瓦 のような、赤みのくすんだ茶色のことです。
煉瓦そのものの歴史は古く、メソポタミア文明において建築に使用されていました。日本には飛鳥時代に伝わり「せん」と呼ばれていました。平城京の大極殿には「せん」を積み上げた壁があ離ました。
しかし、煉瓦色はこの「せん」の色とは異なります。
その後、西洋で耐久性に優れた煉瓦が開発され、それが日本に入ってきたのは幕末のこと。明治時代になると煉瓦づくりの西洋建築が多くの公共施設に採用されたため、煉瓦建築は文明開花の象徴となりました。
ですから「煉瓦色」は明治以降に誕生した比較的新しい色の名前です。
弁柄のような色ですが、明治以降に誕生した比較的新しい色名です。
西洋から入ってきた目新しい赤煉瓦の色は、当時の日本人にとっては「ハイカラな色」として受け入れられ、文学者や知識人にも用いられ流行しました。夏目漱石の『三四郎』には「はでな赤煉瓦」という表現が登場します。

その後、煉瓦造りの建物は耐震性が低いため、煉瓦は徐々に装飾として使われるようになっていきました。

【漆黒】

黒漆に由来する色の名前です。
漆は、元々茶色がかった透明な色で、顔料を混ぜることで色を出します。
ただし黒漆だけは、精製の段階で鉄分を混ぜ、鉄の酸化作用によって、漆自体が黒色に変化したものなのです。
ですから漆の黒色は他の黒色とは異なり、漆でしか出せない 漆特有の黒色、「他にはない黒」ということになります。その深みと光沢のある黒色を、漆独特の黒色になぞらえて「漆黒」と呼ぶようになったようです。
艶やかさ、煌びやかさ、雅を感じる黒色です。

(2023年12月20日)
※「季節を味わう」は 大阪府箕面市のラジオ局 みのおエフエムで毎週水曜日に放送していますが、今月は特別企画があるため、放送はお休みですが、noteは休まず掲載します。


色見本については、「伝統色のいろは」様より引用させていただきました。


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